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子爵令嬢アーシャ
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「子爵令嬢アーシャ、そなたと今日、この日この場をもって婚約破棄とする。」
わたくしの婚約者フレディ侯爵様の腕には、伯爵令嬢のリリアンヌがぶら下がっている。
「なぜでございますか?」
「ふん。知れたことよ。貴様より上位貴族のリリアンヌ様が、婚約してもいいと仰ってくださったからな。身分の低い貴様とは違い、持参金もたくさんある。迷うほうがおかしいだろ。」
結局、金目当てか。
それならアーシャには、未練はない。
「では、そちらの瑕疵ということで違約金のお支払い、よろしく。」と言ってお別れしました。
それにしても悔しい。身分が何だって言うのよ。今はたしかに伯爵令嬢だけど、リリアンヌ様は、ついこの間まで平民暮らしだったじゃない。伯爵さまの庶子ということで、引き取られたそうだけど…。ま、いっか。
神様はきっと見てくださっている。だから気にしない。
さてと、少し教会へ寄って、お祈りしてから帰ろう。
教会の前を通ったら、重症患者がいるようだった。神官たちが右往左往している。
「だめだ。誰か回復魔法の使い手はまだか?」
「隣町へ行ったまま、まだ戻ってきません。」
話し声が聞こえるが、アーシャには関係ないこと。
とにかくお祈りだけして、帰ろうとしたら、声をかけられた。
「あのぉ…ひょっとして、聖女様ですか?」
「え?違いますけど、なぜですか?そんなこと言われたことないですよ。」
「いえ、さっきあなたが拝んでいるとき、まわりの空気が澄みました。」
「は?なんですかそれ?」
「いえ、わたくしどもは、いつもたくさんの信者様が拝んでおられるのを拝見しているだけですから、空気が澄む人というのは、初めて見ました。それでひょっとしたら?と思いまして声をかけさせていただきました。」
「はぁ、いやいや気のせいですよ。」
「とにかく違っていてもいいですから、一度聖女認定の儀式をしてみましょうか?」
「いえ。先を急ぎますから、今日はこれで。」と言っているにもかかわらず、手を引かれて水晶の前に立たされた。
「ここに手をかざすだけでいいですから。これだけやってお帰りいただけます。」
「えー!痛くないですか?」
「大丈夫です。その前に深呼吸しましょうか?落ち着きますよ。」
言われた通り、深呼吸してから水晶に手をかざすと、信じられないぐらいの光が出た。
「おお!まさしく聖女様の光だ。」
それからというもの、あれよあれよという間に聖女に祀り上げられて、フレディ侯爵様からの違約金も支払われていない!
文句を言いにフレディのところへ出かけたら、手のひらを返されたような笑顔、
「これはこれは、聖女様よくお越しいただきました。え?婚約破棄の違約金?何のことやら、さっぱり?ですわ。」
あ!しらばっくれる気だ。ムカついたので、王家に怒鳴り込んだら、あっさり支払ってくれたけど、婚約破棄の破棄をしたいそうだ。
上位貴族の伯爵令嬢様はどうしたのよ?リリアンヌ様とは、婚約しないんだって、なんでも伯爵様がリリアンヌのために持参金を出すのを渋ったらしい。そんなこと、こっちは知らないわよ。
「わたくしは、フレディ侯爵様が婚約を破棄してくださったおかげで、聖女になれましたのよ。それを今さら戻ってこいとは、片腹痛いですわ。ほっほっほっ。」
きっちりもらえるものは、もらいますわよ。とにらみを利かせて帰宅した。
その後、王家からも婚約の打診が来たけど、みんなお断りよ。
でもね、ある日、魔物と戦っていらっしゃるお姿を拝見したのよ。
一応、聖女になったじゃない。それで結界をどうとかこうとか、言われて渋々、境界線まで行ったら、超カッコイイ男性を見つけましたのよ。わたくし好みのガタイの良さ、すてき~と思っていたら、なんと王子様だったのよ。
