愛人契約~純情な貧乏娘に一目ぼれ!?あの手この手で口説きまくる

青の雀

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 キャロラインが公爵になったことで、それまで散らばっていたかつての使用人が戻ってきたが、王家は、その使用人たちの復職を認めなかったのだ。

 クリスタル公爵家の使用人は、王家で選抜試験を受けてから、配属するようにした。いくら家族のためとはいえ、主家筋の正当な後継者をずる賢い輩から守り切れなかった罪は大きい。

 その点、クリスティーヌの行いは立派すぎる。婚約者がいる女性でも、その功績は爵位に値すると判断され、クリスティーヌは男爵の位を拝命する。伯爵夫人よりも、男爵の方が身分は上になる。それに毎月、王家からお給金が出るところも魅力がある。

 ひと月分のお給金は、タダ働きしていた5年分のお給料に匹敵するよりもまだ多い額に驚愕するも、ありがたくいただくことにして、このお金で婚礼品をそろえることができる。

 晴れて、マイケルとの結婚式の日取りが決まる。結婚後もしばらくは、キャロラインの侍女を務める予定。ただし、通いになるので、住み込みはできなくなる。



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 アーノルドは、せっかくキャロラインを助け出した陰の立役者が自分だと気づいてもらえない。

 救出作戦の先手を父・国王に持っていかれたためなのであるが、本来は、国王陛下が乗り込むのではなく、自分が乗り込むつもりで準備をしていたのだが、直前になり、親父が急に、その娘を検分したいと言い出されて、……おかげでキャロラインの第1印象は親父に持っていかれたというわけ。

 あれから、いろいろ贈り物をしてもお礼状が来るだけで、梨のつぶて状態に苛立っている。

 ここは、一発気晴らしに、舞踏会でもして、新しい女を探すことにするか?おれは、たまたまあの日、見かけただけの公爵のことが気になっただけで、別に何とも思っていないと虚勢を張りたい。

 そう何とも、思っていないはず。だが、舞踏会となれば、長らくクロームから疎まれていた存在だったから、着てくるドレスも困っているはずだ。だから、ドレスぐらいプレゼントしたところで、俺がキャロライン嬢に気があるなどと勘違いをしてくることはなかろう。

 良い考えを思いついたとばかりに、クリスティーヌ男爵を城に呼びつけ、キャロラインは何色が似合うか?どんなデザインを好むか?さらには、サイズまで聞き出し、ドレスを誂えることにする。

 舞踏会の当日、そのドレスを着てくれたら、どんなに嬉しいか胸がわくわくするのをグっと抑え込み、その日が来るのを待つ。

 キャロラインは、舞踏会の前日になり、会ったこともない王太子殿下から、自分好みのドレスが贈られてきたことに困惑が隠せない。

 ピンクのサテンの生地にフリルとリボンがいっぱいあしらわれたドレス。襟は詰まっているものの、背中は大きく開いている。そして背中の腰の部分にも、やはり大きなリボンがアクセントとして、付いているものだった。

 それにサイズまでピッタリだなんて、殿下は、どこかでわたくしのサイズを測ったとしか思えない。気持ちが悪い。でも、身分が上位の殿下からの贈り物に袖を通さないわけにはいかない。

 迷った挙句、少し顔を出して、すぐに帰ることを決意する。だって、舞踏会に行くには、誰かがパートナーになり、エスコートしてもらわなければ行けない決まりがある。女性一人で参加して、笑いものになりたくない。

 クリスティーヌには、マイケルという立派な婚約者がいるが、キャロラインは婚約者はおろか、父親も死んでいるから、いない。

 それならば、と執事や家令がエスコートを申し出てくれるも、うーん。年が離れすぎている。護衛騎士が、エスコートを申し出てくれるも、これまた身長が違いすぎる。

 キャロラインは、成長期に十分な睡眠と栄養を摂っていなかったから、まだ子供体型なのだ。出るところも発達していないカラダでドレスを着ることは、コンプレックスの火に油を注ぐようなもの。

 こんな姿で、本当にお城へ行ってもいいのかしら?と悩んでいる。
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