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第二部 オタクと中二病。
二十六痛 中二病くっさく愛馬を用意。
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「ご、ごめんって……メガネ取ったらメっ! お詫びに馬を用意してあげるから、メっ!」
あざとい、実にあざとい上目遣いのメっ! 戴きましたー。
男子高校生的にも美少女のメっ! には抗えません。これは裸眼の所為で姿がぼんやり映っていたとしても、甘ったるい声でくっきりはっきりシャープネスに脳内補完されてしまうと言ったエゲツない手口のメっ! です。最早、逆らえません、流石にこれは絶対に抗えません。まさに不可能です。
そんな甘々な仕草な真野氏の全てを、メガネ再装着でハグしちゃおうかと思います。
だがしかし、そんな邪な考えが許される筈もなく――。
「――主人様」
何故ならば、何処からか湧――ゲフンゲフン。現れた、頭に角――ゲフンゲフン。名状し難いカチューシャのような物を身に着けた相変わらずの執事さんが、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンと邪魔をしたから。
「暗黒騎士様に負けず劣らずな立派な馬、既にご用意致しております――こちらに」
そしてしれっと堂に入った所作で傅く。
その後ろには、サテン地の綺麗な布で覆われた、拉致――ゲフンゲフン。
連れてこられたと思しき、馬と仰る謎物体が。
「この馬は『我が生涯に一片の悔いなし』の台詞で名の轟く世紀末な覇王様から、クランクアップののちにお譲り頂いた、由緒ある名馬――その名も黒王……グハァ! 真っ黒い玉号に御座います」
そうドヤ顔で騙る執事さんが、手品師の如く仰々しくも大袈裟な動作で布をオープン!
馬の名を騙る部分でグハァ! は、一体、なんだったんでしょうか?
あとさ、真っ黒い玉って……無理矢理過ぎん?
「えっと……真っ黒い玉号と言うか……めっさ白いし。馬と表現するのも憚られると言うか……演劇でモブが扮するラバっぽい着ぐるみですよね? 神が駆る馬を真似た点は評価してもやぶさかでもないですけども、戦闘メイドさん達の綺麗な脚がそのまんま八本出てる時点で大概に手抜きですよね? 更に胴体に平仮名で『すれいぷにる』と名前を書いてる時点で、相当、手抜きですよね? 貧乏臭く市販のカッティングシートで自作したシールを貼っただけで『な? 俺自慢の痛車、凄くね?』ゆーくらいのなんちゃって痛車並に、痛さ増し増しでツッコミどころ満載なんですけど?」
出てきた謎な何ぞには、流石の俺もメガネ、ポロッで怒涛のツッコミ。
真偽はともかく、ファンタジー然とした魔物をですね、馬だ言い張ってくれた方がまだ良くね?
「いやん♪」「御意♪」
あざと過ぎるいやん♪、戴きましたー。
ただ何故か御意と言いつつ真野氏の仕草を真似るキモさ鰻登りの執事さんに、俺のメンタルがゴリゴリと削られます。
「真野氏、執事さん。いやん♪ でも御意♪ でもなくてですね……これを俺にどないせいって仰るんでしょうか?」
最早、呆れ返ってズレたメガネ、ヨッコイショとかけ直しながら尋ねてみる――のだが。
「魔界対抗試合でアンタが駆る天翔ける馬よ? 魔王権限で反対派を黙らせて強引に奪ったのよっ! 覇権争いに終止符を打つわよっ!」
真野氏。中二病くっさい単語連発での、小さめの衣装が張り裂けんばかりにフンスッです。世紀末な救世主のように、力の誇示を幻視させるほどのフンスッです。想像したらいけないベクトルでの目に徳――ゲフンゲフン。毒なフンスッです。
魔界対抗試合って、単に体育祭の競技の一つで仮装騎馬戦じゃないですか。
「真野氏。単に演劇部に借用の交渉をして、断られたのを頼み込んだだけでしょうに? 更にお付きのメイドさんに中に入らせただけでしょうに? 天翔けるどころか……そこらの穴にも華麗に躓く歪さでしょうに?」
メガネ、クイッと正すものの、聴き入れるわけがない真野氏ですから。
