流行りの異世界――転生先が修羅場で阿鼻叫喚だった件について説明と謝罪を求めたい。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第四幕。

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 暗雲が渦巻く大空を、紅き竜に乗って飛んでいる私。
 阿鼻叫喚に地獄絵図だった最悪最低の場所から、次第に遠く離れて行く――。

 私が何故あのような場所に、こんな見るも無残な惨たらしい姿になって、突如、人の遺体の山から目覚めることになったのか。
 そう思考を巡らす暇もなく、紅き竜の住処へと、あっという間に到着することになるわけで――。

『其方、着いたぞ』

「も、もう着いたのか? 早いな」

 未だ上空に居るものの、空から見たそこは自然豊かな森に囲まれた、長閑のどかな一角だった。
 暗雲が渦巻く大空とは打って変わって、凄く手入れが行き届いた本当に美しい場所。

 こじんまりとした家屋が一つと、直ぐ隣には木造の小屋が一つ建っていた。
 中央には井戸が見え、家屋の背には美しい小規模な滝が落ち、そこから流れる澄み切った小川が見て取れた。

 その少し手前の開けた場所――おそらくは庭と思しき広い場所に静かに舞い降りる紅き竜。

『やはり其方は阿呆の子なのか? 儂は直ぐに着くと言ったであろうに』

 開口一発、私を小馬鹿にするも、頭を地面につけ翼をスロープ状に姿勢を整え、私が降り易くしてくれた。

「確かに言っていた――済まない」

 首から立ち上がり、翼を滑って頭の直ぐ横の地面に降り立つ。
 紅き竜の頬に軽く触れて、礼を込めた謝罪をしておく。

『まぁ、良い。――僅かばかり待て』

 鎌首に持ち上げて直立姿勢になると、翼を畳んで紅い光に包まれていく。
 程なく、人と同じ大きさまで小さくなった紅き竜は、先ほどに見せた絶世の美女の姿へと戻った。

「さて。其方を儂の住家に案内したいところではあるが……」

 私の方へ歩み寄って立ち止まると、しかめっつらになって言い淀む。

「まぁ、そうだよな……この私の今の状態では、流石に住居に入れるのも躊躇して当たり前だ。私だったら確実に嫌だろうな。穢れるとか汚れるとか考えて」

 言いたいことは解ったので、言い辛いだろうとあえてこちらから促す。

「うむ。理解が早くて助かるの。其方の言う通りなので、とりあえずは風呂にでも入ってもらうとしよう。用意して参るゆえ、そこで暫し待っておれ」

 和やかな微笑みに変わり、広い庭に横たわる大きな丸太を指差して促してくる。

「解った――本当に何から何まで済まない」

 言われた通りに丸太に歩み寄り腰掛ける私は、紅き竜に深々と頭を下げ謝っておく。

「何、儂の命を救ってくれた大恩があるでの? 気にするでないわ」

 和かに微笑んで離れの小屋へと向かって行った。
 
「しかし……私は何なのだ? 不浄の者でないとは言っていたが……こんなので生きているとは。正しく人でも合ってるのか? それとも――」

 丸太の上に座ったまま、天を仰ぎ見る。
 まるで私の心の内を曝け出しているかのような、暗雲が渦巻く不気味な空が目に入るだけだった。


 ◇◇◇


「――待たせた。沸いたぞ」

 落ち込んでる私に、背後から容赦なく声を掛けてきた紅き竜。

「――早っ⁉︎ も、もう沸いただってっ⁉︎ 私は然程も待ってはいないぞっ⁉︎」

 余りにも早く戻ってきたので、振り返りざまにそう驚いた。

「やはり其方は阿呆の子であろう? 儂は先刻、と言ったであろうに。其方は何を聴いておるのだ、全く」

 またしても顰めっ面になって私を小馬鹿にする。
 だがしかし言葉とは裏腹に、俺の手を優しく取って小屋の方へといざなってくれた。

 やや大きめの扉を開けると、木造特有の良い香りと、白く柔らかい湯気が小屋一杯に立ち込めていた。
 洗い場の奥にある木でできた湯船は、脚を伸ばしてゆっくり浸かれる程度には広い。

「確かに言っていた。しかしだな、こんなに早いとは思わなかったんだ。――そうか、解ったぞっ! 火炎息で一瞬で沸かしたんだな?」

 紅き竜なのだから、そのぐらいは造作もないと踏んで、自信有り気に言ってみた――のだが。

「其方、ただの阿呆の子を通り越して、最早、救い難い阿呆だの? 儂が竜ゆえにそこに考えがいくのは、ある意味で仕方のないこととは思うがの。――だがな? 何処の世界に業火の如き炎を、狭い屋内で吐く阿呆が居る? 大概にしくされ。……其方の世界には魔法や魔導具は普及、或いは存在してはおらぬのか?」

 あからさまに解るげんなりした表情で、火炎息ならぬ溜息を吐く紅き竜。
 そうやってなんかまた小馬鹿にしてきた。

「魔法や魔導具と言う名称はあっても、実在はしていない――筈だ」

 私が居た世界――現代では確認できてはいない。
 だがしかし。私が知らないだけで、本当は在るのかも知れないので、曖昧にして答えておく。
 また小馬鹿にされたくはないし。

「そうか。今使ったのは水を湯に変える魔法と、その湯の温度を保ったまま溜める魔導具たる湯船に過ぎぬ。――ほれ、これだな」

 微妙な表情をしつつも、湯船を指して種明かしをしてくれた。

「そんな便利な物もあるのかっ⁉︎ 凄いなっ⁉︎ ――やはり異世界だけのことはあるんだな!」

 ただの木製の湯船だと思っていたので、魔導具と聴いて驚嘆した。
 魔法や魔導具が実在する世界――正しくファンタジーな異世界だったわけだ。
 ならば空想上の生物である竜が居ても、何ら不思議ではない……と無理矢理、納得しておくことにする。

「ほれ、さっさと身綺麗にして共に食事でもしようぞ。――其方のその血と泥塗れの薄汚い姿を見ながら食事なぞ、いくら儂でも勘弁して欲しいでの」

 顰めっ面で促す紅き竜は、そう言ってをしだすのだった――。



 ――――――――――
 気になる続きはCMの後!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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