夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀

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 ティアラベルローゼは、金曜の夜からまるふつかかん痕ランティスの王都を留守にした。

 月曜日の朝、マーシャル大使の公邸まで、のこのこクリストファーがやってきた。

「どうして、週末、約束をすっぽかしたの?」
「クリス、あなたには失望した。だから、これからはわたくしの自由にさせてもらうわ。それにこの国に来てから、まだ王都にしか行ってないの。少しの観光も許されないの?」
「いや、そういうわけではない。ただ君とは……俺が勝手に同士だと思っていたから、その……もし、よければなんで俺に失望したか教えてくれないか?」
「ふん。なぜ失望したかもわからないなんて、本当、最低ね。少しはマシな男かと思っていたわたくしがバカだったわ。ここへは、もう二度と来ないで。この土地は、マーシャル国に帰属しているのよ」

 ティアラベルローゼは、扉を閉めて、クリストファー殿下を追い出した。

「な、なぜだ!?俺は、どこで間違えたか!?誰か、教えてくれ」

 クリストファーは、本当に心当たりがないらしく、マーシャル大使公邸の前で頭を抱え、しゃがみ込んだ。

 そうこうしている間に、通学時間になったが、まだクリストファー殿下は、門の前にいる。

 午前中はサボろうか?でも、午後になっても、まだ居座り続けるかもしれない。本当にムカ尽くし、はた迷惑な奴。

 あんな男に気を許してしまった自分が情けない。あれなら婚約者に浮気されても仕方がないね。空気が読めないにも、程があるわよ。

 いくらしつこいからって、あの盗賊団みたいに死の森に送るってことは、無理そう。一応、王子様だもんね。それならマーガレット嬢のいる修道院に送ってやるのはどうかな?二人で反省しあえば、また愛が復活するかもしれないよ。

 いい案だと思わない?って、エレモアに言うと、プっと吹き出されて、笑われちゃった。

 いい案だと思ったんだけど、やっぱりダメかな?

 仕方なく、その日は、転移魔法で学園までひとっ飛びすることにした。これって、不可抗力でしょ。

 それが思っていたより、楽チンでびっくりしたわ。これなら毎日、この方法で通学するのもアリじゃないかと思ってしまったの。そしたらギリギリまで、寝坊ができる。

 ただ人目につくようなところに下りられないし、人がいなくなるまで待ったことぐらいで、超楽チンだった。

 でもね。さらにいいことがあるってわかったのよ。それはマクシミリアン殿下と、アンドリューからの花束攻撃から逃げられるということ。

 それからは、毎日、転移魔法で通学することになった。馬車を遣わなくても、この方が早いし、楽だから。

 聖女様の体裁なんて、どうでもいいことだもの。あっという間に消えてしまうティアラベルローゼを探して、二人の王子様が学園中をくまなく探し回る。

 ほとんどストーカーのように。

 でも、捕まらないよ。捕まる気ないもの。

 そして、週末にはいつものように郊外へトンズラする。もう、屋敷の者も、みんな慣れた調子でじゃんけんでローテーションを勝手に組んで、ついてくる。

 それでも、捕まる時には、捕まるもの。教室を出たところで、いきなりアンドリューに手首を掴まれ、校舎の裏手に連れて行かれた。

「今日こそは、言わせてもらう。ティアラベルローゼ、最近、意図的に俺をさけていないか?」
「ええ。そうよ」
「なぜだ?あれほど謝ったではないか?どうして赦してくれない」
「アンドリュー、貴女のことが嫌いなの。嫌いというより憎いという表現の方がしっくりくるかもしれない」

「たかが小国の王子様が何、気取っているんだよ」

 急に物陰から、マクシミリアンが飛び出してきて、ティアラベルローゼとアンドリューの間に割り込んでくる。

 やっとアンドリューと二人きりから解放されたことは嬉しいけど、ちょっと迷惑なような気もする。

「ティアラベルローゼ、愛している。こんなちんけな男と一緒にいるより、さっさと帰ろう。送っていくよ」

 前言撤回。こうして、マクシミリアン殿下に無事、送ってもらえて帰宅ができました。

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