最早、大惨事確定の未来しかありません……とほほ。
――――――――――
またしても中二病ってやつは。
あざとい、実にあざとい上目遣いのメっ! 戴きましたー。
男子高校生的にも美少女のメっ! には抗えません。これは裸眼の所為で姿がぼんやり映っていたとしても、甘ったるい声でくっきりはっきりシャープネスに脳内補完されてしまうと言ったエゲツない手口のメっ! です。最早、逆らえません、流石にこれは絶対に抗えません。まさに不可能です。
そんな甘々な仕草な真野氏の全てを、メガネ再装着でハグしちゃおうかと思います。
だがしかし、そんな邪な考えが許される筈もなく――。
「――主人様」
何故ならば、何処からか湧――ゲフンゲフン。現れた、頭に角――ゲフンゲフン。名状し難いカチューシャのような物を身に着けた相変わらずの執事さんが、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンと邪魔をしたから。
「暗黒騎士様に負けず劣らずな立派な馬、既にご用意致しております――こちらに」
そしてしれっと堂に入った所作で傅く。
その後ろには、サテン地の綺麗な布で覆われた、拉致――ゲフンゲフン。
連れてこられたと思しき、馬と仰る謎物体が。
「この馬は『我が生涯に一片の悔いなし』の台詞で名の轟く世紀末な覇王様から、クランクアップののちにお譲り頂いた、由緒ある名馬――その名も黒王……グハァ! 真っ黒い玉号に御座います」
そうドヤ顔で騙る執事さんが、手品師の如く仰々しくも大袈裟な動作で布をオープン!
馬の名を騙る部分でグハァ! は、一体、なんだったんでしょうか?
あとさ、真っ黒い玉って……無理矢理過ぎん?
「えっと……真っ黒い玉号と言うか……めっさ白いし。馬と表現するのも憚られると言うか……演劇でモブが扮するラバっぽい着ぐるみですよね? 神が駆る馬を真似た点は評価してもやぶさかでもないですけども、戦闘メイドさん達の綺麗な脚がそのまんま八本出てる時点で大概に手抜きですよね? 更に胴体に平仮名で『すれいぷにる』と名前を書いてる時点で、相当、手抜きですよね? 貧乏臭く市販のカッティングシートで自作したシールを貼っただけで『な? 俺自慢の痛車、凄くね?』ゆーくらいのなんちゃって痛車並に、痛さ増し増しでツッコミどころ満載なんですけど?」
出てきた謎な何ぞには、流石の俺もメガネ、ポロッで怒涛のツッコミ。
真偽はともかく、ファンタジー然とした魔物をですね、馬だ言い張ってくれた方がまだ良くね?
「いやん♪」「御意♪」
あざと過ぎるいやん♪、戴きましたー。
ただ何故か御意と言いつつ真野氏の仕草を真似るキモさ鰻登りの執事さんに、俺のメンタルがゴリゴリと削られます。
「真野氏、執事さん。いやん♪ でも御意♪ でもなくてですね……これを俺にどないせいって仰るんでしょうか?」
最早、呆れ返ってズレたメガネ、ヨッコイショとかけ直しながら尋ねてみる――のだが。
「魔界対抗試合でアンタが駆る天翔ける馬よ? 魔王権限で反対派を黙らせて強引に奪ったのよっ! 覇権争いに終止符を打つわよっ!」
真野氏。中二病くっさい単語連発での、小さめの衣装が張り裂けんばかりにフンスッです。世紀末な救世主のように、力の誇示を幻視させるほどのフンスッです。想像したらいけないベクトルでの目に徳――ゲフンゲフン。毒なフンスッです。
魔界対抗試合って、単に体育祭の競技の一つで仮装騎馬戦じゃないですか。
「真野氏。単に演劇部に借用の交渉をして、断られたのを頼み込んだだけでしょうに? 更にお付きのメイドさんに中に入らせただけでしょうに? 天翔けるどころか……そこらの穴にも華麗に躓く歪さでしょうに?」
メガネ、クイッと正すものの、聴き入れるわけがない真野氏ですから。
最早、大惨事確定の未来しかありません……とほほ。
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またしても中二病ってやつは。
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