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新しい出会い
62.審問
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シャルマンは、優越感に浸っていた。
俺の妻は、聖女様だ。ということに、それは同時に危険な賭けでもあったのだが今は、シャルマン・レバトリーだけが聖女様を組み敷くことが許される存在だということをブルオードの奴らに示したかった。
「聖女様、この度は妹キャサリン王女の命を救っていただき感謝申し上げます。」
「……シャル様ぁ、抱っこしてぇ。」
「わかっているよ、ジャッキーの好きなこと全部してあげる。おいで。」
ジャクリーンは、シャルマンの首に手を回していて、うっとりとした表情を浮かべている。
見てはいけない夫婦の時間を見ているようで気が引けるのか、王族は全員、そっぽを向いている。そして、一人、また二人と寝室を出ていく。
今、来た道がわからず引き返して、聖女様がナニをなさっている最中に聞くわけもいかず、仕方なく女子寮から帰ることにしたのだが、当然女子寮から大量の男子王族が出てきたことで、大騒ぎになり大問題へと発展する。
「だから誤解だと申しておるだろう。」
「何がどう誤解だとお聞きしているのです。若い女性しかいない女子寮に大人数で押しかけた目的は何なのですか?抵抗できない若い女性を手籠めにするためでございますか?とお聞きしているのでございます。」
「だから妹のキャサリンが命拾いしたことに対し、聖女様にお礼を申し上げに行ったのだ。」
「聖女様を手籠めにするため、大人数で押し入ったというのですか?これは外交問題になりますね。」
「だから何度言えば、いいのだ?キャサリン王女が、いや、とにかくキャサリン王女の命を助けてくださった聖女様がふらふらしながら女子寮に戻られたところ、我々がお礼を申し上げるために、その後を追ったら、そこは女子寮だったというわけだ。」
「ほぅ。ずいぶん都合がいい話でございますね。聖女様が転移魔法を使われたので、慌てて、女子寮に参ったのではございませんか?それとも、聖女様が王子様たちのために道を作っていたと申されるのですか?」
「今となっては、そうだとしか思えない。」
「なんのために?もうそろそろ認めたらいかがですか?仮にも王子様なのだから、無抵抗の女子寮でのぞき見、もしくは痴漢行為をしたいと思って大勢でおしかけたのでございましょう?」
学園の女子寮は娼館ではございませんことを改めて、申しておきます。」
「だからそれは違うと申しておるだろう。どうやって、王城から女子寮へ行けたかは存ぜぬが、我々はただ聖女様に礼を言うため、聖女様の後を追ってきたら、そこがたまたま女子寮だったというわけだ。」
「どこまでシラを切るおつもりでございましょうか?」
「でもこれが、まぎれもない事実なのだから仕方がないだろ!」
そこへ王子側の証人として、エルモアが呼ばれ、尋問室に入ってきた。
「キャサリン王女が体調を崩されたとき、医師であるあなたがついていながら、なぜ聖女様をお呼びになったのでございますか?」
「ジャクリーンの専門は内科だからです。」
「ないかとは?」
「主に手術をせずに、薬や食事療法で病気を治していくことを専門にする医師。」
「ふむ。それで聖女様をお呼びになられたということで、間違いございませんね。」
「はい。その通りです。」
「どうやって連絡を取り合っていたのですか?当時、エルモア殿はキャサリン王女と一緒にいられたのに、聖女様は学園の女子寮におられたわけでございますが。」
「それは……、黙秘したいです。」
「エルモア~!言ってくれ。頼む。」
「それは、妹に聞いてみないことには、私の一存では応えられません。」
「では、この場に聖女様を呼びつけることは可能でございますか?」
「妹がヒマなら来てくれると思います。ヒマでなくても、急患の合図を送れば来てくれる可能性が高いです。」
「では、その合図を送ってくださいませんか?」
「いいですよ。」
エルモアは、後ろ側を振り向いて、どこからかベルが鳴っている音がしている。
