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異世界。
害悪のアレクシス。
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懐かしい夢を見ていた。
美しい蒼い瞳、微笑むと金色の光が差して不思議な彩光を浮かべる瞳・・・。
赤茶色のサラっとしたストレートヘアを揺らした少女が走っていた。
楽しそうに、草原を目がけて走る。
もう、彼女の母親が仕事から帰ってくる時間・・・。
家族が大好きな彼女は、嬉しそうに帽子を手で抑えて走り出した。
頬をピンク色に染めて、膝までのドレスを風に揺らしながら。
遠くからゆっくりと車を降りて歩いてくる母の姿を捉えて、摘んだ花々をポロポロと落としながら
慌てて母へと手を伸ばす。
アクアマリンのように空を映した瞳は嬉しそうに。母の腰をぎゅうっと抱きしめていた。
落とした花が風に乗って流れるように舞い散る。
深紅の髪はさらりと揺れて、絵になる光景に僕の瞳は揺れる。
僕は、その届かぬ光景に手を伸ばした・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝日が上がり、昨夜の目の回るような出来事の疲れで体は悲鳴を上げていた。
頭も心も着いてこない・・・。
あの後、2人を引き剥がして父上の元へとノア王子と、美月と
共に向かい今回の襲撃の全容を明かした。
その話にショックを受けていたのは、父カイザル王だけではなく、
ルーベリア王国のリリア女王も然りだった・・。
姉のエリカ、サフィール様、宰相であるエミリアン、双子の王子を呼び寄せて、
アルベルディア王国へ出立する旨を相談して深夜遅くまで論議が続き・・・。
いつもなら、早朝稽古に現れて王立騎士団、魔術騎士団の兵を扱きあげるのが日課になっていた
アルベルトだったが、日が昇り切りそうな時間になっても起き上がる事が出来なかった。
「アルベルディア王国・・・。ノア王子か・・・。」
ボソリと、呟いた瞬間。
目の前に美月の額に、切なそうに赤い瞳を細めて唇を落としていた場面を思い浮かべた。
あの後、流石の美月も大声で叫びだし、酷く青ざめて倒れそうになった。
そこをまた、ノア王子が腰を掴んで抱き寄せて甘い笑みを浮かべていた。
「なんなんだ!?・・・出会ったその日に口づけなど・・・。」
そう口から、怒りの籠った言葉が吐き出された瞬間・・、アルベルトの瞳が大きく揺れた。
しかし、自分も昨日降ってきた美月を抱きとめた時に事故だ、唇泥棒だと罵(ののし)られは
したが、しっかりと唇と唇を合わせていた光景を思い出して頬にカッと熱を帯びた。
甘い唇の感触を思い出して、左頬に手を当て朝からとんでもなく心拍数の高まりを覚えた。
< ・・・バターン!!! >
「・・・・!?」
驚いた王子は、部屋に入ってきた者の姿を確認してギョッと目を見開いた。
「・・・アルベルト様っ!!遅いですよ!?騎士団長が寝坊ですか・・・!?」
白いシャツに、黒いズボンを穿いて腰までの長い赤茶の髪をポニーテールに纏めた美月が
大きな白く金の彫りと、精工な細工で彩られた王子の寝室へと続く扉の前に立っていた。
「おま・・。朝から、男性の部屋へとノックもなしに、侵入する令嬢がいるか!?」
寝間着姿のアルベルトは、驚いてベッドから飛び起きた。
焦って、美月の元へと駆けつけて部屋から出ていかせようとした。
「・・・だって。アルベルトがいないと、駄目なんだもの。」
「なっ・・何を、朝から・・・。そんな・・・。」
酷く動揺したアルベルトは、頬を赤らめてそっぽを向きながら頭をクシャリとかいた。
困って眉根を寄せた美月は、アルベルトを上目遣いで見上げる。
「だってね、王立騎士団の皆さんは全員伸びちゃったし、魔術騎士団は、流石に魔力も強いし
信じられない技を繰り出して来て強いんだけど・・・。触れなくてね・・。
朝から3回倒れちゃったの・・・。」
「・・・は?」
「だーから!!男性不信だったの忘れて、稽古つけに行ったら何度も倒れちゃってね・・。
ノア王子と、アルベルトしか私のお相手が出来る人がいなくて・・・。」
「・・・・そういう事か。急に何を言っているのかと思った。」
「ん?・・・何、どういう事!?」
不思議そうに見上げた美月の心は、「なんで?他に意味なんてあるの?」と至極当然そうに
言っていた。
はいはい・・。
そうですよね!!!
