18 / 32
18.
しおりを挟む
「弟がお世話になっているようだが……」
「お世話なんて、何も……毎日、お花を頂戴しているだけですわ」
「花が好きなのか?」
自惚れかもしれないけど、ここで好きだと言ってしまったら、また大量の花束が来てしまったら、困る。
だから、ティアラベルローゼは、あいまいに微笑むことにした。後はクリストファー殿下の判断に任せるわ。
「そんなに花が好きなら、花園をプレゼントするよ」
正直、ティアラベルローゼは、がっかりしている。また花?男って、どうしてこんなに単純なのかしら?花で女を替えると思っているのか?
もし、前世なら3人の王位継承権者から揃って、花をプレゼントされたら、嬉しくて舞い上がったかもしれない。でも、今世は、素直に喜べない。ひとりは浮氣男、一人は浮気され男、そしてマクシミリアンは、名うてのプレイボーイ。どれもまともな王子様とは言えない。
今世もドツボかな?なんとなく、アンドリューにさえ関わらなければ、安泰だと思っていたけど、そうでもないみたい。
腐っていると、エレモアが恋の相談に乗ってくれることになった。
「ティアラベルローゼ殿下は、聖女様なのですよ。もっとご自分に自信を持って遊ばされたらいかがですか?男に頼り振り回される人生ではなく、男から自立する人生を歩まれた方がよろしいかと存じ上げます。それに聖女様はここアトランティス国の王様よりも権威がある存在でございます。何を遠慮されているのですか?もっと、のびのびと。前世送れなかった人生の分まで、自由に羽ばたいてくださいませ」
そうなのか……。知らず知らずのうちに、前世の枠の中に自分から嵌りに行っていたことを思い知ったのだ。
前世、お妃教育でさんざんやらされた「王妃の在り方」「王妃の存在」「王妃の姿勢」などの科目が頭の中で反芻される。
あの当時のカンザス先生、本当に厳しくて怖い存在だった。思い出しただけで、身震いするほど。
ティアラベルローゼは、クスリと笑い、荷物をまとめていく。この学園からもらった大使館を拠点として、アトランティスの各地を旅することにした。どうせ学園を卒業したら、ふぉこかの国の王子様のところに政略結婚させられる運命なのだから
若いうちに思いっきり羽目を外そう。週末はクリストファー殿下との約束があったけど、
今日のティアラベルローゼの期限は悪い。
だから、すっぽかしちゃお。
エレモアは、ティアラベルローゼの企みに微笑みを浮かべる。そして、自らも進んで荷造りを手伝い、自分の荷造り もちゃっかり用意していく。
こういうところ前世から変わっていない。
きょとんとしていたロバートだが、エレモアの動きに何かを察して、自分も手短に荷造りを済ませる。
ロバートの様子を眺めていた他の騎士も我先に、と荷造りをはじめ、マーシャル大使館の中では、引っ越しでもするかのような騒ぎになっていく。
皆、行先がどこかも知らないで、夜逃げでもするような勢いで荷造りに精を出し始めた。
「みんな何を慌てて、そんなに荷造りをしているの?」
「へ?」
王女殿下に言われ、ハタと手を止め、お互いに顔を見合わせている。
「わたくし、週末に気晴らしでこの国の田舎の方へ行って、ピクニックでもしようと思っているだけなのに」
「はあ?」
ティアラベルローゼの言葉に、使用人一同唖然とする。
気まずそうに、料理長がもじもじと、
「確かに王女殿下から、ピクニックのお弁当を申し遣っております。でも、引っ越しなんて、話し、一度も聞いておりません」
その時、一人が声を荒げた。
「誰だ!?聖女様がアトランティスを捨てるだなんて、言い出した奴は!?」
皆、首を横に振り、知らないと言い張る。
「ごめんなさい。みんなに誤解させちゃったみたいね。今まで、ピクニックに行ったことがなかったものだから、何を持って行ったらいいか見当がつかなくて。日曜の夜には戻るから心配しないで」
「お世話なんて、何も……毎日、お花を頂戴しているだけですわ」
「花が好きなのか?」
自惚れかもしれないけど、ここで好きだと言ってしまったら、また大量の花束が来てしまったら、困る。
だから、ティアラベルローゼは、あいまいに微笑むことにした。後はクリストファー殿下の判断に任せるわ。
「そんなに花が好きなら、花園をプレゼントするよ」
正直、ティアラベルローゼは、がっかりしている。また花?男って、どうしてこんなに単純なのかしら?花で女を替えると思っているのか?
