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第二一幕。
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出発した時と同じ場所――教会の魔法陣の上に私は現れた。
紅が祈りに来た者達が座る、横長の参列席の最前列に足を組み投げ出して、少々、苛立った面持ちで座っていた。
私に気付くと慌てて立ち上がり、駆け寄って来た。
「やっと帰って来おったか、主人よ。竜玉で繋がっておるので無事なのは解っておったが……少々、心配になっておった所だ」
「そんなに経って無いぞ、紅? 途中の迷路には苦戦したけど、それ以外は大した事は無かったよ。意外な程に」
「主人は阿呆の子か? 既に何日も経っておる! じっと待つだけで耐える身にもなってもらいたいわ!」
「済まない……」
「無事であるならば良い。――して、その妙な槍と盾は何ぞ?」
「最終試練の間に陣取っていた石像の物だ。倒した際は巨大だったが、私が触れるとこんな風に縮んでしまったのだ。戦利品のつもりで持ち帰ったに過ぎないよ、紅」
「――ご無事で御座いましたか、勇者様」
「ええ。なんとかなりました、神官様。ただ――残念な事に勇者の叡智を授かるには至らず、代わりにこの不思議な槍と盾、それに小さな宝石の様な物を入手しました」
「勇者様、知識として授かる物も既に入手なさっておられる様にお見受け致しますが? その小さな宝石のような品が、勇者の叡智に御座います」
「――もしかして……コレが?」
「そうで御座います。勇者の叡智――純血の珠玉に御座います」
「儂も長く生きておるが、其処は初耳だの?」
「純潔の珠玉? ――純潔の珠玉なら私も既に持っているが……これだ。元々から持っているから新たに授から無かったとか?」
「いいえ、勇者様。試練の間にて入手なさった、小さな宝石の様な物が、純粋な血と書いた純血に御座います。試された勇者が番人に認められて、志しをも受け継いだ証明の証となる物に御座います」
「成る程。此方が勇者の叡智だったか。――で、授かるにはどうすれば良いのか?」
「秘術を用いて、その証を身体に埋め込みます。但し、体内では御座いません。見える場所――額でも腕でも胸でも、勇者様のお好きな所で構いません」
「成る程。正に勇者の証って訳だな。番人を倒さばければ手に入らない筈だ」
「左様に御座いま――ええっ⁉︎ もしや番人に認められた訳では無く、倒されたので⁉︎」
「ええ。強敵かと思ったら、存外楽でしたよ?」
「――楽って⁉︎ ――ええ⁉︎」
何故か急に怯え出した女性神官。
非常に怖い者を見る目になって怯えて後退る。
「――あの」
「あ、貴方様は――か、神の御使に御座いましたか! 下種な身で不敬を働き、申し訳御座いませんでした! な、何卒、何卒、何卒、ひ、平にご容赦を――な、何卒」
そのまま跪いたかと思ったら、頭を床に擦り付けた土下座状態から必死に平伏し、身体を震わせて一切動かなくなってしまった。
女性神官の態度の豹変に面食らったのと、何が理由で怖がらせているのか、私には良く解らなかった。
怖がっているのか怯えているのかも良く解らず、声を掛け様とすると、身体をより震わせて同文を繰り返すだけだった。
止む終えず質問は切り上げ、軽く礼を述べるに留め、女神像のある部屋から足早に出て行く事にした――。
教会から出た私は府に落ちなさすぎて気になりだし、紅に尋ねるも知らぬの一点張りだった。
嘘を言っているのでは無く、興味が無さげ。本当に知らないみたいだった。
そう言う訳で、色々教えてくれたドワーフ族の鍛治師の所に寄り道した私。
入口を潜ると、暇そうに椅子に深く腰掛けて、相変わらず咥えたパイプを燻らせていた。
だが、私に気付くと咥えたパイプがするりと床に落ちるくらい呆けた後、鬼気迫る形相で両手を机に叩きつけて立ち上がった!
