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26. 不穏な空気

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「今、声聞こえなかった……?」

「聞こえたな」

 見知らぬ女性の声はレナさんにも聞こえていたようだ。

「アナウンス、追加されたんだな」

「みたいだね」

 謎の声は外から聞こえるのではなく、頭の中に直接響いてくる感じだ。だから他人には聞こえていないだろう。
 少しうるさいが、倒したかどうかが明確に分かるのは後々助かるだろう。

 ちなみにだが、デッカいGの身体は消えたが白い粘液は消えていない。
 どういうわけか分からないが、モンスター本体から離れた物は残ってしまうらしい。

「次やるか」

 デッカいGはこの辺りにはもういないようだ。
 近くにいるのは飛び跳ねているキャベツだろう。

「これ、食べれるのかな?」

「葉っぱむしってみるか」

 キャベツだもんな。食べれるだろう。

 早速距離を詰めて、スキルを発動させた。
 だが、キャベツは葉っぱを飛ばして攻撃してきた。

 目の前で予備動作無しに攻撃が放たれたせいで、回避し切れずに俺の腕を直撃した。

「痛っ……くない」

「パンって凄い音したけど、大丈夫なの?」

「ああ、なんともない」

 これもステータス、特に防御力が上がったお陰だろう。レベリング、大事。
 ちなみにキャベツは眠ったらしくピクリとも動かなくなっている。

「よし、葉っぱむしるか」

 スーパーで売ってるキャベツみたいに薄緑色ではなく、外側の濃い緑色の葉っぱまである。

 丁寧にむしるのはめんどくさいから、真ん中の薄緑色の部分を剣で斬ってみた。
 だが……。

〈経験値を獲得しました〉

 切った部分も含めて全て青い霧と化してしまった。

 この後も何回か試したが、丁寧にむしる以外に収穫することは出来なかった。
 一体どういう仕組みなのか分からないが、モンスターから食材を調達するのはかなり大変なようだ。

「普通にレベリングするか」

「うん」

 というわけで、俺が一気に距離を詰めてから眠らせ、交代でトドメを刺していく。

 このやり方で市役所の周りを駆け巡ること二時間。
 俺達のレベルは全く上がらなかった。


 なんとなくだが、レベルが20を超えてから中々上がらなくなっている。
 要求経験値がかなり増えているのだろう。

 しかしそれ以外にも理由があった。
 この辺りのモンスターが数を減らしているのだ。

「そんなに倒してないはずなんだけどな……」

「何かから逃げてるのかな?」

「モンスターが逃げ出すような何かって、ドラゴンくらいしか思い浮かばないぞ?」

「うーん……」

 ドラゴンの気配なんて欠片も無い。
 だとすれば、ドラゴン以外の強力なモンスターがいると考えるのが普通だろう。

 だが、そいつは正体を現すことなく、日が暮れそうになる頃には周囲のモンスターの姿は完全に消えていた。
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