69 / 94
異世界。
神力を持つ者。
しおりを挟む
私はその声のした方向へと、振り返った。
肌寒くなった夜風の中で、美しい翠の瞳が輝いていた。
モスグリーンのドレスが似合う、美女。
金色の長い髪が目の前でふわりと揺れる。
信じられぬ人物が、目を凛々と見開きわたしの前に立っていた。
「え、ええっ!!・・エリカ様っどうして!?」
「どうって?スパイに決まってるじゃなーい。
エレクトラの容姿をコピーして、ばっちり変装したのよ!?
あ、イムディーナにはすぐバレたけどね。
目敏いのよ、だから神官て嫌だわ。」
ため息をつきながら微笑む美女に、イムディーナは眉を下げて複雑そうに笑う。
私は慌てて、真っ青になっていた。
思いもよらぬ人物を前にして固まる。
私のリアクションに満足した様子のシェンブルグ王子アルベルトの姉、エリカが笑顔で微笑む。
さらっと騙されてた!!
エリカ様の変装能力高すぎです・・!!
「・・でも、スパイって?
エリカ様は、何を探ってらしたんですか?」
私の言葉に、一瞬だけ瞳を伏せたエリカは悲しそうに私を見つめる。
「エストラも含めて、我が国にアルベルディアの王子たちを率いれた人物の正体を探るためよ?」
その言葉に私は唖然とした表情で、信じられぬ言葉にぶるっと震えた。
だって、、エストラ以外にもいるってことだ。
内通する者が・・。
「美月、不思議に思わなかったか?
刺客が、アリアドネスまで追ってきたことに・・。中にも、待ち伏せを行う者がいた。
ルートの詳細が流れたと考えるべきだ。」
「そんな・・。だって、それでは・・。」
私は、驚いて二人を見つめる。
悲しそうに微笑むイムディーナと、決意を浮かべたエリカ。
明日の戦いに暗雲が立ち込めた気がした。
カツン・・。カツン。
誰かの足音が聞こえてくる。
こちらへと向かう足音は、ゆっくりと近づいてくる。
「・・わたくしは、優秀なのよ?
コンビクションタワー内に水の間を私がしっかり見つけたわよ?
・・必ず化けの皮を剥がしてやるわ。
さあ、私はエレクトラに化け直して戻るわ。
・・どんな事が起きても、貴方は信じた選択をしてね。私が憧れ続けたエリカの娘・・。
貴方の戦いを、後悔のないようにね。」
パチンと指を鳴らすと、目の前には漆黒の髪を揺らし、揃いの色を湛えたエレクトラが立っていた。
うわぁ・・。
エリカ様すごい!!!
「因みに、彼の姫も・・。
・・恐ろしい神力を持つ姫だ・・。
カイザル王に頼み込んで、自らスパイに志願した変わりもの・・いや、勇敢な姫だ。
・・ゴホン。」
「嘘!?
めちゃめちゃ頼もしいじゃないですか!!
神力者二人なんて最強ですね。
カイザル王に感謝です!!」
困ってたような笑みに、私は今はエレクトラに化けた姫の背中を見つめた。
「美月、イムディーナ様。・・探しましたよ!!」
銀色の髪の王子が姿を現した。
優しいガーネットの瞳は安堵した様子を浮かべていた。
「晩餐は君の好きなお菓子と、御馳走を用意してるよ・・。さあ、みんなが待ってる。」
穏やかな瞳は、愛しそうに美月を見下ろしていた。
「お菓子・・。楽しみなんだけど、食べ過ぎて明日に支障がでそうです。・・悩ましいわ。」
「あははは。その食い意地は変わらないね。
たしなめてあげるから、言うことを聞いてね?」
自信がない提案に呻き声を上げた。
「・・む。過ぎたら稽古をすればいいかしら。
消費が上回れば・・。」
「そちらの方が支障が出るってば・、あははは。」
イムディーナは、楽しそうな笑い声と共に王宮へと戻る二人を後ろから見つめていた。
「・・神力を持つ者か・・。」
「それでも、一筋縄ではいかぬだろう。
あの物たちは化け物になりさがったのだ・・。
生身では太刀打ちできまいな。
・・我は役目を果たすまでだ。
どんな犠牲を払っても、君の選択の邪魔はさせぬ・・。それが我の役目。」
彼らの覚醒がなくてはそれも難しい・・。
漆黒の月を見つめたイムディーナは、そっと瞼を閉じた。
肌寒くなった夜風の中で、美しい翠の瞳が輝いていた。
モスグリーンのドレスが似合う、美女。
金色の長い髪が目の前でふわりと揺れる。
信じられぬ人物が、目を凛々と見開きわたしの前に立っていた。
「え、ええっ!!・・エリカ様っどうして!?」
「どうって?スパイに決まってるじゃなーい。
エレクトラの容姿をコピーして、ばっちり変装したのよ!?
