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35. ジークside 告げたいもの(1)
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アルディアがフィーナを誤飲してから1週間、俺はあることに悩まされていた。
フィーナが社交界用のドレスを受け取りに行った隙にティアナに相談してみたところ、こんな答えが返ってきた。
「ジーク様、早めに捕まえないと他の方のところに行ってしまわれますよ?」
「分かってはいる。だが、振られないか心配なだけだ」
初めて本気で惚れている彼女に振られたら立ち直れる気がしないからな。
1人の令嬢のために使用人や両親たちに根回ししているほどだからな。
今回のドレスの件も、手紙で両親に頼んでいたものだ。
手紙でなのは、修行中に本邸に立ち入ることが許されないからだ。
「何事も挑戦でございます」
「それで振られたらどうすればいい? 立ち直れる気がしないんだが」
距離はあるものの、共に暮らしているうちに彼女の性格に好感を持つようになっていた。
女といえば、俺の権力や容姿に惹かれて媚を売るばかりだったが、フィーナはそんな素振りが無かった。
それだけでも好感が持ててしまう俺は重傷なのだろう。昨日気付いたときには彼女の事しか気にしていなかった。
それで確信が持てた。俺はフィーナに完全に惚れてしまったのだと。
いい加減に婚約者を決めないといけないから、フィーナに告白したいのだが……彼女は複雑な状況に置かれている。
告白が彼女に負担をかけかねない事は理解しているが、万が一他の男に靡かれたくはないから余計に迷う。
社交界に出る前の12歳の頃、父に連れられて行ったローザニアで初めて出会ったときに彼女を好きになり、気持ちを告げられないまま婚約したことを知って失恋した経験があるからこれだけはかなり怖い。
ちなみに、修行は最低でも誰かと付き合っていないと終われない。
長引けば長引くだけ方々に負担をかけてしまうから、その心配もある。
そんな俺の心配を察してか、ティアナがこう口にした。
「少なくとも、振られることはないと思いますよ?」
「なぜ言い切れる?」
「フィーナ様の様子を見ていれば分かります。
少なくとも、ジーク様を嫌ってはいませんよ。むしろ、ジーク様のことを少し気にされていますよ?」
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
フィーナが俺のことを気にしているだと?
「あとは本人に聞いてくださいませ」
「おい、まだ話は終わってないぞ!」
「あの性格のフィーナ様がジーク様のお誘いを断れるとお思いですか?」
真っ直ぐ俺の方を見ながら自信ありげに口にするティアナ。
その言葉に偽りは無いはずだが、俺にはある懸念があった。
「いや、思わん……。だが、強制しているようで気が引ける」
「ヘタレ……!
そんなんだから今の今まで婚約者がいないんですよ? いい加減に覚悟を決めてください」
「ヘタレとはなんだヘタレとは!
おいユリウス、俺はヘタレなのか?」
流石にヘタレと言われれば俺でも怒るぞ?
主観だけで判断するのは良く無いからユリウスに聞いてからだが……。
「これほどまでに女々しいことをおっしゃっているジーク様がヘタレでなければなんと言えばよいのですか?」
キッパリと言うユリウス。
これではっきりした。現実は残酷なのだと。
思ったのだが、フィーナが来てから俺の扱いが雑な気がする。
フィーナのことを第一に考えて行動しろという指示を守ってのことなら咎めはしないが、いくら何でも雑すぎる……。
フィーナが社交界用のドレスを受け取りに行った隙にティアナに相談してみたところ、こんな答えが返ってきた。
「ジーク様、早めに捕まえないと他の方のところに行ってしまわれますよ?」
「分かってはいる。だが、振られないか心配なだけだ」
初めて本気で惚れている彼女に振られたら立ち直れる気がしないからな。
1人の令嬢のために使用人や両親たちに根回ししているほどだからな。
今回のドレスの件も、手紙で両親に頼んでいたものだ。
手紙でなのは、修行中に本邸に立ち入ることが許されないからだ。
「何事も挑戦でございます」
「それで振られたらどうすればいい? 立ち直れる気がしないんだが」
距離はあるものの、共に暮らしているうちに彼女の性格に好感を持つようになっていた。
女といえば、俺の権力や容姿に惹かれて媚を売るばかりだったが、フィーナはそんな素振りが無かった。
それだけでも好感が持ててしまう俺は重傷なのだろう。昨日気付いたときには彼女の事しか気にしていなかった。
それで確信が持てた。俺はフィーナに完全に惚れてしまったのだと。
いい加減に婚約者を決めないといけないから、フィーナに告白したいのだが……彼女は複雑な状況に置かれている。
告白が彼女に負担をかけかねない事は理解しているが、万が一他の男に靡かれたくはないから余計に迷う。
社交界に出る前の12歳の頃、父に連れられて行ったローザニアで初めて出会ったときに彼女を好きになり、気持ちを告げられないまま婚約したことを知って失恋した経験があるからこれだけはかなり怖い。
ちなみに、修行は最低でも誰かと付き合っていないと終われない。
長引けば長引くだけ方々に負担をかけてしまうから、その心配もある。
そんな俺の心配を察してか、ティアナがこう口にした。
「少なくとも、振られることはないと思いますよ?」
「なぜ言い切れる?」
「フィーナ様の様子を見ていれば分かります。
少なくとも、ジーク様を嫌ってはいませんよ。むしろ、ジーク様のことを少し気にされていますよ?」
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
フィーナが俺のことを気にしているだと?
「あとは本人に聞いてくださいませ」
「おい、まだ話は終わってないぞ!」
「あの性格のフィーナ様がジーク様のお誘いを断れるとお思いですか?」
真っ直ぐ俺の方を見ながら自信ありげに口にするティアナ。
その言葉に偽りは無いはずだが、俺にはある懸念があった。
「いや、思わん……。だが、強制しているようで気が引ける」
「ヘタレ……!
そんなんだから今の今まで婚約者がいないんですよ? いい加減に覚悟を決めてください」
「ヘタレとはなんだヘタレとは!
おいユリウス、俺はヘタレなのか?」
流石にヘタレと言われれば俺でも怒るぞ?
主観だけで判断するのは良く無いからユリウスに聞いてからだが……。
「これほどまでに女々しいことをおっしゃっているジーク様がヘタレでなければなんと言えばよいのですか?」
キッパリと言うユリウス。
これではっきりした。現実は残酷なのだと。
思ったのだが、フィーナが来てから俺の扱いが雑な気がする。
フィーナのことを第一に考えて行動しろという指示を守ってのことなら咎めはしないが、いくら何でも雑すぎる……。
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