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異世界。
エストラの願い。
しおりを挟む「このウランを倍増させる科学・・。それが、我らの目指す真の支配の構図を実現させる。
ノア王子は知らぬ間に、その装置の研究も地下組織に命じて行わせている。
子供の頃から、入院がちだった俺は、ゲームの世界にのめり込んでいった・・。
力や武器、戦いに憧れた。国防の専門家だった父の専門書を読み漁ってばかりいたよ。
この世界では、ノア王子が最初に科学の力を使った武器を考案したんだ・・。
そこからは、早かったよ・・。皆、取りつかれるようにより便利で強いものを求めた」
「・・・ふざけるな!!罪もない人間を、力で押さえつけるなど・・・。」
アルベルトは、震える声でエストラを睨み付けた。
黒い剣先にもその動揺は伺えた。
私たちの世界を見て、発展を遂げていた私たちの世界の悪しき物が
彼がこの世界に転生したことで恐ろしい未来へと大きく動いてしまった・・。
エストラは、大きく高笑いをするとフンと呆れたように鼻を鳴らす。
「そんなの・・魔術だってそうだろ?
いや、そっちの方が質が悪いか・・。
どうせ、選ばれた人間の血で使えるかが決まる。
まるで選民主義の縮図だ!!
科学は、誰でもその恩恵に預かれるんだ!!
・・・しかも、使い方も簡単で誰でも操作が可能だ!
素晴らしい力だと思わないか!?」
「死者は?貧困に喘ぎ、その人たちの救済の為に頑張って研究していたノア王子の
救いたかった民の命を奪っていたことは・・。罪悪感はないの?」
ジャリっと一歩近づくと、アルベルトが私の腰に手を回して止めようとする。
「美月、君だって知っているだろ?
発展の為に犠牲は付き物だよ。
強力な兵器を求める国が多くてね。
この国の犠牲者は、その恩恵への代償のようなものだ。」
「・・・エストラ。
ここは、私たちの世界じゃないのよ?ノアもそう!!
持ち込んではいけない力を持ち込めば、沢山の関係のない人が死んでしまうの・・。
この世界で平和に暮らす人を、支配して王様気取りになって何がしたいのよ!!」
「シェンブルグ、アルベルディア、ルーベリア・・・。この3つの国の覇権を取る・・。
それが主の望みだ!!まずはアルベルト王子・・。お前は、目障りなんだよ。
僕の美月に近づくなんて許せない・・。今すぐ死ねっ!!!!」
銃を構えたエストラは、緑色の結晶の弾を取り出して黒い手袋で掴んで装着した。
金色の瞳は鋭く、アルベルトの青い瞳を睨む。
「・・なっ。まさか、それウラン結晶?・・てことは、ウラン弾なの??」
ゾッとした寒感が私の体を走った。
唇が渇ききって声が擦り切れていた。
私は、信じられない目で銃を構えたエストラを見つめていた。
ニヤリと笑ったエストラの笑みに、私の血管がブチ切れた!!
私は、エストラに剣を構えて向かって行く。
「・・おい!!美月!?無茶するな!!」
私の腕を掴もうとしたアルベルトの手は宙を切った。
眉を顰めたアルベルトは、ルードリフとクレイドルに目配せをした。
「行くわよ!!・・氷結粉砕撃破!!!」
「へえ?君、魔術の全般を使えるの・・??
ああ・・。ますます、欲しいよ・・。君がぁっ!!!!」
銃へと放った氷の礫が、エストラの右手に当たってその銃を取り落とした。
すぐに私の剣が頭上に振り降ろされて、左手で帯剣していた小ぶりな剣で受け止めた。
カキィン・・!!
キィーーン
剣劇が続く様子を、不安そうにアルベルトが見つめていた。
ガキン・・!!
フラッと足場を取られた瞬間に、肩目がけて降られた剣劇をやっとの思いで受け止めた。
「くっ・・・!!
・・残念ね、剣劇なら負けないわよっ。」
後ろに思い切り飛んで、構えなおした剣を向けて走り出した。
キィン・・。
「・・・やるね。速いし、重みのある剣だね。」
「そうね。では、これはどう??」
・・・ドカッ!!
「ぐわっ・・!!」
「・・・蹴りにも自信があるのよ。悪いわね・・。」
私の重い剣すらも、片手で受け止めたエストラの腹に蹴りこむ。
ドカッと、洞窟の壁へと吹き飛ばされたエストラの前に金色の髪をサラりと靡かせて
ほほ笑んだアルベルトが、落ちた銃を構えた。
「・・・な、なにっ。」
エストラは、驚きの形相でアルベルトを見た。
「お前たちが作った武器で、殺された沢山の命を思うと・・。
胸が痛むよ。
一発の魔術で楽に死なせてあげたいところだが・・。それは、死んでいった者たちが浮かばれないだろ?
この自分たちの作った武器で殺されるのはどうだ?」
青い瞳は、鋭い殺気を放っていた。
騎士団の黒い騎士服が死神の衣装のように見える。
「くそっ・・!!」
真っ青になったエストラは、すぐに起き上がり剣をアルベルトに向けて突進していった。
引き金を引かずに、アルベルトは間近に迫ったエストラを見つめて銃を構えた。
ゴクリ・・。
私は、驚くべき光景に目を疑っていた。
エストラの剣も素早く振り下ろされようとしていた。
パァァァアン・・。
触らずとも、引き金が下され至近距離でエストラの胸に玉が一瞬で飲み込まれた。
剣はもうすぐアルベルトの首めがけて届きそうな距離で一発の銃声が鳴り響く。
「・・っ!!アルベルト!!」
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