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57リザード
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冒険者は、さっきからずっとユリウスから、お小言の嵐にさいなまれ続けている。
「だって借金分しか肩代わりしてくれないって、言われたんですからね!」
「お前なんぞに金貨1000枚の値打ちがあると本気で思ってんのか?」
「そりゃ、ひどいですよ。兄貴。こちとら、はるばるヤーパン国から来たっていうのにさぁ。借金分だけっていうのは……、もう少し色を付けてくれたっていいものを。」
「なに!? お前、ヤーパン国の者か?どこの出身だ?」
「へ?あっしの生まれは東のナルムスと言うところですが、王都の冒険者ギルドに所属していました。旦那もヤーパン国の方ですかい?」
冒険者はいつの間にか、ユリウスのことを兄貴から旦那に呼び方を変えている。言いながらギルド証をユリウスに見せる冒険者。
「俺たちは、王太子殿下直属の騎士団出身者だ。ほぉ。Sランク冒険者とは、凄いな。」
「でしょ?だから1000枚ぽっちのギャラじゃ割に合わないって。」
「こらっ!調子に乗るな!聖女様が拾ってくださったことに感謝しろ!聖女様がお前なんぞに、1000枚も払ってくださるのだから、それに見合う働きをしろ!」
「はいはい。わかってますよ。って、あっしは何をすればいいんですか?」
「とりあえずは、がれきの撤去だ。誰か生き埋めになっている者がいるかもしれないから、その救出を最優先にすること。」
「へーい。」
オリヴィアは、前世の災害救助犬のことを思い出している。こういう場合、ああいった犬がいれば……?
ふと、ライオンちゃんと目が合う。
いるじゃない!
犬じゃないけど、犬っぽい動物がいる。ライオンちゃんなら、力持ちだから少々のがれきもへっちゃらよね。
ライオンちゃんなら、カラダの大きさを自由自在に変えられるから、狭いがれきの中でも自由に動ける。
意を決して、ライオンちゃんにそのことを伝えると、あっさり拒否されてしまう。
「儂は仮にも、フェンリルで神獣だぞ。そこらのワンコロのような真似はできない。」
「なによ!お友達でしょ。偉そうなことを言って。いいわよ、それならわたくしががれきの下へ潜るわよ。もしまだ息がある人がいたら、ライオンちゃんは責任をもって、その人の救命をしてくださいな。」
「わ、わかったよ。聖女様を危険な目に会わせるわけにはいかないから、儂が潜ればいいのだろう。」
ライオンちゃんは、渋々ながらも災害救助を引き受けてくれることになって、助かった。
あのヤーパン国から来た冒険者だって、自国の救助を必要とされる人がいたかもしれないのに、お金のため?かアンダルシアに来てくれた。それをあのアンダルシア王は平気で裏切る。そういう男だった。
だから行方不明になろうが、誰も心配しない。逃げおおせたところで、どうせ、魔物に殺されているだろう。
あのアンダルシア王が他国の一介の冒険者に金貨10000枚はありえない話だ。いくら自分の命が惜しくても、お金はもっと惜しいはず。だからハナからタダ働きをさせるつもりで呼んだのだろう。
バーモンドが婚約者の公爵令嬢を簡単に裏切ったように、あの親にしてあの息子あり、というところ。
そんな時、あのヤーパン国の冒険者ががれきの下から何かを発見したようだ。
「旦那!聖女様!これを見てくだせぇ。魔物の奴、これを落としちまったから、探すために、ここまで破壊しつくしたのかもしれません。」
よく見ると、それは龍の玉のように見える。
前世ニッポンの知識からすれば、龍などという生き物は絵空事の架空の生き物で実在しない。
さらに冒険者は話を続ける。
「あの魔物の正体はリザードだったのではないか?リザードが何らかの理由で海においやられ、復権を求めて暴れまくった。というのが俺の推理だ。」
「そんな非科学的なこと……。」
