二者択一で転移した令嬢は2つの月の狭間で揺れる。

館花陽月

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異世界。

薔薇の棘。

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長い長い採掘場の中を、進んで行く。

誰もいない場所な筈なのに、誰かに見られているような気配をさっきから感じる・・。

「アルベルト、分かれ道だ・・。どうする?」

先を照らしながら進んでいた、クレイドルが振り返る。

「イムディーナに右に行ってもらおう。
我々は左へ進もう。」

分かれ道を左に進路を取る。

私は印と伝言を残して、後方のイムディーナへと知らせる。

ルードリフは、背後も気にしながらゆっくりと進んでいた。

「何だか・・。誰かに見られているような・・。」

私は、アルベルトに握られた手をぎゅうっと握った。

「ああ・・。間違いないな。
しかし、ここでは道幅も狭いし仕掛けては来ない。戦闘になるとすれば、
この先の地図にあった行き止まりか・・。」

「どちらにしろ、お前は絶対守るから。」

私の瞳を鋭く射ぬくその視線にドキッとした。

横顔も凛々しいアルベルトを見上げて、呆れたように呟く。

「・・嫌よ。
わたしは守られるのも、しまわれるのも嫌です!
・・ちゃんと私も一緒に闘うわ。
私がまた貴方を助けてみせるから。」

「はあ・・。やっぱりだ。
黙って守られてくれないよな。僕のお姫様は・・。」

溜め息混じりに、私を困ったように見つめて笑う。

「美月様は、騎士団の手練れ並みにお強いですからね。
しかし、ただの鉱山跡地なら敵などに遇わないはずなんですけどねぇ・・。可笑しいな。」

「ああ、残念なことにただの採掘場ではないようだな?
ただ事ではない秘密があるんだろうな、この奥に・・。っと、・・なんだ?」

・・ドン。

アルベルトは、前を歩いていたクレイドルにぶつかって驚いた様子で彼を見た。

クレイドルは呆然と突っ立っていて彼の背中にぶつかった形になっていた。

道の先には、広い空間が広がっていた。

そこの奥には、鋭く水晶のように尖る剣先のように聳える大きな緑石の結晶体が存在感を放ち、眩い輝きを放っていた。

「な・・なに、これ!?・・宝石?」

私は、大きなその結晶を瞳をしばたかせて見上げた。

震える声で、クレイドルが叫んだ。

「な・・、何だ!?
魔法と同じ、、緑色の石の結晶の塊り!?」

アルベルトは、クレイドルの前に現れた緑色の巨大な結晶に目を見開いた。

「これは・・。確かに、魔法石によく似ている。
いや・・、しかしこの結晶からは・・・。
全く魔力を感じない。」

そんな・・!!

魔法石でないなら、この巨大な緑色の結晶の正体は・・。

私は、一瞬この石と同じ鉱石のページが頭に浮かぶ。

「・・待って、わたし・・・。これ何処かで見たことがあるわ!!」

大きく目を見開いて、叫んだ私の声が洞窟の中をこだます。

私の声に、アルベルトとクレイドルは驚いて振り向いた。

記憶を辿る・・。

Cu2+(UO2)2(PO4)2.8-12H2O

ウランを貯め込んだ鉱石・・・!?

「燐銅ウラン鉱!?エメラルド色で美しい鉱物だけど・・。
これ、ウランの毒素を持つ鉱物だわ!!
わたし・・。鉱物図鑑で昔、見たことがあるの!!
そんな物を・・。魔法石と偽って、ここで採掘していたなんて・・。
こんな物を誰が・・!?」

「毒素がこの石の中にあるのか??何故だ・・、どうして、そんなことを・・・。」

眉を顰めたアルベルトの腕を掴んだ私は、その場から踵を返して走り出した。

「・・おいっ。どうした!?」

「戻るわよ!!・・クレイドルも、ルードリフも入口に急いで・・!!」

「・・・美月、急にどうした?」

クレイドルは、私の言葉にすぐに出口へと向き直り、アメジストの瞳を翳らせて不安気に
私を見る。

ルードリフも、しっかりと歩幅を合わせて着いてきていた。

「こんなに大きなウランの結晶・・!!
ここに長い時間側にいちゃダメだわ・・。
みんな!!すぐにここから退避しないと・・!!」

イムディーナ達にも、早く伝えなければ・・。

私は、下唇を噛んで眉を顰めて足を速めた。
長い髪が揺れる。

足場の悪い中、先頭を走るクレイドルのくれた明かりを頼りにひた走る。

シュッ・・!!

カキン!

 放たれた矢を、クレイドルが打ち返した。

「・・っ!!誰だ!?」

「これより先へは、行かせない!!
知られたら困るんだよ・・。
さぁ、ここがお前たちの墓場だ!!」

銀色の髪の護衛兵士エストラが、黒いマスクと黒い装束を身に纒い、私たちの前に立ち塞がったのだった。

「あの鉱石の正体を、ノア王子は知っていたの?
エストラ!!」

私の青と金色の瞳を捉えたエストラは、金色の瞳を激しく揺らした。

私の言葉に、ピクリと眉を動かしたエストラは左右に首を振った。
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