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22探索網
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お祭り見物が終わると、こっそり海へ向かう。
ヤーパン国側に見つからないように、こっそりとだ。
それにしてもお祭りの終盤のパレードは見ものだったわ。
ヤーパン国の王太子ご夫妻が馬車に乗って、巡回されたのだけど、王太子妃のお美しいことと言えば、美の女神様かのように輝いていらっしゃったわ。
もともと顔の作りがいい上に、きっと旦那様の王太子殿下から大事にされていらっしゃるのでしょう。
だから、あんなにも屈託のない笑顔ができる。まったくもって、羨ましい限りだ。
オリヴィアのグループ以外は、すでに王都を脱出している。王都のはずれのところで集合なので、大人数での移動にならず目立たない。
オアシスを出発するとき、1人に付き金貨1枚(日本円換算で1万円相当)のお小遣いを父が支給してくれた。
だから、他のみんなはそれを持って、嬉しそうに行楽気分で行ったのだ。
オリヴィアも一応、父からお小遣いをもらったけど、たこ焼きを買い食いしたぐらいで、他には、何も使っていない。
早く海に行きたい、との思いから、何も欲しくないのだ。
ヤーパン国では、カーニバルの最中、ある噂でもちきりとなる。
「おい、聞いたか?カーニバルに聖女様がお忍びで来られているらしいぞ。」
「その話、俺も聞いたぞ、いつもカーニバルの最中に1回は必ず雨になるのだが、今年は一度も降らない。」
「そういえば、そうだな。でももしsの話が本当なら、王太子妃殿下も気が気でないだろうな?」
「そうよ、旦那の殿下と離縁も十分あり得る話になるからな。」
「あんなに、お美しいから、側妃に格下げになられるかもしれないぞ。」
「おかわいそうに、下賜されるようなことがあれば、真っ先に手を上げるぞ。」
「閨の秘密を知っているから、下賜よりは、修道院送りか処刑になるかもしれない。」
「聖女様を見つけ出し、討伐すればよかろうものを。」
「でも、ことが露見すれば、確実に死刑が待っているさ。それにご実家の公爵家も加担していなくても加担したと難癖を付けられ、お取りつぶしになるだろう。」
「ひゃぁっ。くわばら、くわばら。聖女様も、早めに帰ってくれるとありがたいな。」
その頃、王族の間でも微妙な駆け引きがある。
「もし、我が国へ聖女様が永住してくださることになれば、聖女様と結婚できたものが次期国王になるものとしよう。」
国王陛下が、王族会議の場で発言される。
それに慌てたのが、王太子殿下。
「ということは?私は廃嫡になるということでございますか?」
「うむ。ほかの王子が見事、聖女様のハートを射止めたならば、そう言うこともあり得る。が、バーバラ(王太子妃殿下)と離婚するとあれば、まだ可能性は残っている。」
「これで、兄上の廃嫡は決まったようなものだな。あの美人の嫁さんを手放すことなどできないのに、決まっている。」
「そんなこと……。」
「顔で選んだわけではない!バーバラを愛していたから。」
「愛のために王の座を失うのも、いいことではないか?まぁ、俺たちは、ライバルが一人消えてくれて助かるがな。」
「まずは、聖女様を見つけ出すこと。カーニバルに来られているらしいから、警備と称して、市中の見回りを行う。ここまでは、他の王子と協力してやろう。一人でむやみに探しても始まらないし。効率が悪い。」
「そして、見事聖女様を見つけてからは、レースがスタートする。抜け駆けはなしだぞ。兄上は、最後のカーニバルパレードを楽しんでください。ククク。」
探索は、宿屋を中心に他国の観光客で、若い女性がいるものに絞られた。
オリヴィアは、宿屋に泊らず、辺境伯邸に寝泊まりしているから、その網に引っかかることはなく、無事、王都を脱出できたのだ。
ヤーパン国側に見つからないように、こっそりとだ。
それにしてもお祭りの終盤のパレードは見ものだったわ。
ヤーパン国の王太子ご夫妻が馬車に乗って、巡回されたのだけど、王太子妃のお美しいことと言えば、美の女神様かのように輝いていらっしゃったわ。
もともと顔の作りがいい上に、きっと旦那様の王太子殿下から大事にされていらっしゃるのでしょう。
だから、あんなにも屈託のない笑顔ができる。まったくもって、羨ましい限りだ。
オリヴィアのグループ以外は、すでに王都を脱出している。王都のはずれのところで集合なので、大人数での移動にならず目立たない。
オアシスを出発するとき、1人に付き金貨1枚(日本円換算で1万円相当)のお小遣いを父が支給してくれた。
だから、他のみんなはそれを持って、嬉しそうに行楽気分で行ったのだ。
オリヴィアも一応、父からお小遣いをもらったけど、たこ焼きを買い食いしたぐらいで、他には、何も使っていない。
早く海に行きたい、との思いから、何も欲しくないのだ。
ヤーパン国では、カーニバルの最中、ある噂でもちきりとなる。
「おい、聞いたか?カーニバルに聖女様がお忍びで来られているらしいぞ。」
「その話、俺も聞いたぞ、いつもカーニバルの最中に1回は必ず雨になるのだが、今年は一度も降らない。」
「そういえば、そうだな。でももしsの話が本当なら、王太子妃殿下も気が気でないだろうな?」
「そうよ、旦那の殿下と離縁も十分あり得る話になるからな。」
「あんなに、お美しいから、側妃に格下げになられるかもしれないぞ。」
「おかわいそうに、下賜されるようなことがあれば、真っ先に手を上げるぞ。」
「閨の秘密を知っているから、下賜よりは、修道院送りか処刑になるかもしれない。」
「聖女様を見つけ出し、討伐すればよかろうものを。」
「でも、ことが露見すれば、確実に死刑が待っているさ。それにご実家の公爵家も加担していなくても加担したと難癖を付けられ、お取りつぶしになるだろう。」
「ひゃぁっ。くわばら、くわばら。聖女様も、早めに帰ってくれるとありがたいな。」
その頃、王族の間でも微妙な駆け引きがある。
「もし、我が国へ聖女様が永住してくださることになれば、聖女様と結婚できたものが次期国王になるものとしよう。」
国王陛下が、王族会議の場で発言される。
それに慌てたのが、王太子殿下。
「ということは?私は廃嫡になるということでございますか?」
「うむ。ほかの王子が見事、聖女様のハートを射止めたならば、そう言うこともあり得る。が、バーバラ(王太子妃殿下)と離婚するとあれば、まだ可能性は残っている。」
「これで、兄上の廃嫡は決まったようなものだな。あの美人の嫁さんを手放すことなどできないのに、決まっている。」
「そんなこと……。」
「顔で選んだわけではない!バーバラを愛していたから。」
「愛のために王の座を失うのも、いいことではないか?まぁ、俺たちは、ライバルが一人消えてくれて助かるがな。」
「まずは、聖女様を見つけ出すこと。カーニバルに来られているらしいから、警備と称して、市中の見回りを行う。ここまでは、他の王子と協力してやろう。一人でむやみに探しても始まらないし。効率が悪い。」
「そして、見事聖女様を見つけてからは、レースがスタートする。抜け駆けはなしだぞ。兄上は、最後のカーニバルパレードを楽しんでください。ククク。」
探索は、宿屋を中心に他国の観光客で、若い女性がいるものに絞られた。
オリヴィアは、宿屋に泊らず、辺境伯邸に寝泊まりしているから、その網に引っかかることはなく、無事、王都を脱出できたのだ。
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