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亡霊
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二、三回、寝返りを打つ。
怠く休息を欲している身体と正反対に、目は冴えてしまっていた。
観念して重い瞼を上げが、頭がぼんやりとしている。
私は風邪でも引いて、寝込んででもいたのだろうか?
「イオリス様。おはようございます」
いつものように、コニ―の優しい微笑がそこにはあった。
それに、働かない頭を無視して私は微笑む。
「おはよう。コニ―」
挨拶を返し重い身体を上げようとすると、すかさずコニ―が背に腕を回して介助をさりげなくする。
背に複数クッションを差し入れ、楽に座れるように整えてくれた。
従者としては当たり前だが、いつもそれが有難く思う。
「ありがとう」
心のままに礼を言えば、コニ―の大きな目はきらきらと輝いた。
いつもは大人顔負けのコニ―だが、実際は成人に満たない子供の嬉しそうな顔は、いつみても心が温まる。
だが、明るくなった顔はすぐに暗くなり、心配そうなものへと変わった。
「一日中、熱を出して意識がなかったので、コニ―は心配いたしました。お身体は、大丈夫でしょうか?」
目に涙を溜めながら「違和感があるところや、痛いところなどございませんか?」とコニ―は、続けて質問をしてくる。
「コニ―。私は、大丈夫だ」
一日中寝込んでいた事に驚きつつ、小さな頭を落ち着かせるように撫ぜた。
するとコニ―は、落ち着かせるように深呼吸をして、照れたように微笑んだ。
そんな、穏やかな空気が流れはじめたそんな時だった。
来訪を知らせもせずに、私の寝室の扉が開く。
そして現れた黒に、私の身体はすくみ上った。
「イオリス。具合はどうだ?」
「わっ―――イオリス様?」
近づいてくる黒――――ヴィルヘルム王に急激な恐怖が湧き上がり、咄嗟にコニ―の腕に抱き付く。
コニ―は戸惑ったような気遣うような表情でこちらを伺ってくるが、唇が震え答えることはできない。
頭の中が、いまだに働かない。
何故、ヴィルヘルム王に私は恐怖するのか、思い出せそうで思い出せなかった。
いや。思い出せる寸前で両頬を大きな冷たい手に包まれ、思考が散漫した。
いつの間にか、コニ―はヴィルヘルム王の後ろへと控えている。
ヴィルヘルム王の問い掛けを無視した挙句、挨拶もしなかった不敬を咎めるにしては優しい手付きだ。
「まだ、熱があるな」
戸惑っている私に気付いていないのか、そんなことを言って、ヴィルヘルム王は男らしく整った眉を寄せた。
「今日の午後、正装をして国民達に挨拶はできるか?」
「そんな! まだイオリス様は、復調しておりません!!」
「こ、コニ―……」
私に尋ねてきたヴィルヘルム王に、大声で抗議をしたコニ―に背筋が凍った。
『不敬罪』という言葉が脳裏を過り、震える声で尚も積めようとしていたコニ―を黙らせた。
「あの。私は、大丈夫です。ヴィルヘルム陛下。先ほどコニ―の不敬、お詫び申し上げます」
「顔色が悪いが…………すまない。ロザリアが政を前王とするのは大変だと五月蠅い」
国が負けた折り、健在の前王に国を任せ、私の国へこうしてやってきたヴィルヘルム王。
代わりをこちらに向かわせれば、良かったのにもかかわらず、何故このようなことをと疑問に思っていた。
よほど気性が荒く、戦好きなのかと思っていたが、私に対する態度は優しい。
気遣ってくる優しさや『すまない』と謝ってくることに戸惑いつつ、まだ熱があるらしい頭で、ヴィルヘルム王の言葉に取っ掛かりを覚えた。
『ロザリアが政を』などと言っていなかっただろうか。
「――――ロザリア……様?」
「私の妹だ。母の腹からほぼ同時に産まれたはずなのだが、前王の扱いに相当、手間取っているらしい」
兄王に牢屋へ閉じ込められ伸び髪を手で遊ばれ、私はヴィルヘルム王の態度に戸惑いを隠せない。
「イオリス様。僕はまだ生まれていませんでしたが、確かロザリア様は二度ほどこの城へ来訪されましたよね?」
「あ、ああ」
敗北した国の代表である私が、ヴィルヘルム王に異議を申し立てることはできない。
異変に気づいていないらしいコニ―に問われ、相槌を打つことしかできなかった。
だが、それよりもヴィルヘルム王の妹ロザリア様が気になる。
この城に訪れたロザリア様と運命の女性の名前が、偶然同じで別人とは思えない。
ロザリア様のことを聞こうとしたが、髪を手櫛で梳かれて私をじっと見下ろしてくる赤の瞳に、優しく居た堪れなくなって少し開いた口を閉ざす。
汗を掻き、あまり清潔だとは言えない髪を何故?