「じゃあ、今から着替えるから・・・・。ほら、朝から男性の寝室に出入りした所を見られると
あらぬ誤解や、お前の貞操が揺らぐから・・・。」
< ガチャ・・。>
「アルベルトー・・・。昨夜の疲れで、朝の鍛錬に出れなくて・・。
すまな・・・い・・。」
「「・・・あ。」」
アルベルトと、美月は入ってきたアレクシスと目が合い固まった。
「・・・あ、あれ?み・・美月??何でアルベルトの寝室に・・。」
「いや、待て・・!!断じて違うから・・・!!」
紫の瞳を潤ませたアレクシスが、2人を交互に見やり納得したように頷いた。
・・・絶対、誤解している!!
まずいぞ・・。
アレクシスは歩くスピーカーと言われているのに・・!!
「いや・・。ちょっと、待てよ?おい、アレクシス、誤解だ!!!」
美月は、2人のやり取りに変な汗を浮かべて不安そうな表情を浮かべていた。
「ごめん、俺・・・。失礼しました!!!」
・・・バタン!!!
大きな音を立てて、扉が閉められ、大声で叫びながらアレクシスが何処かへ走り去って行った。
「・・・あのー。何か、この展開は、非常にまずいですよね?」
ごくりと喉を鳴らして、美月は眉を顰めてアルベルトを見上げた。
コホンと咳払いをしたアルベルトは、にっこりと笑った。
「まずいどころじゃない!!!・・・すぐに誤解を解かねば!!あいつ・・。父上や母上に
誤った報告を・・・。すぐに着替えて行くから、続き部屋で待っていてくれ。」
「わ・・分かりました!!ご迷惑かけてすみません。」
昨日のルナとリリアの様子を見て知っている美月には、この誤解が非常に不味い方向へ行きそうな
嫌な予感に駆られて寒感しかしなかった・・・。
その後、急いでカイザルと、ルナ、リリア達が一同に食事を取っているダイニングへと足早に
向かった2人は、ダイニングに着いた瞬間に大喜びで迎えられた事は言うまでもない。
「おめでとう!!!何で貴方が婚約しなかったのかと思っていたけど・・。
この日の為だったのね!!
遂に運命の人に出会ったのね・・・。アルベルト!!」
「はぁ!?何を言われもない妄言を・・。
母上、アレクシスがどう伝えたか知りませんが、
騎士団の男に触れられれば気絶してしまうから、
朝の稽古をつけてくださいと美月が頼みに来ただけです!!!」
「・・・朝の稽古?」
サイラスと、エリカはニヤニヤ笑いながらアルベルトに
意味ありげな視線を送る。
「姉上!?・・な、なにを・・・。騎士団の鍛錬を受けたいと・・。
皆様、馬鹿げた妄想はお辞めください!!!」
アルベルトが焦れば焦るほど、親たちは微笑ましく優しい目線を送っていた。
「・・・駄目だ、こりゃ・・。」
美月の呆れ果てた言葉は宙に投げられ、皆の意気揚々とした闊達な言葉達にかき消された。
ルナは、目に涙を薄っすら浮かべてほほ笑んでいた。
珍しくカイザルも嬉しそうに口角を上げて、食事を食べていた。
否定を強くしても、このキャラが集いし食卓では「年頃だもの・・。駄目よ!!」
「あまり、詮索しては上手くいくものもいかないわよ!!」など、意味不明な会話が飛び交っていた。
リリアは、ルナとエリカと興奮気味に2人の様子を観察しながら朝食を取っていた。
そんな折、こっそりと美月を見ながらアルベルトは声を潜めて呟いた。
「・・・食事の後、稽古をつけようか?アルベルディア出立まで1週間しかないが、魔術も教えこんで