それで、その王子様に愛の告白をしたら、OKになっちゃって♡えへへ。
王子様と結婚決まっちゃいました。おしまい
わたくしの婚約者フレディ侯爵様の腕には、伯爵令嬢のリリアンヌがぶら下がっている。
「なぜでございますか?」
「ふん。知れたことよ。貴様より上位貴族のリリアンヌ様が、婚約してもいいと仰ってくださったからな。身分の低い貴様とは違い、持参金もたくさんある。迷うほうがおかしいだろ。」
結局、金目当てか。
それならアーシャには、未練はない。
「では、そちらの瑕疵ということで違約金のお支払い、よろしく。」と言ってお別れしました。
それにしても悔しい。身分が何だって言うのよ。今はたしかに伯爵令嬢だけど、リリアンヌ様は、ついこの間まで平民暮らしだったじゃない。伯爵さまの庶子ということで、引き取られたそうだけど…。ま、いっか。
神様はきっと見てくださっている。だから気にしない。
さてと、少し教会へ寄って、お祈りしてから帰ろう。
教会の前を通ったら、重症患者がいるようだった。神官たちが右往左往している。
「だめだ。誰か回復魔法の使い手はまだか?」
「隣町へ行ったまま、まだ戻ってきません。」
話し声が聞こえるが、アーシャには関係ないこと。
とにかくお祈りだけして、帰ろうとしたら、声をかけられた。
「あのぉ…ひょっとして、聖女様ですか?」
「え?違いますけど、なぜですか?そんなこと言われたことないですよ。」
「いえ、さっきあなたが拝んでいるとき、まわりの空気が澄みました。」
「は?なんですかそれ?」
「いえ、わたくしどもは、いつもたくさんの信者様が拝んでおられるのを拝見しているだけですから、空気が澄む人というのは、初めて見ました。それでひょっとしたら?と思いまして声をかけさせていただきました。」
「はぁ、いやいや気のせいですよ。」
「とにかく違っていてもいいですから、一度聖女認定の儀式をしてみましょうか?」
「いえ。先を急ぎますから、今日はこれで。」と言っているにもかかわらず、手を引かれて水晶の前に立たされた。
「ここに手をかざすだけでいいですから。これだけやってお帰りいただけます。」
「えー!痛くないですか?」
「大丈夫です。その前に深呼吸しましょうか?落ち着きますよ。」
言われた通り、深呼吸してから水晶に手をかざすと、信じられないぐらいの光が出た。
「おお!まさしく聖女様の光だ。」
それからというもの、あれよあれよという間に聖女に祀り上げられて、フレディ侯爵様からの違約金も支払われていない!
文句を言いにフレディのところへ出かけたら、手のひらを返されたような笑顔、
「これはこれは、聖女様よくお越しいただきました。え?婚約破棄の違約金?何のことやら、さっぱり?ですわ。」
あ!しらばっくれる気だ。ムカついたので、王家に怒鳴り込んだら、あっさり支払ってくれたけど、婚約破棄の破棄をしたいそうだ。
上位貴族の伯爵令嬢様はどうしたのよ?リリアンヌ様とは、婚約しないんだって、なんでも伯爵様がリリアンヌのために持参金を出すのを渋ったらしい。そんなこと、こっちは知らないわよ。
「わたくしは、フレディ侯爵様が婚約を破棄してくださったおかげで、聖女になれましたのよ。それを今さら戻ってこいとは、片腹痛いですわ。ほっほっほっ。」
きっちりもらえるものは、もらいますわよ。とにらみを利かせて帰宅した。
その後、王家からも婚約の打診が来たけど、みんなお断りよ。
でもね、ある日、魔物と戦っていらっしゃるお姿を拝見したのよ。
一応、聖女になったじゃない。それで結界をどうとかこうとか、言われて渋々、境界線まで行ったら、超カッコイイ男性を見つけましたのよ。わたくし好みのガタイの良さ、すてき~と思っていたら、なんと王子様だったのよ。
それで、その王子様に愛の告白をしたら、OKになっちゃって♡えへへ。
王子様と結婚決まっちゃいました。おしまい
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