座り心地が悪く身動ぎすると、ヴィルヘルム王が驚くことを口にした。
「国へ帰り次第、お前と婚姻を結ぶ」
「ヴィルヘルム陛下。国と国の結婚になります。ましてや、アイリス様の国です。準備に一年は掛るでしょう」
咎めるようなコニ―に、ヴィルヘルム王は不快に思わないのか「わかっている」と口端を上げて見せた。
他人事のようにその光景を見ていながら、私のぼんやりとした頭の中は『婚姻』という文字で埋め尽くされた。
ヴィルヘルム王と誰が婚姻を?
『お前と婚姻を結ぶ』と言っていた。
『お前』と私を見詰め、ヴィルヘルム王は言った。
――――私は、ヴィルヘルム王と婚姻するのか……?
運命の女性の兄と?
「そんな……」
小さな私の呟きは、扉を叩く訪問を知らせる音に掻き消された。
ヴィルヘルム王が頷き、コニ―が扉を開け取り次ぐ。
「ヴィルヘルム陛下。近衛長がお呼びです」
「ああ。そういえば、五月蠅いのはロザリアだけではなかったな」
肩を竦めさせたヴィルヘルム王は、コニ―から私へ視線を向ける。
「午後、挨拶を頼む。それまで、安静にしていろ」
惚れ惚れするほどの男らしい整った相貌が近づいたと思えば、私の唇に柔らかく暖かなものが当たった。
離れていくヴィルヘルム王の顔を追う。
私の髪に差し入れられた手は、丁寧に毛先まで滑らせた。
さらっと音をさせ、自身の髪が肩に落ちた頃には、ヴィルヘルム王は踵を返して歩きだしていた。
ヴィルヘルム王の背が扉で見えなくなり、数分経って、放心状態から戻る。
私の変化に気付いたコニ―が、心配そうにこちらを見詰めているので、安心させようと笑おうとしたが失敗に終わった。
『………はやく』
媚びる自身の声が、脳内に響き両耳を塞ぐ。
これは――――。
『……ひゃぁ、あ、あッ…………』
思い出した。
何故、忘れていたのだろう。
――――私とヴィルヘルム王は…………。
ガタガタと震え出した身体を抱きしめる。
「いかがなさいましたか!?」
「コニー」
慌てて扉から駆け出して来て、私を寝かそうとしたコニーの腕を握る。
「っ、イオリス様!?」
痛みに目を細めたコニ―へ手加減できない。
「ぁ、ああ。コニ―、わた、わたしは…………なんてことを…………」
細い腕から外し、異常に震えるその両手で自身の腹を触れた。
ここに――――。
「はらに…………何度も……………………そんな、こと――――」
運命の女性がいるのに。
本能のまま浅ましく脚を広げ、何度も何度もヴィルヘルム王を受け入れてしまった。
絶望の淵に立たされた者は、最終涙が出ないのかもしれない。
「イオリス様…………」
労わるような表情のコニ―にそっと抱きしめられ、私は情けなく身を縮め震えることしかできなかった。
怠く休息を欲している身体と正反対に、目は冴えてしまっていた。
観念して重い瞼を上げが、頭がぼんやりとしている。
私は風邪でも引いて、寝込んででもいたのだろうか?
「イオリス様。おはようございます」
いつものように、コニ―の優しい微笑がそこにはあった。
それに、働かない頭を無視して私は微笑む。
「おはよう。コニ―」
挨拶を返し重い身体を上げようとすると、すかさずコニ―が背に腕を回して介助をさりげなくする。
背に複数クッションを差し入れ、楽に座れるように整えてくれた。
従者としては当たり前だが、いつもそれが有難く思う。
「ありがとう」
心のままに礼を言えば、コニ―の大きな目はきらきらと輝いた。
いつもは大人顔負けのコニ―だが、実際は成人に満たない子供の嬉しそうな顔は、いつみても心が温まる。
だが、明るくなった顔はすぐに暗くなり、心配そうなものへと変わった。
「一日中、熱を出して意識がなかったので、コニ―は心配いたしました。お身体は、大丈夫でしょうか?」
目に涙を溜めながら「違和感があるところや、痛いところなどございませんか?」とコニ―は、続けて質問をしてくる。
「コニ―。私は、大丈夫だ」
一日中寝込んでいた事に驚きつつ、小さな頭を落ち着かせるように撫ぜた。
するとコニ―は、落ち着かせるように深呼吸をして、照れたように微笑んだ。
そんな、穏やかな空気が流れはじめたそんな時だった。
来訪を知らせもせずに、私の寝室の扉が開く。
そして現れた黒に、私の身体はすくみ上った。
「イオリス。具合はどうだ?」
「わっ―――イオリス様?」
近づいてくる黒――――ヴィルヘルム王に急激な恐怖が湧き上がり、咄嗟にコニ―の腕に抱き付く。
コニ―は戸惑ったような気遣うような表情でこちらを伺ってくるが、唇が震え答えることはできない。
頭の中が、いまだに働かない。
何故、ヴィルヘルム王に私は恐怖するのか、思い出せそうで思い出せなかった。
いや。思い出せる寸前で両頬を大きな冷たい手に包まれ、思考が散漫した。
いつの間にか、コニ―はヴィルヘルム王の後ろへと控えている。
ヴィルヘルム王の問い掛けを無視した挙句、挨拶もしなかった不敬を咎めるにしては優しい手付きだ。
「まだ、熱があるな」
戸惑っている私に気付いていないのか、そんなことを言って、ヴィルヘルム王は男らしく整った眉を寄せた。
「今日の午後、正装をして国民達に挨拶はできるか?」
「そんな! まだイオリス様は、復調しておりません!!」
「こ、コニ―……」
私に尋ねてきたヴィルヘルム王に、大声で抗議をしたコニ―に背筋が凍った。
『不敬罪』という言葉が脳裏を過り、震える声で尚も積めようとしていたコニ―を黙らせた。
「あの。私は、大丈夫です。ヴィルヘルム陛下。先ほどコニ―の不敬、お詫び申し上げます」
「顔色が悪いが…………すまない。ロザリアが政を前王とするのは大変だと五月蠅い」
国が負けた折り、健在の前王に国を任せ、私の国へこうしてやってきたヴィルヘルム王。
代わりをこちらに向かわせれば、良かったのにもかかわらず、何故このようなことをと疑問に思っていた。
よほど気性が荒く、戦好きなのかと思っていたが、私に対する態度は優しい。
気遣ってくる優しさや『すまない』と謝ってくることに戸惑いつつ、まだ熱があるらしい頭で、ヴィルヘルム王の言葉に取っ掛かりを覚えた。
『ロザリアが政を』などと言っていなかっただろうか。
「――――ロザリア……様?」
「私の妹だ。母の腹からほぼ同時に産まれたはずなのだが、前王の扱いに相当、手間取っているらしい」
兄王に牢屋へ閉じ込められ伸び髪を手で遊ばれ、私はヴィルヘルム王の態度に戸惑いを隠せない。
「イオリス様。僕はまだ生まれていませんでしたが、確かロザリア様は二度ほどこの城へ来訪されましたよね?」
「あ、ああ」
敗北した国の代表である私が、ヴィルヘルム王に異議を申し立てることはできない。
異変に気づいていないらしいコニ―に問われ、相槌を打つことしかできなかった。
だが、それよりもヴィルヘルム王の妹ロザリア様が気になる。
この城に訪れたロザリア様と運命の女性の名前が、偶然同じで別人とは思えない。
ロザリア様のことを聞こうとしたが、髪を手櫛で梳かれて私をじっと見下ろしてくる赤の瞳に、優しく居た堪れなくなって少し開いた口を閉ざす。
汗を掻き、あまり清潔だとは言えない髪を何故?