「は?聖女様、ひかがく?とは、何のことやら?」
「リザードの祖先は、龍ですから。」
「だって借金分しか肩代わりしてくれないって、言われたんですからね!」
「お前なんぞに金貨1000枚の値打ちがあると本気で思ってんのか?」
「そりゃ、ひどいですよ。兄貴。こちとら、はるばるヤーパン国から来たっていうのにさぁ。借金分だけっていうのは……、もう少し色を付けてくれたっていいものを。」
「なに!? お前、ヤーパン国の者か?どこの出身だ?」
「へ?あっしの生まれは東のナルムスと言うところですが、王都の冒険者ギルドに所属していました。旦那もヤーパン国の方ですかい?」
冒険者はいつの間にか、ユリウスのことを兄貴から旦那に呼び方を変えている。言いながらギルド証をユリウスに見せる冒険者。
「俺たちは、王太子殿下直属の騎士団出身者だ。ほぉ。Sランク冒険者とは、凄いな。」
「でしょ?だから1000枚ぽっちのギャラじゃ割に合わないって。」
「こらっ!調子に乗るな!聖女様が拾ってくださったことに感謝しろ!聖女様がお前なんぞに、1000枚も払ってくださるのだから、それに見合う働きをしろ!」
「はいはい。わかってますよ。って、あっしは何をすればいいんですか?」
「とりあえずは、がれきの撤去だ。誰か生き埋めになっている者がいるかもしれないから、その救出を最優先にすること。」
「へーい。」
オリヴィアは、前世の災害救助犬のことを思い出している。こういう場合、ああいった犬がいれば……?
ふと、ライオンちゃんと目が合う。
いるじゃない!
犬じゃないけど、犬っぽい動物がいる。ライオンちゃんなら、力持ちだから少々のがれきもへっちゃらよね。
ライオンちゃんなら、カラダの大きさを自由自在に変えられるから、狭いがれきの中でも自由に動ける。
意を決して、ライオンちゃんにそのことを伝えると、あっさり拒否されてしまう。
「儂は仮にも、フェンリルで神獣だぞ。そこらのワンコロのような真似はできない。」
「なによ!お友達でしょ。偉そうなことを言って。いいわよ、それならわたくしががれきの下へ潜るわよ。もしまだ息がある人がいたら、ライオンちゃんは責任をもって、その人の救命をしてくださいな。」
「わ、わかったよ。聖女様を危険な目に会わせるわけにはいかないから、儂が潜ればいいのだろう。」
ライオンちゃんは、渋々ながらも災害救助を引き受けてくれることになって、助かった。
あのヤーパン国から来た冒険者だって、自国の救助を必要とされる人がいたかもしれないのに、お金のため?かアンダルシアに来てくれた。それをあのアンダルシア王は平気で裏切る。そういう男だった。
だから行方不明になろうが、誰も心配しない。逃げおおせたところで、どうせ、魔物に殺されているだろう。
あのアンダルシア王が他国の一介の冒険者に金貨10000枚はありえない話だ。いくら自分の命が惜しくても、お金はもっと惜しいはず。だからハナからタダ働きをさせるつもりで呼んだのだろう。
バーモンドが婚約者の公爵令嬢を簡単に裏切ったように、あの親にしてあの息子あり、というところ。
そんな時、あのヤーパン国の冒険者ががれきの下から何かを発見したようだ。
「旦那!聖女様!これを見てくだせぇ。魔物の奴、これを落としちまったから、探すために、ここまで破壊しつくしたのかもしれません。」
よく見ると、それは龍の玉のように見える。
前世ニッポンの知識からすれば、龍などという生き物は絵空事の架空の生き物で実在しない。
さらに冒険者は話を続ける。
「あの魔物の正体はリザードだったのではないか?リザードが何らかの理由で海においやられ、復権を求めて暴れまくった。というのが俺の推理だ。」
「そんな非科学的なこと……。」
「は?聖女様、ひかがく?とは、何のことやら?」
「リザードの祖先は、龍ですから。」
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