やる。どんな刺客が現れるか分からないからな・・。」
「解りました!!宜しくお願いします。あの・・。医術のような魔術も、教えて頂けますか?」
「それは、回復させる呪文や、手を翳して体を治すトリートの魔術のことか?何処でそれを・・。」
紅茶が注がれたカップを持ちながら、アルベルトは怪訝な表情を浮かべた。
「先ほど、魔術騎士団の医師にお聞きしました。お爺さんは、医術の心得と、魔術を使った治療行為で
死ななければ、どんな病や、傷も治せると聞きました。私も、医術の習得を目指して学校で学ぶものです・・。私の目指していた、どんな病気でも治せる医療が、ここにはある気がして・・・。」
「お前は・・、今も変わらず医師を目指しているのだな・・。
私も、魔力が父ほどではないが、相当数持っているから、死ぬ以外は大丈夫だが・・・。
果たして、お前にその力があるかは・・・。」
美月は、緊張気味に目を瞑り手を合わせた。
「お願いします!!!努力で磨けるものなら、どんな努力でもします。
目の前で死にそうな人を・・・。今度は失わない力を、身に着けたいのです!!!」
その言葉に、アルベルトは大きく瞳を見開いて苦しそうに顔を顰(しか)めた。
「・・・わかった。私で、出来るだけの事は教えてやる。
後は、魔術騎士団の医師だけでなく、魔術師団の医魔術師を紹介しよう。
鍛錬が終わった後は、そこでしっかり学ぶといい。」
「本当に・・!?いいんですか?・・・嬉しい!有難うございます!!」
その言葉を聞いた美月は、とても嬉しそうに穏やかな笑顔を浮かべた。
その笑顔を見ると、アルベルトの胸は少しだけ鼓動が早くなる。
その様子をリリアや、カイザル、ルナ達はじっとりと見つめていた。
美しい蒼い瞳、微笑むと金色の光が差して不思議な彩光を浮かべる瞳・・・。
赤茶色のサラっとしたストレートヘアを揺らした少女が走っていた。
楽しそうに、草原を目がけて走る。
もう、彼女の母親が仕事から帰ってくる時間・・・。
家族が大好きな彼女は、嬉しそうに帽子を手で抑えて走り出した。
頬をピンク色に染めて、膝までのドレスを風に揺らしながら。
遠くからゆっくりと車を降りて歩いてくる母の姿を捉えて、摘んだ花々をポロポロと落としながら
慌てて母へと手を伸ばす。
アクアマリンのように空を映した瞳は嬉しそうに。母の腰をぎゅうっと抱きしめていた。
落とした花が風に乗って流れるように舞い散る。
深紅の髪はさらりと揺れて、絵になる光景に僕の瞳は揺れる。
僕は、その届かぬ光景に手を伸ばした・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝日が上がり、昨夜の目の回るような出来事の疲れで体は悲鳴を上げていた。
頭も心も着いてこない・・・。
あの後、2人を引き剥がして父上の元へとノア王子と、美月と
共に向かい今回の襲撃の全容を明かした。
その話にショックを受けていたのは、父カイザル王だけではなく、
ルーベリア王国のリリア女王も然りだった・・。
姉のエリカ、サフィール様、宰相であるエミリアン、双子の王子を呼び寄せて、
アルベルディア王国へ出立する旨を相談して深夜遅くまで論議が続き・・・。
いつもなら、早朝稽古に現れて王立騎士団、魔術騎士団の兵を扱きあげるのが日課になっていた
アルベルトだったが、日が昇り切りそうな時間になっても起き上がる事が出来なかった。
