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第1章
21.閑話 ざまあ
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ジェニファーは、ヒューズ国での魔導師の言葉が気になったが、先を急ぐ旅だったので、一度もそのことの検証をしないままヤーパン国へ行く。
いつものように元首に挨拶をして、荷物を解くふりをしながら実家へ帰る。
実家へは、セシールの結婚報告以来、忙しくてなかなか帰れていなかったので、さぞかし、へそを曲げているだろうと思っていたのだが、父上も母上も、やたら機嫌がいい。
やっぱり司祭様が刺激材料になったのか……と納得する。
「あら、おかえりなさい。」
「ただいま。今度はヤーパン国へ行ったのよ。何か欲しいものある?」
「そうね。ヤーパンと言えば、シルクかしら。それより、アーノルドが結婚するって話、知っている?」
ああ、スカーレットと遂に結婚するのか……。
「それが、お相手がね。カスバートソン公爵令嬢ではないのよ。」
「ええっ!どうして?スカーレットが断ったの?」
「ううん。反対。オビンソン家がカスバートソン家に三下り半を突き付けたから、世の中わからないわよね。なんでも、スカーレット嬢の男狂いが凄まじくて、という噂があるけど、あんな深窓の令嬢が男狂いだなんて、信じられないわ。でも、婚約破棄違約金の支払いはなかったらしいから、案外本当のことかもしれないわね。」
「へー。スカーレットは、自暴自棄になってしまったのかもしれないわね。それで、アーノルドは誰と結婚したの?」
「ああ、何でももう男の子が生まれているそうよ。名前なんて言ったかしら?」
「あ、その話、聞いたことがある!お友達のお友達のお友達がアルバートの子供を身ごもって、産んだという話。」
「ジェニファーちゃん、良かったわね。オビンソン家と縁が切れて、隠し子がいるような男なんて、ロクなものではないわよ。」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
事の真相は、結婚式で聞いた隠し子を産んだ令嬢の両親が、オビンソン家に怒鳴り込み、孫の認知を求めた。
オビンソン家としては、カスバートソン家とぎくしゃくしていたので、孫かわいさに、アーノルドを説得、アーノルドもスカーレットよりも家格は落ちるが、ちょうどスカーレットの気の強さに辟易していたから、渡りに船とばかりに、スカーレットとの婚約破棄を了承して、その令嬢と結婚するという形で、責任を取ったというわけ。
一番いい落としどころがあって、よかったわね。
今は引きこもりも解消し、商会のために身を粉にして働いているというから、「おめでとう。」と言いたいところだ。
その一方で、スカーレットは、というと、まだジェニファーに対抗心を燃やし、ジェニファー以上の玉の輿相手を探しているものの、父親から婚約破棄も離婚も認めないと釘を刺され、自暴自棄に走る。
一度でも、禁断の蜜に触れたカラダは、快楽を求め疼き、さりとて、アーノルドを求めるなど、プライドが許さない。
公爵家所属の騎士を相手に慰めてもらっていても、愛されていない情交はただの運動でしかない。それでは物足りなくなり、夜な夜な何人もの男から愛撫されないと感じなくなってしまう不感症に陥ってしまう。
演技して、不感症であることをバレないようにするも、カラダがまったく反応しないので、それをネタに男たちから強請られ、毎夜、男たちの命令を聞くしかなく、カラダを開かされる。
カスバートソン公爵も、娘の異常さを薄々気づいているが、注意できないでいる。信じたくないという気持ちと、もう純潔ではない穢れた娘だという認識で苦しんでいる。
近頃は、公爵邸の人間以外もスカーレットの部屋に忍び込み、スカーレットは、その男たちに奉仕するという形で、お情けをもらっている。巷では、カスバートソン公爵令嬢は、タダで抱かせてくれるという噂が平民にまで広がっているらしい。