「これが急患の合図です。妹は白衣を纏って、しばらくすればこちらに来てくれます。ちなみに白衣とは、医師の装束です。」
「わかりました。聖女様は、転移魔法を使って、こちらに来られるということでしょうか?」
「いえ、それも妹が来てから、承諾を得れば、お話します。」
予想通り、ジャクリーンは白衣に聴診器を首からぶら下げてやってきた。
「ちょっと妹と二人で話をさせてもらえますか?」
「どうぞ。」
「実はな。キャサリンを君が助けた日、君にお礼を言うために王子様たちが女子寮について行ってしまったのだが、どうやって、王子様たちが女子寮に行けたかを尋問されている。俺のクリニックのことを話してもいいか?」
「ええ。もちろんいいわよ。」
「あれを食う付けることがジャッキーにしかできないことだから、承諾を得ようと思ってね。」
「別に急患じゃないのだったら、帰ってもいい?これからレバトリー家に行くのよ。お兄様も行くのなら、待っているけど?」
「お!連れて行ってくれるのなら、行きたい。」
「わかったわ。クリニックで待っているね。」
「妹の承諾が得られたので、お話します。実は私は聖女様の能力はありません。が、妹と双子だからかはわかりかねますが、妹と同じようにチートスキルがあります。その一つがコレです。なぜかわからないのですが、前世開業医をしていた時の歯科診療所を持ち運びすることができるのです。この診療所の裏口を妹の住む女子寮の書斎とくっつけているので、妹が女子寮の部屋にいるときは、いつもこうして急患のベルを鳴らすと、このように参じてくれます。」
「は?え……と、今、ここで、女子寮の中に行けるということですか?」
「妹の承諾が得られれば、の話になります。2年前の夏休みの終わりの頃、私は一人の騎士の命を救いました。その際も、この診療所を遣い、妹に現場に急行してもらい、助けられた次第でございます。その時、血を見てキャサリン殿下の具合が悪くなってしまい、妹の部屋を通って、王城に避難していただいた所存でございます。」
「そういえば、なぜキャサリン殿下が、あの時、王城にいられたのか不思議に思っておりました。」
俺の妻は、聖女様だ。ということに、それは同時に危険な賭けでもあったのだが今は、シャルマン・レバトリーだけが聖女様を組み敷くことが許される存在だということをブルオードの奴らに示したかった。
「聖女様、この度は妹キャサリン王女の命を救っていただき感謝申し上げます。」
「……シャル様ぁ、抱っこしてぇ。」
「わかっているよ、ジャッキーの好きなこと全部してあげる。おいで。」
ジャクリーンは、シャルマンの首に手を回していて、うっとりとした表情を浮かべている。
見てはいけない夫婦の時間を見ているようで気が引けるのか、王族は全員、そっぽを向いている。そして、一人、また二人と寝室を出ていく。
今、来た道がわからず引き返して、聖女様がナニをなさっている最中に聞くわけもいかず、仕方なく女子寮から帰ることにしたのだが、当然女子寮から大量の男子王族が出てきたことで、大騒ぎになり大問題へと発展する。
「だから誤解だと申しておるだろう。」
「何がどう誤解だとお聞きしているのです。若い女性しかいない女子寮に大人数で押しかけた目的は何なのですか?抵抗できない若い女性を手籠めにするためでございますか?とお聞きしているのでございます。」
「だから妹のキャサリンが命拾いしたことに対し、聖女様にお礼を申し上げに行ったのだ。」
「聖女様を手籠めにするため、大人数で押し入ったというのですか?これは外交問題になりますね。」
「だから何度言えば、いいのだ?キャサリン王女が、いや、とにかくキャサリン王女の命を助けてくださった聖女様がふらふらしながら女子寮に戻られたところ、我々がお礼を申し上げるために、その後を追ったら、そこは女子寮だったというわけだ。」
「ほぅ。ずいぶん都合がいい話でございますね。聖女様が転移魔法を使われたので、慌てて、女子寮に参ったのではございませんか?それとも、聖女様が王子様たちのために道を作っていたと申されるのですか?」
「今となっては、そうだとしか思えない。」
「なんのために?もうそろそろ認めたらいかがですか?仮にも王子様なのだから、無抵抗の女子寮でのぞき見、もしくは痴漢行為をしたいと思って大勢でおしかけたのでございましょう?」
学園の女子寮は娼館ではございませんことを改めて、申しておきます。」
「だからそれは違うと申しておるだろう。どうやって、王城から女子寮へ行けたかは存ぜぬが、我々はただ聖女様に礼を言うため、聖女様の後を追ってきたら、そこがたまたま女子寮だったというわけだ。」
「どこまでシラを切るおつもりでございましょうか?」
「でもこれが、まぎれもない事実なのだから仕方がないだろ!」
そこへ王子側の証人として、エルモアが呼ばれ、尋問室に入ってきた。
「キャサリン王女が体調を崩されたとき、医師であるあなたがついていながら、なぜ聖女様をお呼びになったのでございますか?」
「ジャクリーンの専門は内科だからです。」
「ないかとは?」
「主に手術をせずに、薬や食事療法で病気を治していくことを専門にする医師。」
「ふむ。それで聖女様をお呼びになられたということで、間違いございませんね。」
「はい。その通りです。」
「どうやって連絡を取り合っていたのですか?当時、エルモア殿はキャサリン王女と一緒にいられたのに、聖女様は学園の女子寮におられたわけでございますが。」
「それは……、黙秘したいです。」
「エルモア~!言ってくれ。頼む。」
「それは、妹に聞いてみないことには、私の一存では応えられません。」
「では、この場に聖女様を呼びつけることは可能でございますか?」
「妹がヒマなら来てくれると思います。ヒマでなくても、急患の合図を送れば来てくれる可能性が高いです。」
「では、その合図を送ってくださいませんか?」
「いいですよ。」
エルモアは、後ろ側を振り向いて、どこからかベルが鳴っている音がしている。
「これが急患の合図です。妹は白衣を纏って、しばらくすればこちらに来てくれます。ちなみに白衣とは、医師の装束です。」
「わかりました。聖女様は、転移魔法を使って、こちらに来られるということでしょうか?」
「いえ、それも妹が来てから、承諾を得れば、お話します。」
予想通り、ジャクリーンは白衣に聴診器を首からぶら下げてやってきた。
「ちょっと妹と二人で話をさせてもらえますか?」
「どうぞ。」
「実はな。キャサリンを君が助けた日、君にお礼を言うために王子様たちが女子寮について行ってしまったのだが、どうやって、王子様たちが女子寮に行けたかを尋問されている。俺のクリニックのことを話してもいいか?」
「ええ。もちろんいいわよ。」
「あれを食う付けることがジャッキーにしかできないことだから、承諾を得ようと思ってね。」
「別に急患じゃないのだったら、帰ってもいい?これからレバトリー家に行くのよ。お兄様も行くのなら、待っているけど?」
「お!連れて行ってくれるのなら、行きたい。」
「わかったわ。クリニックで待っているね。」
「妹の承諾が得られたので、お話します。実は私は聖女様の能力はありません。が、妹と双子だからかはわかりかねますが、妹と同じようにチートスキルがあります。その一つがコレです。なぜかわからないのですが、前世開業医をしていた時の歯科診療所を持ち運びすることができるのです。この診療所の裏口を妹の住む女子寮の書斎とくっつけているので、妹が女子寮の部屋にいるときは、いつもこうして急患のベルを鳴らすと、このように参じてくれます。」
「は?え……と、今、ここで、女子寮の中に行けるということですか?」
「妹の承諾が得られれば、の話になります。2年前の夏休みの終わりの頃、私は一人の騎士の命を救いました。その際も、この診療所を遣い、妹に現場に急行してもらい、助けられた次第でございます。その時、血を見てキャサリン殿下の具合が悪くなってしまい、妹の部屋を通って、王城に避難していただいた所存でございます。」
「そういえば、なぜキャサリン殿下が、あの時、王城にいられたのか不思議に思っておりました。」
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