「アルベルディア王国・・・。ノア王子か・・・。」
ボソリと、呟いた瞬間。
目の前に美月の額に、切なそうに赤い瞳を細めて唇を落としていた場面を思い浮かべた。
あの後、流石の美月も大声で叫びだし、酷く青ざめて倒れそうになった。
そこをまた、ノア王子が腰を掴んで抱き寄せて甘い笑みを浮かべていた。
「なんなんだ!?・・・出会ったその日に口づけなど・・・。」
そう口から、怒りの籠った言葉が吐き出された瞬間・・、アルベルトの瞳が大きく揺れた。
しかし、自分も昨日降ってきた美月を抱きとめた時に事故だ、唇泥棒だと罵(ののし)られは
したが、しっかりと唇と唇を合わせていた光景を思い出して頬にカッと熱を帯びた。
甘い唇の感触を思い出して、左頬に手を当て朝からとんでもなく心拍数の高まりを覚えた。
< ・・・バターン!!! >
「・・・・!?」
驚いた王子は、部屋に入ってきた者の姿を確認してギョッと目を見開いた。
「・・・アルベルト様っ!!遅いですよ!?騎士団長が寝坊ですか・・・!?」
白いシャツに、黒いズボンを穿いて腰までの長い赤茶の髪をポニーテールに纏めた美月が
大きな白く金の彫りと、精工な細工で彩られた王子の寝室へと続く扉の前に立っていた。
「おま・・。朝から、男性の部屋へとノックもなしに、侵入する令嬢がいるか!?」
寝間着姿のアルベルトは、驚いてベッドから飛び起きた。
焦って、美月の元へと駆けつけて部屋から出ていかせようとした。
「・・・だって。アルベルトがいないと、駄目なんだもの。」
「なっ・・何を、朝から・・・。そんな・・・。」
酷く動揺したアルベルトは、頬を赤らめてそっぽを向きながら頭をクシャリとかいた。
困って眉根を寄せた美月は、アルベルトを上目遣いで見上げる。
「だってね、王立騎士団の皆さんは全員伸びちゃったし、魔術騎士団は、流石に魔力も強いし
信じられない技を繰り出して来て強いんだけど・・・。触れなくてね・・。
朝から3回倒れちゃったの・・・。」
「・・・は?」
「だーから!!男性不信だったの忘れて、稽古つけに行ったら何度も倒れちゃってね・・。
ノア王子と、アルベルトしか私のお相手が出来る人がいなくて・・・。」
「・・・・そういう事か。急に何を言っているのかと思った。」
「ん?・・・何、どういう事!?」
不思議そうに見上げた美月の心は、「なんで?他に意味なんてあるの?」と至極当然そうに
言っていた。
はいはい・・。
そうですよね!!!
「じゃあ、今から着替えるから・・・・。ほら、朝から男性の寝室に出入りした所を見られると
あらぬ誤解や、お前の貞操が揺らぐから・・・。」
< ガチャ・・。>
「アルベルトー・・・。昨夜の疲れで、朝の鍛錬に出れなくて・・。
すまな・・・い・・。」
「「・・・あ。」」
アルベルトと、美月は入ってきたアレクシスと目が合い固まった。
「・・・あ、あれ?み・・美月??何でアルベルトの寝室に・・。」
「いや、待て・・!!断じて違うから・・・!!」
紫の瞳を潤ませたアレクシスが、2人を交互に見やり納得したように頷いた。
・・・絶対、誤解している!!
まずいぞ・・。
アレクシスは歩くスピーカーと言われているのに・・!!
「いや・・。ちょっと、待てよ?おい、アレクシス、誤解だ!!!」
美月は、2人のやり取りに変な汗を浮かべて不安そうな表情を浮かべていた。
「ごめん、俺・・・。失礼しました!!!」
・・・バタン!!!
