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56話 歓迎されてない先遣隊
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アランさん達が竜車で首都ハマヌムに到着したのは、日が落ちた頃だった。
肩や泥と瓦礫に沈んだ街は明かりもなく真っ暗。反対側にある城は、闇を拒むかのように沢山のかがり火やランプが灯されている。それを横目に竜車は進む。
「ひどいな」
思わず、僕はつぶやいた。
とは言っても、僕が実際にその場に居るわけじゃない。僕が今見ている光景は、アランさんの仮面から送られている映像だ。
王城へと行けなくても仮面を通せば、その場に居なくても会議に参加…というか見る事は出来る。
僕は、宿営地に作られた天幕の中でその様子を見ていた。
宿営地では、兵士の皆さんが暗い中、天幕や今日の夕食の準備にと大忙しで働いている。
正門を通り抜けた先は、ハヌマ王国自慢の前庭。
だった場所。
キチン計算されて配置された木々や季節の花々が咲いていたであろう花壇。本来であれば生き生きと茂っていた緑の芝生。それらが、王城に訪れた人々を歓迎し、その庭園を維持しする事が出来るハヌマ王国へと畏怖を覚えると言われ。実際にこの場所に訪れた事のあるフォニアさんも美しい庭園だったと絶賛していた。
しかし今では、人々の足によって花壇は踏みあらされ、芝生には人々がいたる所で身を寄せ合い焚き火を熾している。
人々が居なくなれば、そこが王城の前庭であるとは思えないような悲惨な状況になっているだろう。
普通なら天幕が沢山設営されていても不思議では無いが、天幕が設営されているのは城の周りだけだ。天幕すら事欠く状況なのが読み取れる。
彼らは昨日今日と野ざらしで夜を明かすことになる。空にはほとんど雲がなく雨の心配が無いことが唯一の救いだ。
誰も彼も着の身着のまま。中には上等そうな服を着ている人まで、粗末な服を着ている人に混じって焚き火を囲む輪に加わっている。
かろうじて開いている城へと続く道を竜車がゆっくりと進む。こんな時に他国の兵士が警護についている竜車が入ってきた事に、被災した避難民が訝しげに見ている。
『こちらです。どうかお早く…』
城の前に来た竜車が止まる。ハヌマ王国の兵士が早々に城内に入る様にアランさん達を促す。兵士達もピリピリしている。
『分かりました』
了承したアランさん達一行が足早に城内へと入る。
城内も城外と同じようにバタバタしている。
誰一人として歩いていない。全員が事態に対応しようと走り回っている。
あれは何処だ。それはあっちだ。何で無いんだ!とあちこちで怒鳴り声が飛び交っている。
そこをアランさん達も兵士に案内されて早足で城内を進んでいく。
通常であれば塵一つ落ちてなく、洗い立てのような真っ赤な絨毯が敷かれた廊下は、多くの兵士達により踏み荒らされ、砂にまみれ、土にまみれている。
謁見の間へと向かっている時に、この国の貴族達とすれ違う。
『まったく。忙しいというのに、勇者様も余計な事をなさる』
『こんな時に他国の…しかも、人類同盟と敵対している国家の軍を呼ぶなど一体何を考えているのでしょうか?』
仮面に搭載された高感度マイクが、周囲に居た貴族の声を拾う。
当然ながら、話されている内容は好意的なものではない。
助けに来たのになんて態度だとも思うが、こうなる事は、事前に予想していた。
元の世界で言ったら災害が起きたと思ったら、余所の国が救援だと称して大型輸送機で戦車と兵士を運んできた様なものだ。
救援に来られた側からすれば、持ってくる物が違うだろ!と言いたくなるのも分かる。
この混乱に乗じて攻めてきたのではないかと思われても仕方が無い。
でもナンセンスだ。災害で弱ったハヌマ王国を占領したとしてもスベン公国には何のうまみも無い。
だってそうだろう?まずハマヌムや被害にあった沿岸地域の復興をしなければならないし、ハヌマ王国の民は潜在的な敵となる。それに他の領地の領主達だってはいそうですかと言って、こちらに恭順するはずなく、王都を取り返そうと兵を送ってくるだろう。戦争なる。そうなれば帝国も黙っては居ないだろう。嬉々としてハヌマ王国に対する援軍を送ってくる。もちろん目的はハマヌムの開放という名のハマヌムの植民地化を狙ってだ。考えれば考えるほどやる理由が無い。