あ、イムディーナにはすぐバレたけどね。
目敏いのよ、だから神官て嫌だわ。」
ため息をつきながら微笑む美女に、イムディーナは眉を下げて複雑そうに笑う。
私は慌てて、真っ青になっていた。
思いもよらぬ人物を前にして固まる。
私のリアクションに満足した様子のシェンブルグ王子アルベルトの姉、エリカが笑顔で微笑む。
さらっと騙されてた!!
エリカ様の変装能力高すぎです・・!!
「・・でも、スパイって?
エリカ様は、何を探ってらしたんですか?」
私の言葉に、一瞬だけ瞳を伏せたエリカは悲しそうに私を見つめる。
「エストラも含めて、我が国にアルベルディアの王子たちを率いれた人物の正体を探るためよ?」
その言葉に私は唖然とした表情で、信じられぬ言葉にぶるっと震えた。
だって、、エストラ以外にもいるってことだ。
内通する者が・・。
「美月、不思議に思わなかったか?
刺客が、アリアドネスまで追ってきたことに・・。中にも、待ち伏せを行う者がいた。
ルートの詳細が流れたと考えるべきだ。」
「そんな・・。だって、それでは・・。」
私は、驚いて二人を見つめる。
悲しそうに微笑むイムディーナと、決意を浮かべたエリカ。
明日の戦いに暗雲が立ち込めた気がした。
カツン・・。カツン。
誰かの足音が聞こえてくる。
こちらへと向かう足音は、ゆっくりと近づいてくる。
「・・わたくしは、優秀なのよ?
コンビクションタワー内に水の間を私がしっかり見つけたわよ?
・・必ず化けの皮を剥がしてやるわ。
さあ、私はエレクトラに化け直して戻るわ。
・・どんな事が起きても、貴方は信じた選択をしてね。私が憧れ続けたエリカの娘・・。
貴方の戦いを、後悔のないようにね。」
パチンと指を鳴らすと、目の前には漆黒の髪を揺らし、揃いの色を湛えたエレクトラが立っていた。
うわぁ・・。
エリカ様すごい!!!
「因みに、彼の姫も・・。
・・恐ろしい神力を持つ姫だ・・。
カイザル王に頼み込んで、自らスパイに志願した変わりもの・・いや、勇敢な姫だ。
・・ゴホン。」
「嘘!?
めちゃめちゃ頼もしいじゃないですか!!
神力者二人なんて最強ですね。
カイザル王に感謝です!!」
困ってたような笑みに、私は今はエレクトラに化けた姫の背中を見つめた。
「美月、イムディーナ様。・・探しましたよ!!」
銀色の髪の王子が姿を現した。
優しいガーネットの瞳は安堵した様子を浮かべていた。
「晩餐は君の好きなお菓子と、御馳走を用意してるよ・・。さあ、みんなが待ってる。」
穏やかな瞳は、愛しそうに美月を見下ろしていた。
「お菓子・・。楽しみなんだけど、食べ過ぎて明日に支障がでそうです。・・悩ましいわ。」
「あははは。その食い意地は変わらないね。
たしなめてあげるから、言うことを聞いてね?」
自信がない提案に呻き声を上げた。
「・・む。過ぎたら稽古をすればいいかしら。
消費が上回れば・・。」
「そちらの方が支障が出るってば・、あははは。」
イムディーナは、楽しそうな笑い声と共に王宮へと戻る二人を後ろから見つめていた。
「・・神力を持つ者か・・。」
「それでも、一筋縄ではいかぬだろう。
あの物たちは化け物になりさがったのだ・・。
生身では太刀打ちできまいな。
・・我は役目を果たすまでだ。
どんな犠牲を払っても、君の選択の邪魔はさせぬ・・。それが我の役目。」
彼らの覚醒がなくてはそれも難しい・・。
漆黒の月を見つめたイムディーナは、そっと瞼を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる