契約婚から玉の輿婚~前世喪女が朝チュン

青の雀

文字の大きさ
5 / 15

5

しおりを挟む
 俺ことバトラー・アルキメデスが契約期間を2年と定めたことには訳があった。

 1年では懐妊できないかもしれないが、2年もあれば、毎晩すれば、いずれ時間の問題で懐妊すると思っていたのだが……。

 それにバーバラは覚えていないだろうが、あの夜、バーバラは俺に「責任を取れ」と言ったのに、結婚以来、ずっと初夜を拒み続けている。

 実際、面と向かって断られていない分だけまだマシなのだろうか?

 白い結婚狙いか……?白い結婚で俺と離婚して、金貨10万枚を手に入れ、その後はもっと自由な人生を送るというわけか?

 金のことは、やはり言わなければよかったのかもしれない。でもあの時は、そうでも言わないと結婚してもらえなかったから。

 でも閨事以外の王妃としての仕事は完璧にこなす。

 だから文句のつけようがない。はた目からは俺を立て、仲睦まじい姿を演じてくれる。

 なぜこんなことになってしまったのだろう。初夜の時、妻の部屋へ行こうとしたら中から施錠されていた。

 結婚式の夜から、一度も妻の部屋へ行けずにいる。

 後宮へ行くといつも必ず、従姉弟の王女が出迎え……俺はあいつの顔を見るだけで萎えてしまう。

 それに幼い時に会った従姉弟とは面影が全然違うのだ。似ても似つかないと言うのは、このこと。髪の色も目の色が全然違う。

 幼い時の記憶では、紺色の髪に紺色の目だったはずなのに、今、目の前にいる女は叔父と同じブラウン髪とブラウン眼だ。

 だからこの女を俺は、ニセモノだと疑っている。

 叔父は戦争で負けて、自分の首を差し出す代わりに娘のニセモノを仕立て上げ、この女を妻にするよう求めてきたのだが、妻は却下、それならば人質か性奴隷にでも、といわれ渋々承諾したのだ。

 もし、ホンモノの従姉弟だったとしても、俺には近親相姦の趣味はない。コイツが来たとき、家臣に下賜するつもりでいたが、そうなると後宮の維持がままならず仕方なく女官として後宮に住まわせているだけ。

 それなのに、後宮へ行けば必ずこの女が出張ってくる。鬱陶しい。俺は妻を抱きたいだけなのに。妻の部屋へ案内されず、いつもお茶を飲み帰るだけ。

 一度、強く妻への面会をしたけども、それも無視と言うか?

 「王妃殿下は風邪で臥せっておられます。」

 昼間、公務で出会ったときは元気だったのに……。つまり閨は俺と共にしたくないという意思表示だと思い込んでいた。

 もう残すところ、後3か月しかないではないか!

 このまま何もせず、ただ金貨100000枚支払って、終わりにするつもりなどない!

 金貨は全額耳をそろえて支払うが、その前に今度の視察旅行に王妃の同行を命令する。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

良くある事でしょう。

r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。 若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。 けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。

やさしい・悪役令嬢

きぬがやあきら
恋愛
「そのようなところに立っていると、ずぶ濡れになりますわよ」 と、親切に忠告してあげただけだった。 それなのに、ずぶ濡れになったマリアナに”嫌がらせを指示した張本人はオデットだ”と、誤解を受ける。 友人もなく、気の毒な転入生を気にかけただけなのに。 あろうことか、オデットの婚約者ルシアンにまで言いつけられる始末だ。 美貌に、教養、権力、果ては将来の王太子妃の座まで持ち、何不自由なく育った箱入り娘のオデットと、庶民上がりのたくましい子爵令嬢マリアナの、静かな戦いの火蓋が切って落とされた。

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。 ※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。

悪役令嬢は名女優 〜そんな小芝居で私を断罪できるとでも?〜

本見りん
恋愛
 元女優のこの私は、婚約者の王子の三文芝居に我慢が出来なくてよ!  いきなり始まった婚約破棄劇の真っ最中に蘇った前世の記憶。  『婚約破棄』? 『私がそこの令嬢をいじめた』? ……何を言っているのかしら? そんな三流の小芝居でこの私を陥れようだなんて! 前世名女優と呼ばれたこの私が本物の演技というものを見せて差し上げますわ!  王宮でのパーティーでいきなり『婚約破棄』を言い出した婚約者のファビアン王子に、前世は大女優だった侯爵令嬢セシリアが演技で反撃させていただきます!   『小説家になろう』様にも投稿しています。

処理中です...