睨み付けるようにして、静かに語り出す店主。
「若造……身に付けている武具に装具もだが、竜巫女様に見染められた事からも只者じゃねーのは理解しているつもりだ! だがな、だからと言ってお帰りご苦労さんと労ってやれるもんじゃねーぞ! 何てもん手にしてやがんだ!」
「な、何か問題でも? の、呪いの装備とか?」
俺がそう尋ねると、床に転がったパイプを拾い上げ、椅子に座り直すと目を閉じて深呼吸をする店主。
「ふぅ……良いか、若造。試されるのが勇者の試練。――意味は解るな?」
机の上に肘をつき、両手を組んで顎を載せる。パイプを大きく燻らせながら、私を睨みそう告げた。
「勿論だ。勇者の資質とやらを試される為に、私は出向いたんだからな?」
店主の迫力に気圧されつつも、自信を持って答えた。
「数ある勇者候補はな、最強の槍と盾を持つ番人に試され認められて勇者と成り得る。歴代の勇者もそうやって此処に戻って来たってのも解るな?」
「勿論だ。私はそれを成し遂げたから、此処に戻って来れた。……何が言いたい?」
さっきから何を言いたいんだ店主は?
「試す――それは数ある歴代の勇者の上に位置する存在だからこそ成し得る事なんだぞ? つまり、歴代の勇者は番人に認められてたからこそ勇者なんだ」
私が正しく勇者では無いとでも言いたいのか? 全く解らない。
「……言っている意味が不明瞭だが? もしや、倒したら駄目だったのか? 倒さなくても良かったのか?」
「駄目って――はぁ~、若造の頭の中は、お花畑で阿呆の花が咲き乱れてんのか? 全く、解っちゃいねーから言ってやるが、倒さなくても良いのでは無く、誰一人として倒せなかったんだよ!」
「――は?」
「歴代の勇者候補で倒せたのは、若造だけだ! よりによって番人の最強の槍と盾をも持ち帰って来やがって! 本気で目を疑ったぞ? もう誰も試練が受けられん。どうすんだ、若造――最後で最強の勇者様よ?」
「――私が? ――まぢで?」
「――なぁ、竜巫女様。侮辱する上、不敬で申し訳無いが、ここにいる若造は、やはり救いようの無い稀代の阿呆なのか?」
「言われるまでも無く、店主がそう思っておる通り、儂の最愛の主人は紛れも無く稀代の阿呆の子ぞ?」
「酷い言われ様だな……」
私がそんな遣り取りを繰り広げる最中、村の入口の直ぐ側の広場に居た子供達が、大騒ぎをしていた――。
全く預かり知らない所で、刻一刻と魔の手が這い寄っていたのだった――。
――――――――――
気になる続きはCMの後!
チャンネルは、そのまま!(笑)
紅が祈りに来た者達が座る、横長の参列席の最前列に足を組み投げ出して、少々、苛立った面持ちで座っていた。
私に気付くと慌てて立ち上がり、駆け寄って来た。
「やっと帰って来おったか、主人よ。竜玉で繋がっておるので無事なのは解っておったが……少々、心配になっておった所だ」
「そんなに経って無いぞ、紅? 途中の迷路には苦戦したけど、それ以外は大した事は無かったよ。意外な程に」
「主人は阿呆の子か? 既に何日も経っておる! じっと待つだけで耐える身にもなってもらいたいわ!」
「済まない……」
「無事であるならば良い。――して、その妙な槍と盾は何ぞ?」
「最終試練の間に陣取っていた石像の物だ。倒した際は巨大だったが、私が触れるとこんな風に縮んでしまったのだ。戦利品のつもりで持ち帰ったに過ぎないよ、紅」
「――ご無事で御座いましたか、勇者様」
「ええ。なんとかなりました、神官様。ただ――残念な事に勇者の叡智を授かるには至らず、代わりにこの不思議な槍と盾、それに小さな宝石の様な物を入手しました」
「勇者様、知識として授かる物も既に入手なさっておられる様にお見受け致しますが? その小さな宝石のような品が、勇者の叡智に御座います」
「――もしかして……コレが?」
「そうで御座います。勇者の叡智――純血の珠玉に御座います」
「儂も長く生きておるが、其処は初耳だの?」
「純潔の珠玉? ――純潔の珠玉なら私も既に持っているが……これだ。元々から持っているから新たに授から無かったとか?」
「いいえ、勇者様。試練の間にて入手なさった、小さな宝石の様な物が、純粋な血と書いた純血に御座います。試された勇者が番人に認められて、志しをも受け継いだ証明の証となる物に御座います」
「成る程。此方が勇者の叡智だったか。――で、授かるにはどうすれば良いのか?」