とは言っても、災害でいっぱいいっぱいである今の彼らに言ったって、疑心暗鬼になっているので意味は無い。
彼らは知らないのだ。僕らの持ってきたモノが、ただの戦闘兵器ではないのを。
巨大な観音開きの扉の前まで来る。扉の両隣には当然のように衛兵が立っていた。扉の向こうは謁見の間だ。
『武器をお預かりします。後護衛の方はここまでです。後ほど控えの間へとご案内したします』
『分かりました。皆武器を渡せ。お前達もここまでだ』
『はっ!』
アランさんは、腰に提げていた剣を預ける。それにしたがって護衛以外の人達も武器を衛兵に渡す。
謁見の間に入る全員が武器を預けると扉が開かれた。
そこにはドーム状の高い天井。
アランさんは思わずと言った様子で上を見上げた。
天井には、最初に襲来したアポリオンと勇者達の戦いと思われる極彩色の天井画が描かれている。
視線を下げれば、そこには玉座があり女王カナミリアが座している。隣には水上先輩が立っている。
ただ、女王カナミリアは、大分くたびれた様子で、化粧で隠そうとはしているが、無駄に高画質なカメラのお陰で目の下には隈が出来てるのがわかった。たぶん寝ずに事態の対処に奔走していたのだろう。
玉座へとつながる絨毯の横には壮年の貴族五人が並んでいる。彼らがハヌマ王国の重鎮という事だろう。彼らも一様に疲れを隠し切れずにいる。
さすがに女王に会うのに仮面を付けたままというのは失礼に当たるので顔からはずして首元へと装着する。
アランさんの軍服は、仮面を首元に装着出来るように、改造されているので、僕が話し合いの現場が見れなくなるという事は無い。
アランさん達が絨毯の上を進む。
女王の前まで来ると、アランさん達は頭を下げる。
『カナミリア女王陛下、此度の拝謁光栄に存じます。同時に災厄真にお見舞い申し上げます。我等水の勇者、サエ・ミナカミ様の要請により我等新生スベン公国軍救援部隊まかりこしてございます。私は、救援部隊の先遣隊副隊長を務めされていただいております。アラン・デルファングと申します。スベン公国の女王たるフォニア陛下より、お見舞いの書状と些少ではありますが救援物資を持って参りました』
『何?副隊長?隊長はどうしたのだ!陛下の前に来るのだ!部隊の最高責任者が顔を出さないなど無礼ではないか!』
危惧していた通り、アランさんが副隊長である事に貴族の一人が噛み付いた。
『救援部隊の隊長は、我が国のデアフレムデ殿です。デアフレムデ殿は、ご存知の通り、我が軍の主力兵器であるザムや、輸送飛行機械であるトブタイの召還をなさっており、現在我が国の最重要人物となっております。それゆえに混乱し満足な警備が得られていない場所に出す事は出来ません。これは、フォニア女王陛下からの直々に厳命されています。ご了承ください』
『何ぃ?』
アランさんは丁寧に回答したが、それを侮辱と感じた貴族がいきり立つ。
『良い。我等とてサエ殿を不安定な場所へと碌な護衛も付けずに行かせはせん。そういう事だ』
状況の分かっているカナミリア女王が冷静にたしなめる。
たしなめられた貴族は、苦虫を噛み潰した顔で引き下がった。
『話を戻そう。書状は後ほど読ませてもらう。それにしても早いな…サエがスベン公国に到着したのは昨日の深夜だと聞いていたが?いつ出発したのだ?』
『出発したのは今日の朝にございます。アマタ様のお力と、水の勇者様直々の救援要請という栄誉をを頂いた、我等一同が奮起した結果、先ほどこちらの地へと到着いたしました。陛下』
神霊機と比べれば二倍の時間が掛かっているとは言え、半日でスベン公国からレグオン帝国を飛び越えてここまで来た。それも一機だけではなく一部隊として。
『…ならば』
『…』
ハヌマ王国の貴族達が顔をしかめる。かつては、辺境の小国に過ぎなかったスベン公国が、他の国と比べると頭を一つも二つではすまないレベルで軍事力を増強させている。これで危機感を持つなというのは、無理だ。
