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34. 鎮圧
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ドゴッ!
ボコッ!
ドスッ!
「あんま痛くない……?」
オークに殴られながら、俺はそんなことを呟いた。
洒落などではなく、オークの攻撃が通っていないようなのだ。
でも鬱陶しいから眠らせた。
武器持ちがいたら痛手を負う可能性もあるからな。
ちなみにレナさんの方を見てみると、他人事のように俺が殴られる様子を見ていた。
「見てないで助けてくれよ!?」
「大丈夫そうだったから、お荷物は参加しない方がいいかなって……」
「お荷物という割には大分倒してるみたいだけどな?」
降りてきたレナさんが剣を振れば、三体のオークが一気に青い霧と化す。
大体は俺と同じ討伐ペースだ。
「あと二百体くらいか」
「余裕だね」
なんてやり取りをしながら、睡眠スキルを使わずに倒していく。
もはやオークやゴブリンは俺達の敵ではなかった。
数体だけ中々倒れないオークはいたが、睡眠スキルのお陰で一方的に攻撃して倒した。
そしてついに……。
「やっと終わった……」
「レベル、1しか上がらなかったよ……」
「俺もだ」
後ろを振り返れば、結界が復活していた。
それと同時に目を覆いたくなるような惨状も広がっていた。
原型を留めていないビルの下敷きになっている人の呻き声。
破片に当たったのか、頭から血を流している人の姿もある。
そして元々何だったのか分からないほど薄く潰された赤い何か。
オークやゴブリンに殺された人は何度も見てきたから慣れたと思っていたが、ここまで生々しいと吐き気を催してしまった。
「俺のせいで……」
もっと早くゴーレムの動きを止められていたら、こんなことにはならなかった。
そう思ってしまったが、横からこんな声がかけられる。
「ううん、私達がいなかったらもっと酷いことになってたよ……」
「そう……だな……」
「それよりも、生きてる人を助けなきゃ」
「ああ」
ビルは原型を留めないほどに壊れているが、それでも生存している人はかなりいるようだ。
だが、救助は簡単ではないだろう。
重機なんて使えないから、全て手作業になる。
「ハルさん、ツルハシって作れる?」
「ああ、それで削るのか」
「うん。瓦礫はアイテムボックスに入れれば大丈夫だし」
「分かった」
返事をしてから、ツルハシを思い浮かべて錬金術スキルを発動させる。
すると全て金属で出来ている立派なツルハシが地面から生えてきた。
「先にビル削ってくるね」
「おう」
太陽はまだ高くはない。
日没までに全員の救助が出来るといいが……。
そんなことを考えながら、俺はツルハシを二十本ほど作り出した。
「そのツルハシ配ってきてもいいか?」
「ああ、配布は任せた」
近くにいた男性に声をかけられ、そう返す俺。
その人の姿を見ると、結構イカつい容姿をしていた。
焦る俺を他所に、その人は快く返事をしてくれた。
「おう。オークの討伐、サンキューな」
「ああ」
「ツルハシがあったぞー!」
それから、俺達は総出でビルを解体することになった。
だが……。
「一旦離れてくれ! 俺が持ち上げるから、その間に救助を頼む!」
電柱を武器にしている人がそんなことを口にしていた。
「いやいや、無理だろ……」
「流石に厳しいよね……」
一旦ビルから離れて、顔を見合わせる俺達。
しかしビルは少しずつ立ち上がろうとしていた。
そして……。
「今の内に頼む!」
「……無理じゃなかったな」
「うん……」
ビルはしっかり持ち上げられ、すぐに生存者の救助が行われた。
ボコッ!
ドスッ!
「あんま痛くない……?」
オークに殴られながら、俺はそんなことを呟いた。
洒落などではなく、オークの攻撃が通っていないようなのだ。
でも鬱陶しいから眠らせた。
武器持ちがいたら痛手を負う可能性もあるからな。
ちなみにレナさんの方を見てみると、他人事のように俺が殴られる様子を見ていた。
「見てないで助けてくれよ!?」
「大丈夫そうだったから、お荷物は参加しない方がいいかなって……」
「お荷物という割には大分倒してるみたいだけどな?」
降りてきたレナさんが剣を振れば、三体のオークが一気に青い霧と化す。
大体は俺と同じ討伐ペースだ。
「あと二百体くらいか」
「余裕だね」
なんてやり取りをしながら、睡眠スキルを使わずに倒していく。
もはやオークやゴブリンは俺達の敵ではなかった。
数体だけ中々倒れないオークはいたが、睡眠スキルのお陰で一方的に攻撃して倒した。
そしてついに……。
「やっと終わった……」
「レベル、1しか上がらなかったよ……」
「俺もだ」
後ろを振り返れば、結界が復活していた。
それと同時に目を覆いたくなるような惨状も広がっていた。
原型を留めていないビルの下敷きになっている人の呻き声。
破片に当たったのか、頭から血を流している人の姿もある。
そして元々何だったのか分からないほど薄く潰された赤い何か。
オークやゴブリンに殺された人は何度も見てきたから慣れたと思っていたが、ここまで生々しいと吐き気を催してしまった。
「俺のせいで……」
もっと早くゴーレムの動きを止められていたら、こんなことにはならなかった。
そう思ってしまったが、横からこんな声がかけられる。
「ううん、私達がいなかったらもっと酷いことになってたよ……」
「そう……だな……」
「それよりも、生きてる人を助けなきゃ」
「ああ」
ビルは原型を留めないほどに壊れているが、それでも生存している人はかなりいるようだ。
だが、救助は簡単ではないだろう。
重機なんて使えないから、全て手作業になる。
「ハルさん、ツルハシって作れる?」
「ああ、それで削るのか」
「うん。瓦礫はアイテムボックスに入れれば大丈夫だし」
「分かった」
返事をしてから、ツルハシを思い浮かべて錬金術スキルを発動させる。
すると全て金属で出来ている立派なツルハシが地面から生えてきた。
「先にビル削ってくるね」
「おう」
太陽はまだ高くはない。
日没までに全員の救助が出来るといいが……。
そんなことを考えながら、俺はツルハシを二十本ほど作り出した。
「そのツルハシ配ってきてもいいか?」
「ああ、配布は任せた」
近くにいた男性に声をかけられ、そう返す俺。
その人の姿を見ると、結構イカつい容姿をしていた。
焦る俺を他所に、その人は快く返事をしてくれた。
「おう。オークの討伐、サンキューな」
「ああ」
「ツルハシがあったぞー!」
それから、俺達は総出でビルを解体することになった。
だが……。
「一旦離れてくれ! 俺が持ち上げるから、その間に救助を頼む!」
電柱を武器にしている人がそんなことを口にしていた。
「いやいや、無理だろ……」
「流石に厳しいよね……」
一旦ビルから離れて、顔を見合わせる俺達。
しかしビルは少しずつ立ち上がろうとしていた。
そして……。
「今の内に頼む!」
「……無理じゃなかったな」
「うん……」
ビルはしっかり持ち上げられ、すぐに生存者の救助が行われた。
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