そうこうしているうちに、男たちから変な病気をうつされた。スカーレットは、顔が溶け、カラダが溶け、最後は骨まで溶けてしまって、亡くなってしまったが、死ぬ間際まで、ジェニファーに対する謝罪の言葉はなかったという。
いつものように元首に挨拶をして、荷物を解くふりをしながら実家へ帰る。
実家へは、セシールの結婚報告以来、忙しくてなかなか帰れていなかったので、さぞかし、へそを曲げているだろうと思っていたのだが、父上も母上も、やたら機嫌がいい。
やっぱり司祭様が刺激材料になったのか……と納得する。
「あら、おかえりなさい。」
「ただいま。今度はヤーパン国へ行ったのよ。何か欲しいものある?」
「そうね。ヤーパンと言えば、シルクかしら。それより、アーノルドが結婚するって話、知っている?」
ああ、スカーレットと遂に結婚するのか……。
「それが、お相手がね。カスバートソン公爵令嬢ではないのよ。」
「ええっ!どうして?スカーレットが断ったの?」
「ううん。反対。オビンソン家がカスバートソン家に三下り半を突き付けたから、世の中わからないわよね。なんでも、スカーレット嬢の男狂いが凄まじくて、という噂があるけど、あんな深窓の令嬢が男狂いだなんて、信じられないわ。でも、婚約破棄違約金の支払いはなかったらしいから、案外本当のことかもしれないわね。」
「へー。スカーレットは、自暴自棄になってしまったのかもしれないわね。それで、アーノルドは誰と結婚したの?」
「ああ、何でももう男の子が生まれているそうよ。名前なんて言ったかしら?」
「あ、その話、聞いたことがある!お友達のお友達のお友達がアルバートの子供を身ごもって、産んだという話。」
「ジェニファーちゃん、良かったわね。オビンソン家と縁が切れて、隠し子がいるような男なんて、ロクなものではないわよ。」
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事の真相は、結婚式で聞いた隠し子を産んだ令嬢の両親が、オビンソン家に怒鳴り込み、孫の認知を求めた。
オビンソン家としては、カスバートソン家とぎくしゃくしていたので、孫かわいさに、アーノルドを説得、アーノルドもスカーレットよりも家格は落ちるが、ちょうどスカーレットの気の強さに辟易していたから、渡りに船とばかりに、スカーレットとの婚約破棄を了承して、その令嬢と結婚するという形で、責任を取ったというわけ。
一番いい落としどころがあって、よかったわね。
今は引きこもりも解消し、商会のために身を粉にして働いているというから、「おめでとう。」と言いたいところだ。
その一方で、スカーレットは、というと、まだジェニファーに対抗心を燃やし、ジェニファー以上の玉の輿相手を探しているものの、父親から婚約破棄も離婚も認めないと釘を刺され、自暴自棄に走る。
一度でも、禁断の蜜に触れたカラダは、快楽を求め疼き、さりとて、アーノルドを求めるなど、プライドが許さない。
公爵家所属の騎士を相手に慰めてもらっていても、愛されていない情交はただの運動でしかない。それでは物足りなくなり、夜な夜な何人もの男から愛撫されないと感じなくなってしまう不感症に陥ってしまう。
演技して、不感症であることをバレないようにするも、カラダがまったく反応しないので、それをネタに男たちから強請られ、毎夜、男たちの命令を聞くしかなく、カラダを開かされる。
カスバートソン公爵も、娘の異常さを薄々気づいているが、注意できないでいる。信じたくないという気持ちと、もう純潔ではない穢れた娘だという認識で苦しんでいる。
近頃は、公爵邸の人間以外もスカーレットの部屋に忍び込み、スカーレットは、その男たちに奉仕するという形で、お情けをもらっている。巷では、カスバートソン公爵令嬢は、タダで抱かせてくれるという噂が平民にまで広がっているらしい。
そうこうしているうちに、男たちから変な病気をうつされた。スカーレットは、顔が溶け、カラダが溶け、最後は骨まで溶けてしまって、亡くなってしまったが、死ぬ間際まで、ジェニファーに対する謝罪の言葉はなかったという。
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