『そうか…フォニア女王には、今は忙しくて返事を書くことすら間々ならぬ。状況が落ち着いた暁には必ず書こう。運んでくれるか?』
『必ずや』
『では頼むとしよう。…して、貴殿らは救援というが一体何が出来るのだ?』
『はっ我等は、ミナカミ殿の要請に従い、海へと流された民の救出とハヌマ王国内の物資の運搬を予定しております。こちらに持ってきたトブタイは、十三機中、三機を捜索用に、三機を輸送用に、それ以外は、護衛のザムの輸送用に使用します』
『あのトブタイとか言う物か…』
『既に、内陸部近隣の都市には救援要請を出しておる。すぐに救援物資は届く。物資不足もすぐに改善することだろう』
『近隣の街とはいえ、備蓄している量には限りがあるでしょう。我々のトブタイなら遠方にある都市から、無理の無い程度に物資を出してもらい、それらを迅速に必要な場所へと運ぶことが出来ます』
『既に、急使を遠方の都市へ出している。時間は掛かるが問題ない』
『一体それはいつ来るんですか?我々なら、物資を積み込めば一日も掛からずここ運べます』
『海の無い国の者に海の遭難者の救出を出来るとは思えませんが…』
『それについては…』
貴族達が次々と質問がされる。それらはネガティブな物が多く。何かしら理由を付けて僕らを追い返したいという意思を感じる。
まぁそうなるなと、思っていたので、アランさんが用意していた台詞を言った
『…我々が不要というのであれば是非もありません。我々はハヌマ王国と敵対したいわけではありませんので撤退しましょう』
すると、ハヌマ王国の貴族達は、我が意を得たりと
『ですが、今回の出撃には、それなりに、出費があります。ミナカミ様、その分の対価はいただけますか?』
『もちろんです。ハヌマ王国があなた方の支援を拒否しようと、対価として、一度スベン公国の救援要請を最優先で…』
『あほを申すな!態々サエ殿が呼んだ救援を断るわけ無かろう。諸君らの尽力に期待する。子細はこの者達と話し合え。お前達良いな!』
『はっ!承知しました』
水上先輩は、しれっと応えてた所で、カナミリア女王は慌ててそれを否定した。
やっぱり、決め手はミナカミ先輩の一言か。
了承したはいいが、貴族達はそれでもまだ渋い顔をしている。
では証明してやろうじゃないか。水上先輩の選択が間違ってはいないって事を。
肩や泥と瓦礫に沈んだ街は明かりもなく真っ暗。反対側にある城は、闇を拒むかのように沢山のかがり火やランプが灯されている。それを横目に竜車は進む。
「ひどいな」
思わず、僕はつぶやいた。
とは言っても、僕が実際にその場に居るわけじゃない。僕が今見ている光景は、アランさんの仮面から送られている映像だ。
王城へと行けなくても仮面を通せば、その場に居なくても会議に参加…というか見る事は出来る。
僕は、宿営地に作られた天幕の中でその様子を見ていた。
宿営地では、兵士の皆さんが暗い中、天幕や今日の夕食の準備にと大忙しで働いている。
正門を通り抜けた先は、ハヌマ王国自慢の前庭。
だった場所。
キチン計算されて配置された木々や季節の花々が咲いていたであろう花壇。本来であれば生き生きと茂っていた緑の芝生。それらが、王城に訪れた人々を歓迎し、その庭園を維持しする事が出来るハヌマ王国へと畏怖を覚えると言われ。実際にこの場所に訪れた事のあるフォニアさんも美しい庭園だったと絶賛していた。
しかし今では、人々の足によって花壇は踏みあらされ、芝生には人々がいたる所で身を寄せ合い焚き火を熾している。
人々が居なくなれば、そこが王城の前庭であるとは思えないような悲惨な状況になっているだろう。
普通なら天幕が沢山設営されていても不思議では無いが、天幕が設営されているのは城の周りだけだ。天幕すら事欠く状況なのが読み取れる。
彼らは昨日今日と野ざらしで夜を明かすことになる。空にはほとんど雲がなく雨の心配が無いことが唯一の救いだ。
誰も彼も着の身着のまま。中には上等そうな服を着ている人まで、粗末な服を着ている人に混じって焚き火を囲む輪に加わっている。
かろうじて開いている城へと続く道を竜車がゆっくりと進む。こんな時に他国の兵士が警護についている竜車が入ってきた事に、被災した避難民が訝しげに見ている。
『こちらです。どうかお早く…』