座り心地が悪く身動ぎすると、ヴィルヘルム王が驚くことを口にした。
「国へ帰り次第、お前と婚姻を結ぶ」
「ヴィルヘルム陛下。国と国の結婚になります。ましてや、アイリス様の国です。準備に一年は掛るでしょう」
咎めるようなコニ―に、ヴィルヘルム王は不快に思わないのか「わかっている」と口端を上げて見せた。
他人事のようにその光景を見ていながら、私のぼんやりとした頭の中は『婚姻』という文字で埋め尽くされた。
ヴィルヘルム王と誰が婚姻を?
『お前と婚姻を結ぶ』と言っていた。
『お前』と私を見詰め、ヴィルヘルム王は言った。
――――私は、ヴィルヘルム王と婚姻するのか……?
運命の女性の兄と?
「そんな……」
小さな私の呟きは、扉を叩く訪問を知らせる音に掻き消された。
ヴィルヘルム王が頷き、コニ―が扉を開け取り次ぐ。
「ヴィルヘルム陛下。近衛長がお呼びです」
「ああ。そういえば、五月蠅いのはロザリアだけではなかったな」
肩を竦めさせたヴィルヘルム王は、コニ―から私へ視線を向ける。
「午後、挨拶を頼む。それまで、安静にしていろ」
惚れ惚れするほどの男らしい整った相貌が近づいたと思えば、私の唇に柔らかく暖かなものが当たった。
離れていくヴィルヘルム王の顔を追う。
私の髪に差し入れられた手は、丁寧に毛先まで滑らせた。
さらっと音をさせ、自身の髪が肩に落ちた頃には、ヴィルヘルム王は踵を返して歩きだしていた。
ヴィルヘルム王の背が扉で見えなくなり、数分経って、放心状態から戻る。
私の変化に気付いたコニ―が、心配そうにこちらを見詰めているので、安心させようと笑おうとしたが失敗に終わった。
『………はやく』
媚びる自身の声が、脳内に響き両耳を塞ぐ。
これは――――。
『……ひゃぁ、あ、あッ…………』
思い出した。
何故、忘れていたのだろう。
――――私とヴィルヘルム王は…………。
ガタガタと震え出した身体を抱きしめる。
「いかがなさいましたか!?」
「コニー」
慌てて扉から駆け出して来て、私を寝かそうとしたコニーの腕を握る。
「っ、イオリス様!?」
痛みに目を細めたコニ―へ手加減できない。
「ぁ、ああ。コニ―、わた、わたしは…………なんてことを…………」
細い腕から外し、異常に震えるその両手で自身の腹を触れた。
ここに――――。
「はらに…………何度も……………………そんな、こと――――」
運命の女性がいるのに。
本能のまま浅ましく脚を広げ、何度も何度もヴィルヘルム王を受け入れてしまった。
絶望の淵に立たされた者は、最終涙が出ないのかもしれない。
「イオリス様…………」
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