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26話 神の国の掟とは?
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ミカの機転という名のセクシャルなハラスメントにより、目玉の神は一目散に逃走した。この負け犬の吐いた「なにも【見】てない、だから許してくれ」という弱音が心地よかったのか、五段座布団に座る女神様はご満悦だ。
「カーッ、お前はってやつは本当に恐ろしいんだよ…」
「恐ろしいだなんて心外ですね。私のような清廉潔白な乙女に向かって…。ですが、実際に神様に触れる事が出来て心が躍っているので良しとします」
天井を見上げ「ご利益がありそうですよね」と呟くが、あんな事をしでかしておいて天罰以外を望む豪胆さにカラスは呆れて言葉を失った…。
「あのさ…ちょっとマズイんじゃないの?」
目玉の神が開け放った扉をしっかり閉めて、ついでに塩をまいている壱がカラスを見やる。
「…なにがだい?」
「あの目玉の野郎…、人間が居ると疑って俺の家に来たんだろ?ミカさんに会ったのに何もせず逃がしたのは結構マズイんじゃ…」
「息の根を止めておくべきだったと?ヒューッ!!壱さん過激ですね」
「そこまでは言ってないよ!」
「そうだね、息の根はともかくとしても口止めくらいすべきだった…」
壱の疑問に己の甘さを自覚し、カラスは乱暴に頭をかいた。
「あの…素朴な疑問なのですが。そもそも掟というのは何なのでしょうか?なぜ、人間がこの国に居てはいけないのでしょうか?」
「…それは俺も気になるな。カラスどうなんだ?」
「簡単な話なんだよ。人間がここに居たって誰も幸せにならないからさ…壱なら理解出来るだろ?」
「それは…まぁ…」
壱は小上がりに腰掛け、過去の自分を思い起こしたのか小さく嘆息した。
「そんな掟があるのなら、なぜ壱さんはこの国に存在してるのでしょうか?それに愛されてるとは言えませんが、存在することは受け入れられてますし…」
「壱の存在自体がこの掟のキッカケなんだよ…」
「そうなのか?それは初耳だぞ」
「ふむ…やはり壱さんも特別な存在なのだと?」
壱は振り返りカラスの横顔を見つめる。ミカも同じく興味深そうに顎に手を当て、カラスの言葉を待った。しばし悩んでいたようだが、覚悟を決めたのか大きく深呼吸をしてカラスはゆっくりと語りだした。
「神隠しはその女が調べたように遥か昔からあったんだよ。こういっちゃなんだけど、青く愚かな神が悪戯として遊び半分といった感じでね」
「そんなんで連れて来られるなんて迷惑な話だな…。これだから神ってやつは…」
「いえ、壱さん。確かに無理矢理さらうなんて形なら良くないでしょうが、私のように来たいと望む人もいらっしゃったのじゃないでしょうか?」
「ああ…神の行為を擁護する訳じゃないけど、そいつの言う通り人間の生活に飽きたり、嫌気が差してこっちの世界を望むやつが居たのは確かなんだよ。神への祈りってやつさ…」
「そう…なのか…、それもそうだよな」
二人の指摘にバツが悪そうに鼻の頭をかく壱の肩をポンポンと愉悦たっぷりのミカが叩く。
「大丈夫ですよ、壱さん。私のように相手の気持ちを考えて発言できる出来た人間はそう居ませんので…ふふっ」
「…だったら、お前は神の国へ行きたくないって気持ちは理解できるのカーッ?」
「ごめんなさい、それはちょっと理解できませんねぇ」
ミカはカラスの翼ではたかれた。
「フワッとして気持ち良いですね…」
「カーッ、お前はってやつは本当に恐ろしいんだよ…」
「恐ろしいだなんて心外ですね。私のような清廉潔白な乙女に向かって…。ですが、実際に神様に触れる事が出来て心が躍っているので良しとします」
天井を見上げ「ご利益がありそうですよね」と呟くが、あんな事をしでかしておいて天罰以外を望む豪胆さにカラスは呆れて言葉を失った…。
「あのさ…ちょっとマズイんじゃないの?」
目玉の神が開け放った扉をしっかり閉めて、ついでに塩をまいている壱がカラスを見やる。
「…なにがだい?」
「あの目玉の野郎…、人間が居ると疑って俺の家に来たんだろ?ミカさんに会ったのに何もせず逃がしたのは結構マズイんじゃ…」
「息の根を止めておくべきだったと?ヒューッ!!壱さん過激ですね」
「そこまでは言ってないよ!」
「そうだね、息の根はともかくとしても口止めくらいすべきだった…」
壱の疑問に己の甘さを自覚し、カラスは乱暴に頭をかいた。
「あの…素朴な疑問なのですが。そもそも掟というのは何なのでしょうか?なぜ、人間がこの国に居てはいけないのでしょうか?」
「…それは俺も気になるな。カラスどうなんだ?」
「簡単な話なんだよ。人間がここに居たって誰も幸せにならないからさ…壱なら理解出来るだろ?」
「それは…まぁ…」
壱は小上がりに腰掛け、過去の自分を思い起こしたのか小さく嘆息した。
「そんな掟があるのなら、なぜ壱さんはこの国に存在してるのでしょうか?それに愛されてるとは言えませんが、存在することは受け入れられてますし…」
「壱の存在自体がこの掟のキッカケなんだよ…」
「そうなのか?それは初耳だぞ」
「ふむ…やはり壱さんも特別な存在なのだと?」
壱は振り返りカラスの横顔を見つめる。ミカも同じく興味深そうに顎に手を当て、カラスの言葉を待った。しばし悩んでいたようだが、覚悟を決めたのか大きく深呼吸をしてカラスはゆっくりと語りだした。
「神隠しはその女が調べたように遥か昔からあったんだよ。こういっちゃなんだけど、青く愚かな神が悪戯として遊び半分といった感じでね」
「そんなんで連れて来られるなんて迷惑な話だな…。これだから神ってやつは…」
「いえ、壱さん。確かに無理矢理さらうなんて形なら良くないでしょうが、私のように来たいと望む人もいらっしゃったのじゃないでしょうか?」
「ああ…神の行為を擁護する訳じゃないけど、そいつの言う通り人間の生活に飽きたり、嫌気が差してこっちの世界を望むやつが居たのは確かなんだよ。神への祈りってやつさ…」
「そう…なのか…、それもそうだよな」
二人の指摘にバツが悪そうに鼻の頭をかく壱の肩をポンポンと愉悦たっぷりのミカが叩く。
「大丈夫ですよ、壱さん。私のように相手の気持ちを考えて発言できる出来た人間はそう居ませんので…ふふっ」
「…だったら、お前は神の国へ行きたくないって気持ちは理解できるのカーッ?」
「ごめんなさい、それはちょっと理解できませんねぇ」
ミカはカラスの翼ではたかれた。
「フワッとして気持ち良いですね…」
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