城の前に来た竜車が止まる。ハヌマ王国の兵士が早々に城内に入る様にアランさん達を促す。兵士達もピリピリしている。
『分かりました』
了承したアランさん達一行が足早に城内へと入る。
城内も城外と同じようにバタバタしている。
誰一人として歩いていない。全員が事態に対応しようと走り回っている。
あれは何処だ。それはあっちだ。何で無いんだ!とあちこちで怒鳴り声が飛び交っている。
そこをアランさん達も兵士に案内されて早足で城内を進んでいく。
通常であれば塵一つ落ちてなく、洗い立てのような真っ赤な絨毯が敷かれた廊下は、多くの兵士達により踏み荒らされ、砂にまみれ、土にまみれている。
謁見の間へと向かっている時に、この国の貴族達とすれ違う。
『まったく。忙しいというのに、勇者様も余計な事をなさる』
『こんな時に他国の…しかも、人類同盟と敵対している国家の軍を呼ぶなど一体何を考えているのでしょうか?』
仮面に搭載された高感度マイクが、周囲に居た貴族の声を拾う。
当然ながら、話されている内容は好意的なものではない。
助けに来たのになんて態度だとも思うが、こうなる事は、事前に予想していた。
元の世界で言ったら災害が起きたと思ったら、余所の国が救援だと称して大型輸送機で戦車と兵士を運んできた様なものだ。
救援に来られた側からすれば、持ってくる物が違うだろ!と言いたくなるのも分かる。
この混乱に乗じて攻めてきたのではないかと思われても仕方が無い。
でもナンセンスだ。災害で弱ったハヌマ王国を占領したとしてもスベン公国には何のうまみも無い。
だってそうだろう?まずハマヌムや被害にあった沿岸地域の復興をしなければならないし、ハヌマ王国の民は潜在的な敵となる。それに他の領地の領主達だってはいそうですかと言って、こちらに恭順するはずなく、王都を取り返そうと兵を送ってくるだろう。戦争なる。そうなれば帝国も黙っては居ないだろう。嬉々としてハヌマ王国に対する援軍を送ってくる。もちろん目的はハマヌムの開放という名のハマヌムの植民地化を狙ってだ。考えれば考えるほどやる理由が無い。
とは言っても、災害でいっぱいいっぱいである今の彼らに言ったって、疑心暗鬼になっているので意味は無い。
彼らは知らないのだ。僕らの持ってきたモノが、ただの戦闘兵器ではないのを。
巨大な観音開きの扉の前まで来る。扉の両隣には当然のように衛兵が立っていた。扉の向こうは謁見の間だ。
『武器をお預かりします。後護衛の方はここまでです。後ほど控えの間へとご案内したします』
『分かりました。皆武器を渡せ。お前達もここまでだ』
『はっ!』
アランさんは、腰に提げていた剣を預ける。それにしたがって護衛以外の人達も武器を衛兵に渡す。
謁見の間に入る全員が武器を預けると扉が開かれた。
そこにはドーム状の高い天井。
アランさんは思わずと言った様子で上を見上げた。
天井には、最初に襲来したアポリオンと勇者達の戦いと思われる極彩色の天井画が描かれている。
視線を下げれば、そこには玉座があり女王カナミリアが座している。隣には水上先輩が立っている。
ただ、女王カナミリアは、大分くたびれた様子で、化粧で隠そうとはしているが、無駄に高画質なカメラのお陰で目の下には隈が出来てるのがわかった。たぶん寝ずに事態の対処に奔走していたのだろう。
玉座へとつながる絨毯の横には壮年の貴族五人が並んでいる。彼らがハヌマ王国の重鎮という事だろう。彼らも一様に疲れを隠し切れずにいる。
さすがに女王に会うのに仮面を付けたままというのは失礼に当たるので顔からはずして首元へと装着する。
アランさんの軍服は、仮面を首元に装着出来るように、改造されているので、僕が話し合いの現場が見れなくなるという事は無い。
アランさん達が絨毯の上を進む。
女王の前まで来ると、アランさん達は頭を下げる。
『カナミリア女王陛下、此度の拝謁光栄に存じます。同時に災厄真にお見舞い申し上げます。我等水の勇者、サエ・ミナカミ様の要請により我等新生スベン公国軍救援部隊まかりこしてございます。私は、救援部隊の先遣隊副隊長を務めされていただいております。アラン・デルファングと申します。スベン公国の女王たるフォニア陛下より、お見舞いの書状と些少ではありますが救援物資を持って参りました』