もし、前世なら3人の王位継承権者から揃って、花をプレゼントされたら、嬉しくて舞い上がったかもしれない。でも、今世は、素直に喜べない。ひとりは浮氣男、一人は浮気され男、そしてマクシミリアンは、名うてのプレイボーイ。どれもまともな王子様とは言えない。
今世もドツボかな?なんとなく、アンドリューにさえ関わらなければ、安泰だと思っていたけど、そうでもないみたい。
腐っていると、エレモアが恋の相談に乗ってくれることになった。
「ティアラベルローゼ殿下は、聖女様なのですよ。もっとご自分に自信を持って遊ばされたらいかがですか?男に頼り振り回される人生ではなく、男から自立する人生を歩まれた方がよろしいかと存じ上げます。それに聖女様はここアトランティス国の王様よりも権威がある存在でございます。何を遠慮されているのですか?もっと、のびのびと。前世送れなかった人生の分まで、自由に羽ばたいてくださいませ」
そうなのか……。知らず知らずのうちに、前世の枠の中に自分から嵌りに行っていたことを思い知ったのだ。
前世、お妃教育でさんざんやらされた「王妃の在り方」「王妃の存在」「王妃の姿勢」などの科目が頭の中で反芻される。
あの当時のカンザス先生、本当に厳しくて怖い存在だった。思い出しただけで、身震いするほど。
ティアラベルローゼは、クスリと笑い、荷物をまとめていく。この学園からもらった大使館を拠点として、アトランティスの各地を旅することにした。どうせ学園を卒業したら、ふぉこかの国の王子様のところに政略結婚させられる運命なのだから
若いうちに思いっきり羽目を外そう。週末はクリストファー殿下との約束があったけど、
今日のティアラベルローゼの期限は悪い。
だから、すっぽかしちゃお。
エレモアは、ティアラベルローゼの企みに微笑みを浮かべる。そして、自らも進んで荷造りを手伝い、自分の荷造り もちゃっかり用意していく。
こういうところ前世から変わっていない。
きょとんとしていたロバートだが、エレモアの動きに何かを察して、自分も手短に荷造りを済ませる。
ロバートの様子を眺めていた他の騎士も我先に、と荷造りをはじめ、マーシャル大使館の中では、引っ越しでもするかのような騒ぎになっていく。
皆、行先がどこかも知らないで、夜逃げでもするような勢いで荷造りに精を出し始めた。
「みんな何を慌てて、そんなに荷造りをしているの?」
「へ?」
王女殿下に言われ、ハタと手を止め、お互いに顔を見合わせている。
「わたくし、週末に気晴らしでこの国の田舎の方へ行って、ピクニックでもしようと思っているだけなのに」
「はあ?」
ティアラベルローゼの言葉に、使用人一同唖然とする。
気まずそうに、料理長がもじもじと、
「確かに王女殿下から、ピクニックのお弁当を申し遣っております。でも、引っ越しなんて、話し、一度も聞いておりません」
その時、一人が声を荒げた。
「誰だ!?聖女様がアトランティスを捨てるだなんて、言い出した奴は!?」
皆、首を横に振り、知らないと言い張る。
「ごめんなさい。みんなに誤解させちゃったみたいね。今まで、ピクニックに行ったことがなかったものだから、何を持って行ったらいいか見当がつかなくて。日曜の夜には戻るから心配しないで」
1,349
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
七年目の裏切り 〜赴任先の夫から届く愛の手紙は、愛人の代筆でした〜
恋せよ恋
恋愛
「君は僕の最愛だ。もう二度と、君を危険に晒したくない」
命懸けの出産後、涙を流して私を抱きしめた夫ジュリアン。
その言葉通り、彼は「私を大切にするため」に夜の営みを断った。
私は、女としての寂しさを「愛されている誇り」に変え、
隣国へ赴任した夫を信じて二人の子供と家を守り続けていた。
毎週届く、情熱的な愛の手紙。タイプライターで綴られた
その愛の言葉を、私は宝物のように抱きしめていた。
……しかし、その手紙は「裏切り」だった。
夫が異国の地で、愛人と肌を重ねながら綴らせていた「偽りの愛」。
身分を隠して夫の赴任先の隣国へと向かった私が見たのは……。
果たして、貞淑な妻・メラニアが選んだ結論は……。
子供たちのため結婚生活の継続か、それとも……。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない
春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」
それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。
「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」
父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。
けれどエルリカは違った。
「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」
そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。
以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。
ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる