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アーノルドが変装をして平民服を着ても、そのオーラはすさまじく、あっという間に道行く女性から取り囲まれてしまう。
内心「まただ」とうんざりするものの、今夜の夜伽相手を誰にしようかと、物色する。
女性たちも、アーノルドの視線の行方が気になるのか、競うように懸命にセックスアピールをする。髪をかき上げ、腰を振り、バストを揺らすしぐさをして、次第にその色気はさらなる熱気を生む。
周りにいた通行人の男たちを刺激し、鼻血を垂らすもの、パートナーがいる者は帰宅を急ぎ、恋人と連れ立っていたものは、おもむろに恋人とおっ始める。
辺りかまわず、広場では、愛の囁きや喘ぎ声が漏れ始める。先ほどまでいた子供連れも、いつの間にか姿を消し、狂ったように腰を振る男女が目立つようになってくる。
これでは、治安が悪くなるとばかりに、王太子殿下を諫めようと側近が、殿下に近づこうも、美女たちに気圧されて、なかなか殿下に近づけない。
と、そこへ「ヒィヒィーン!」
馬のいななく声がする!暴れ馬が一頭、広場の中心に向かって駆けてくる。後を追いかけているのは、その馬の御者だろうか?
慌てふためいているのか、時折、前につんのめりながら、転がるように後を追いかけている姿が見える。
殿下の護衛騎士は、殿下をお守りすべく、殿下の前に立ちはだかる班と馬を押しとどめようとする班に分かれる。
その時、その馬の前に勇敢にも飛び出してきた少女がいた。少女は、「ドゥドゥ」と馬を宥め、落ち着かせ、自らその馬にまたがり、御者の元へと行く。
その少女の侍女だろうか、その少女のことを「お嬢様!」と叫びながら、馬の後を追う女性。
御者に無事、馬を渡し終えた少女は、侍女とともに、いずこかへ姿を消す。
さっきまでのエロティックな余韻はどこへやら?その少女を称賛、喝采する声が上がる!
でも、一番衝撃を受けた男は、アーノルド自身だったのだ。
「誰だ?あの少女の素性を洗え!」
アーノルドは、不思議とあの少女を夜伽相手としては選べないと思ってしまう。なぜだかわからないが、今まで感じたことがないほど、胸に衝撃を受けた。
そして、その日は収穫がないまま、城へ帰っていく。夜伽の相手を見つけられなかったことは、今まで一度と無いこと。
あの少女のことを思い出すだけで、胸がいっぱいになり、この気持ちをどう表していいのかわからず困惑するばかりだ。
何日も、あの広場で見た少女の横顔が忘れられずに、幾晩も眠れない夜を過ごす。誰か、他の女を抱く気も失せ、ひたすら、少女のことばかりを思ってしまう毎日。食事もロクにのどを通らず、再び、少女を探しに街へ行くも、消息は分からずじまいにいた。
侍女と思しき女性を連れて歩いていたところから、貴族令嬢か、商会の令嬢だろうか?あの馬を大人しくさせる手綱さばきから考えても前者の可能性が高いことは明らか、だが、今もって少女の素性はおろか消息もわからない。
その少女の横顔は、忘れもしない銀色の髪をしていて、色が白く長いまつげが印象的だ。
ああ、もう一度、会いたい。アーノルドは一度しか目にしたことがない少女に恋焦がれているが、それが恋だとは気づかずにいる。哀れな男なのだ。
今まで、一度も人を愛したことがない男、幼くして母を亡くし、いつも年上の女性は自分に傅いてくることが当然だと思い込んでいる。長じてからも、女は、皆、自分に夢中になるもので、自分から女を欲しいと思ったことなど一度もない。
女は肉欲を満たすための道具でしかないと思っている。側近としてつけられた男たち……それは、同い年の重鎮の息子だが、彼らには皆、婚約者なるものがいて、決まった相手としか抱かない。
だが、アーノルドには、なぜか決まった婚約者がいない。だから、決まった相手とできなくて、いうも愛人契約をした相手としかできないことに窮屈を感じている。
本末転倒な言い分だが、これがアーノルドが女を愛せない持論なのだから仕方がない。
内心「まただ」とうんざりするものの、今夜の夜伽相手を誰にしようかと、物色する。
女性たちも、アーノルドの視線の行方が気になるのか、競うように懸命にセックスアピールをする。髪をかき上げ、腰を振り、バストを揺らすしぐさをして、次第にその色気はさらなる熱気を生む。
周りにいた通行人の男たちを刺激し、鼻血を垂らすもの、パートナーがいる者は帰宅を急ぎ、恋人と連れ立っていたものは、おもむろに恋人とおっ始める。
辺りかまわず、広場では、愛の囁きや喘ぎ声が漏れ始める。先ほどまでいた子供連れも、いつの間にか姿を消し、狂ったように腰を振る男女が目立つようになってくる。
これでは、治安が悪くなるとばかりに、王太子殿下を諫めようと側近が、殿下に近づこうも、美女たちに気圧されて、なかなか殿下に近づけない。
と、そこへ「ヒィヒィーン!」
馬のいななく声がする!暴れ馬が一頭、広場の中心に向かって駆けてくる。後を追いかけているのは、その馬の御者だろうか?
