公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多

文字の大きさ
5 / 14

5. 買収

しおりを挟む
 あれから1時間、リエルさんは授業に戻る事が出来ていた。
 でも、セラフィは未だに戻ってきていない。

 殿下にされた命令通り掃除をしているのか、それとも帰ってしまったのか。それを私が知ることはできていない。

「レシア様、ドレスの弁償はさせた方がいいですわよね?」
「当然ですわ」

 今は実技の授業の練習時間で危険なものではないから雑談が許されている。
 だから、私たちはこうしてこの後の予定を立てていた。

「今日中に請求書を送った方がいいですわ。伯爵家に直接」
「分かりましたわ」

 他人の物を壊したのだから、弁償するのは当たり前のこと。
 でも、セラフィなら請求書を無視するかもしれない。そう思ったから、伯爵家に直接請求書を送った方がいいと考えた。

「話が変わりますけど、今日のお昼は何にするか決めてありまして?」
「まだ決めてませんわ。レシア様は?」
「私は日替わりランチにしようと思っていますわ」

 この学院のレストランは、生徒なら無料で使うことができる。
 一流シェフが作っているのに無料なのは学費に加味されているから。それのせいで、学費はかなり高くなっている。

 それのお陰か、高い地位になるほど価格が高いものを選ぶ──そんな習慣はこの学院には存在していない。

「私も同じにしてもいいですか?」
「ええ」

 私達が練習のための魔法を放ちながら雑談している時だった。
 横から中級の攻撃魔法が迫ってくるのを感じた。

 急いで防御魔法を使う私。
 直後、炎の球が僅かに水色に輝く障壁に阻まれて霧散した。

「決闘がお望みかしら?」

 魔法を放ってきた人物に問いかける私。
 防御魔法を使ったまま、攻撃魔法をいつでも放てるようにして近付く。

 すると、その人物──伯爵令嬢のアンセルは勢いよく頭を下げてこう口にした。

「申し訳ありませんでした! 実は……」

 そうしてセラフィに脅されていたことを語り始めるアンセル。
 それを聞いて、私はこんなことを思った。

 買収するならもっと完璧にやりなさいよ……!

 応援しているわけではないのだけど、あまりにも穴が多すぎて呆れてしまった。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい

麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。 しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。 しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。 第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。

王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?

時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。 どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、 その理由は今夜の夜会にて

婚約破棄した王子が見初めた男爵令嬢に王妃教育をさせる様です

Mr.後困る
恋愛
婚約破棄したハワード王子は新しく見初めたメイ男爵令嬢に 王妃教育を施す様に自らの母に頼むのだが・・・

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~

舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」 わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。 ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。 驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。 ※話自体は三人称で進みます。

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

処理中です...