大きな音を立てて、扉が閉められ、大声で叫びながらアレクシスが何処かへ走り去って行った。
「・・・あのー。何か、この展開は、非常にまずいですよね?」
ごくりと喉を鳴らして、美月は眉を顰めてアルベルトを見上げた。
コホンと咳払いをしたアルベルトは、にっこりと笑った。
「まずいどころじゃない!!!・・・すぐに誤解を解かねば!!あいつ・・。父上や母上に
誤った報告を・・・。すぐに着替えて行くから、続き部屋で待っていてくれ。」
「わ・・分かりました!!ご迷惑かけてすみません。」
昨日のルナとリリアの様子を見て知っている美月には、この誤解が非常に不味い方向へ行きそうな
嫌な予感に駆られて寒感しかしなかった・・・。
その後、急いでカイザルと、ルナ、リリア達が一同に食事を取っているダイニングへと足早に
向かった2人は、ダイニングに着いた瞬間に大喜びで迎えられた事は言うまでもない。
「おめでとう!!!何で貴方が婚約しなかったのかと思っていたけど・・。
この日の為だったのね!!
遂に運命の人に出会ったのね・・・。アルベルト!!」
「はぁ!?何を言われもない妄言を・・。
母上、アレクシスがどう伝えたか知りませんが、
騎士団の男に触れられれば気絶してしまうから、
朝の稽古をつけてくださいと美月が頼みに来ただけです!!!」
「・・・朝の稽古?」
サイラスと、エリカはニヤニヤ笑いながらアルベルトに
意味ありげな視線を送る。
「姉上!?・・な、なにを・・・。騎士団の鍛錬を受けたいと・・。
皆様、馬鹿げた妄想はお辞めください!!!」
アルベルトが焦れば焦るほど、親たちは微笑ましく優しい目線を送っていた。
「・・・駄目だ、こりゃ・・。」
美月の呆れ果てた言葉は宙に投げられ、皆の意気揚々とした闊達な言葉達にかき消された。
ルナは、目に涙を薄っすら浮かべてほほ笑んでいた。
珍しくカイザルも嬉しそうに口角を上げて、食事を食べていた。
否定を強くしても、このキャラが集いし食卓では「年頃だもの・・。駄目よ!!」
「あまり、詮索しては上手くいくものもいかないわよ!!」など、意味不明な会話が飛び交っていた。
リリアは、ルナとエリカと興奮気味に2人の様子を観察しながら朝食を取っていた。
そんな折、こっそりと美月を見ながらアルベルトは声を潜めて呟いた。
「・・・食事の後、稽古をつけようか?アルベルディア出立まで1週間しかないが、魔術も教えこんで
やる。どんな刺客が現れるか分からないからな・・。」
「解りました!!宜しくお願いします。あの・・。医術のような魔術も、教えて頂けますか?」
「それは、回復させる呪文や、手を翳して体を治すトリートの魔術のことか?何処でそれを・・。」
紅茶が注がれたカップを持ちながら、アルベルトは怪訝な表情を浮かべた。
「先ほど、魔術騎士団の医師にお聞きしました。お爺さんは、医術の心得と、魔術を使った治療行為で
死ななければ、どんな病や、傷も治せると聞きました。私も、医術の習得を目指して学校で学ぶものです・・。私の目指していた、どんな病気でも治せる医療が、ここにはある気がして・・・。」
「お前は・・、今も変わらず医師を目指しているのだな・・。
私も、魔力が父ほどではないが、相当数持っているから、死ぬ以外は大丈夫だが・・・。
果たして、お前にその力があるかは・・・。」
美月は、緊張気味に目を瞑り手を合わせた。
「お願いします!!!努力で磨けるものなら、どんな努力でもします。
目の前で死にそうな人を・・・。今度は失わない力を、身に着けたいのです!!!」
その言葉に、アルベルトは大きく瞳を見開いて苦しそうに顔を顰(しか)めた。
「・・・わかった。私で、出来るだけの事は教えてやる。
後は、魔術騎士団の医師だけでなく、魔術師団の医魔術師を紹介しよう。
鍛錬が終わった後は、そこでしっかり学ぶといい。」
「本当に・・!?いいんですか?・・・嬉しい!有難うございます!!」
その言葉を聞いた美月は、とても嬉しそうに穏やかな笑顔を浮かべた。
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