慌てふためいているのか、時折、前につんのめりながら、転がるように後を追いかけている姿が見える。
殿下の護衛騎士は、殿下をお守りすべく、殿下の前に立ちはだかる班と馬を押しとどめようとする班に分かれる。
その時、その馬の前に勇敢にも飛び出してきた少女がいた。少女は、「ドゥドゥ」と馬を宥め、落ち着かせ、自らその馬にまたがり、御者の元へと行く。
その少女の侍女だろうか、その少女のことを「お嬢様!」と叫びながら、馬の後を追う女性。
御者に無事、馬を渡し終えた少女は、侍女とともに、いずこかへ姿を消す。
さっきまでのエロティックな余韻はどこへやら?その少女を称賛、喝采する声が上がる!
でも、一番衝撃を受けた男は、アーノルド自身だったのだ。
「誰だ?あの少女の素性を洗え!」
アーノルドは、不思議とあの少女を夜伽相手としては選べないと思ってしまう。なぜだかわからないが、今まで感じたことがないほど、胸に衝撃を受けた。
そして、その日は収穫がないまま、城へ帰っていく。夜伽の相手を見つけられなかったことは、今まで一度と無いこと。
あの少女のことを思い出すだけで、胸がいっぱいになり、この気持ちをどう表していいのかわからず困惑するばかりだ。
何日も、あの広場で見た少女の横顔が忘れられずに、幾晩も眠れない夜を過ごす。誰か、他の女を抱く気も失せ、ひたすら、少女のことばかりを思ってしまう毎日。食事もロクにのどを通らず、再び、少女を探しに街へ行くも、消息は分からずじまいにいた。
侍女と思しき女性を連れて歩いていたところから、貴族令嬢か、商会の令嬢だろうか?あの馬を大人しくさせる手綱さばきから考えても前者の可能性が高いことは明らか、だが、今もって少女の素性はおろか消息もわからない。
その少女の横顔は、忘れもしない銀色の髪をしていて、色が白く長いまつげが印象的だ。
ああ、もう一度、会いたい。アーノルドは一度しか目にしたことがない少女に恋焦がれているが、それが恋だとは気づかずにいる。哀れな男なのだ。
今まで、一度も人を愛したことがない男、幼くして母を亡くし、いつも年上の女性は自分に傅いてくることが当然だと思い込んでいる。長じてからも、女は、皆、自分に夢中になるもので、自分から女を欲しいと思ったことなど一度もない。
女は肉欲を満たすための道具でしかないと思っている。側近としてつけられた男たち……それは、同い年の重鎮の息子だが、彼らには皆、婚約者なるものがいて、決まった相手としか抱かない。
だが、アーノルドには、なぜか決まった婚約者がいない。だから、決まった相手とできなくて、いうも愛人契約をした相手としかできないことに窮屈を感じている。
本末転倒な言い分だが、これがアーノルドが女を愛せない持論なのだから仕方がない。
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