『何?副隊長?隊長はどうしたのだ!陛下の前に来るのだ!部隊の最高責任者が顔を出さないなど無礼ではないか!』
危惧していた通り、アランさんが副隊長である事に貴族の一人が噛み付いた。
『救援部隊の隊長は、我が国のデアフレムデ殿です。デアフレムデ殿は、ご存知の通り、我が軍の主力兵器であるザムや、輸送飛行機械であるトブタイの召還をなさっており、現在我が国の最重要人物となっております。それゆえに混乱し満足な警備が得られていない場所に出す事は出来ません。これは、フォニア女王陛下からの直々に厳命されています。ご了承ください』
『何ぃ?』
アランさんは丁寧に回答したが、それを侮辱と感じた貴族がいきり立つ。
『良い。我等とてサエ殿を不安定な場所へと碌な護衛も付けずに行かせはせん。そういう事だ』
状況の分かっているカナミリア女王が冷静にたしなめる。
たしなめられた貴族は、苦虫を噛み潰した顔で引き下がった。
『話を戻そう。書状は後ほど読ませてもらう。それにしても早いな…サエがスベン公国に到着したのは昨日の深夜だと聞いていたが?いつ出発したのだ?』
『出発したのは今日の朝にございます。アマタ様のお力と、水の勇者様直々の救援要請という栄誉をを頂いた、我等一同が奮起した結果、先ほどこちらの地へと到着いたしました。陛下』
神霊機と比べれば二倍の時間が掛かっているとは言え、半日でスベン公国からレグオン帝国を飛び越えてここまで来た。それも一機だけではなく一部隊として。
『…ならば』
『…』
ハヌマ王国の貴族達が顔をしかめる。かつては、辺境の小国に過ぎなかったスベン公国が、他の国と比べると頭を一つも二つではすまないレベルで軍事力を増強させている。これで危機感を持つなというのは、無理だ。
『そうか…フォニア女王には、今は忙しくて返事を書くことすら間々ならぬ。状況が落ち着いた暁には必ず書こう。運んでくれるか?』
『必ずや』
『では頼むとしよう。…して、貴殿らは救援というが一体何が出来るのだ?』
『はっ我等は、ミナカミ殿の要請に従い、海へと流された民の救出とハヌマ王国内の物資の運搬を予定しております。こちらに持ってきたトブタイは、十三機中、三機を捜索用に、三機を輸送用に、それ以外は、護衛のザムの輸送用に使用します』
『あのトブタイとか言う物か…』
『既に、内陸部近隣の都市には救援要請を出しておる。すぐに救援物資は届く。物資不足もすぐに改善することだろう』
『近隣の街とはいえ、備蓄している量には限りがあるでしょう。我々のトブタイなら遠方にある都市から、無理の無い程度に物資を出してもらい、それらを迅速に必要な場所へと運ぶことが出来ます』
『既に、急使を遠方の都市へ出している。時間は掛かるが問題ない』
『一体それはいつ来るんですか?我々なら、物資を積み込めば一日も掛からずここ運べます』
『海の無い国の者に海の遭難者の救出を出来るとは思えませんが…』
『それについては…』
貴族達が次々と質問がされる。それらはネガティブな物が多く。何かしら理由を付けて僕らを追い返したいという意思を感じる。
まぁそうなるなと、思っていたので、アランさんが用意していた台詞を言った
『…我々が不要というのであれば是非もありません。我々はハヌマ王国と敵対したいわけではありませんので撤退しましょう』
すると、ハヌマ王国の貴族達は、我が意を得たりと
『ですが、今回の出撃には、それなりに、出費があります。ミナカミ様、その分の対価はいただけますか?』
『もちろんです。ハヌマ王国があなた方の支援を拒否しようと、対価として、一度スベン公国の救援要請を最優先で…』
『あほを申すな!態々サエ殿が呼んだ救援を断るわけ無かろう。諸君らの尽力に期待する。子細はこの者達と話し合え。お前達良いな!』
『はっ!承知しました』
水上先輩は、しれっと応えてた所で、カナミリア女王は慌ててそれを否定した。
やっぱり、決め手はミナカミ先輩の一言か。
了承したはいいが、貴族達はそれでもまだ渋い顔をしている。
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