「秘術を用いて、その証を身体に埋め込みます。但し、体内では御座いません。見える場所――額でも腕でも胸でも、勇者様のお好きな所で構いません」
「成る程。正に勇者の証って訳だな。番人を倒さばければ手に入らない筈だ」
「左様に御座いま――ええっ⁉︎ もしや番人に認められた訳では無く、倒されたので⁉︎」
「ええ。強敵かと思ったら、存外楽でしたよ?」
「――楽って⁉︎ ――ええ⁉︎」
何故か急に怯え出した女性神官。
非常に怖い者を見る目になって怯えて後退る。
「――あの」
「あ、貴方様は――か、神の御使に御座いましたか! 下種な身で不敬を働き、申し訳御座いませんでした! な、何卒、何卒、何卒、ひ、平にご容赦を――な、何卒」
そのまま跪いたかと思ったら、頭を床に擦り付けた土下座状態から必死に平伏し、身体を震わせて一切動かなくなってしまった。
女性神官の態度の豹変に面食らったのと、何が理由で怖がらせているのか、私には良く解らなかった。
怖がっているのか怯えているのかも良く解らず、声を掛け様とすると、身体をより震わせて同文を繰り返すだけだった。
止む終えず質問は切り上げ、軽く礼を述べるに留め、女神像のある部屋から足早に出て行く事にした――。
教会から出た私は府に落ちなさすぎて気になりだし、紅に尋ねるも知らぬの一点張りだった。
嘘を言っているのでは無く、興味が無さげ。本当に知らないみたいだった。
そう言う訳で、色々教えてくれたドワーフ族の鍛治師の所に寄り道した私。
入口を潜ると、暇そうに椅子に深く腰掛けて、相変わらず咥えたパイプを燻らせていた。
だが、私に気付くと咥えたパイプがするりと床に落ちるくらい呆けた後、鬼気迫る形相で両手を机に叩きつけて立ち上がった!
睨み付けるようにして、静かに語り出す店主。
「若造……身に付けている武具に装具もだが、竜巫女様に見染められた事からも只者じゃねーのは理解しているつもりだ! だがな、だからと言ってお帰りご苦労さんと労ってやれるもんじゃねーぞ! 何てもん手にしてやがんだ!」
「な、何か問題でも? の、呪いの装備とか?」
俺がそう尋ねると、床に転がったパイプを拾い上げ、椅子に座り直すと目を閉じて深呼吸をする店主。
「ふぅ……良いか、若造。試されるのが勇者の試練。――意味は解るな?」
机の上に肘をつき、両手を組んで顎を載せる。パイプを大きく燻らせながら、私を睨みそう告げた。
「勿論だ。勇者の資質とやらを試される為に、私は出向いたんだからな?」
店主の迫力に気圧されつつも、自信を持って答えた。
「数ある勇者候補はな、最強の槍と盾を持つ番人に試され認められて勇者と成り得る。歴代の勇者もそうやって此処に戻って来たってのも解るな?」
「勿論だ。私はそれを成し遂げたから、此処に戻って来れた。……何が言いたい?」
さっきから何を言いたいんだ店主は?
「試す――それは数ある歴代の勇者の上に位置する存在だからこそ成し得る事なんだぞ? つまり、歴代の勇者は番人に認められてたからこそ勇者なんだ」
私が正しく勇者では無いとでも言いたいのか? 全く解らない。
「……言っている意味が不明瞭だが? もしや、倒したら駄目だったのか? 倒さなくても良かったのか?」
「駄目って――はぁ~、若造の頭の中は、お花畑で阿呆の花が咲き乱れてんのか? 全く、解っちゃいねーから言ってやるが、倒さなくても良いのでは無く、誰一人として倒せなかったんだよ!」
「――は?」
「歴代の勇者候補で倒せたのは、若造だけだ! よりによって番人の最強の槍と盾をも持ち帰って来やがって! 本気で目を疑ったぞ? もう誰も試練が受けられん。どうすんだ、若造――最後で最強の勇者様よ?」
「――私が? ――まぢで?」
「――なぁ、竜巫女様。侮辱する上、不敬で申し訳無いが、ここにいる若造は、やはり救いようの無い稀代の阿呆なのか?」
「言われるまでも無く、店主がそう思っておる通り、儂の最愛の主人は紛れも無く稀代の阿呆の子ぞ?」
「酷い言われ様だな……」
私がそんな遣り取りを繰り広げる最中、村の入口の直ぐ側の広場に居た子供達が、大騒ぎをしていた――。
全く預かり知らない所で、刻一刻と魔の手が這い寄っていたのだった――。
――――――――――
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チャンネルは、そのまま!(笑)
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