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第1章 異世界スローライフ
異世界生活 1
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「………なにもない。ゲームが出来ない。やる気が出ない」
気だるい気分で青々と草が生い茂る大地に寝転がる。
今の自分の状況は女神と名乗った女性が関係する。
女神が青の命を奪った。なんの前触れもなく女神のミスで死んだ。
怒りの感情を抱くが、すでに異世界の大地へ召喚された身では女神に文句さえ言えない。
「どうするかな。………あーなんか俺に?チート能力を授けます!とか女神が言ってたけど」
あの女神は青の話を一切聞かず、説明もなく異世界へ送った。
だから、渡された能力は使えるのだろうか?と少し不安になる。
「能力か。身体の変化とか違和感はないな」
はて?自分の身体は女神から能力を授けられたはずだが。と思いその場で立ち上がると、
カシャーン。
立ち上がった直後、青の着ていた黒のジャージズボンのポケットから、物が足元へ滑り落ちた。
「スマホ?これ俺のスマホだ。………女神がポケットに入れてくれたのか」
自分の足元に落ちた物を見れば、馴染み深い自身のスマホだった。
年の離れた妹から押し付けられたキモカワ(普通に気持ち悪い)ウサギのストラップがスマホにぶら下がっていたので、自分のだと気付いた。
「嬉しい。スマホは嬉しい贈り物だ」
スマホを自分と一緒に送り届けてくれた女神に感謝する。
スマホがない異世界とある異世界では格段に、これからの生活基準が変わる。
「検索機能が使えたら異世界での暮らしも大丈夫だ。畑の肥料、薬草、キノコ、サバイバルとかの知識が気軽に検索可能だから」
かなりの知識がスマホの検索機能にはある。それこそ専門家やプロなどが作ったブログなどが存在するため多種多様な知識が手に入る。
「………使えるよな?まさかスマホだけ渡したんじゃないよな。それただの箱だぞ」
電源が入らないスマホなど箱だと思う青。
だが、あの女神なら充電がない状態で渡すのではと考える。
「とりあえず電源を入れるか」
しばらく考え、スマホの電源を入れる決意をした青は電源ボタンを押す。
『起動を確認しました。スマホを起動します』
ウィーン
『使用者、青様を確認いたしました。お使いになるスマホはスキャニングを完了したご本人以外の使用は不可です。他者への貸し出しは使用者の許可が必要ですのでご了承ください。それでは快適なスマホ異世界ライフをお送りくださいませ』
起動したスマホが丁寧な日本語を喋った。
耳に心地よい女性の声でスマホの状況を説明してくれたが、まったく内容が頭へ入らない。
「スマホが壊れた!?」
電源は入ったが通常のスマホはここまで的確な説明はしない。
質問した内容を設定されたパターンから読み取り、決められた回答をするだけだ。
スマホから流れる女性の声も淡白で、青のスマホから聞こえた声はその場で女性が耳元で話しているように聞こえた。
『破損はなし。通常の機能を維持しておりますのでご安心をマスター』
「マスターってまさか俺のことじゃないよな」
スマホから聞こえる女性の声が、自分をマスターと呼んでいる気がして話しかける。
『我がマスターは青様ただお一人です。女神様より青様の全面サポートをするよう使命を授かりました。末長く宜しくお願い致します』
「………マジか」
『マジでございます』
青の呟きにも言葉を返す有能スマホ。
「………俺のチート能力は?」
自分が持っていたスマホは、バージョンアップして機能が上昇しただけだと色々な感情を抑え納得させる。
せめて青は女神が自身へ授けた能力に期待する。チートは不要と言ったが、未知の力にやはり興奮を抱く。
女神が送った世界はファンタジーの世界。魔法の概念が存在する世界だ。
(俺を送るとき魔法使ってたし。魔法は男のロマンだ)
だから青が扱える能力は魔法ではないかと推測する。
『マスターが授けられし能力は我でございます。女神様の祝福が詰め込まれた最強スマホがマスターのお力です』
ん?聞き間違いかと思う。自分が女神に渡された力がスマホなわけがないと。
「女神の不注意で殺された俺だぞ?まさかスマホが俺の能力なわけないだろ」
『スマホである我がマスターの能力です』
「………俺自身の能力じゃない。スマホ単体の力じゃねぇかよ」
あんまりな事実に愕然とする。
「俺個人が魔法を使うのは可能ですか?」
動揺して意識を失いそうになるが、最後の気力を振り絞って一番聞きたいことをスマホに聞く。
『不可です。マスターは別世界の住人。それも魔法の概念が存在しない世界出身ですから、初級魔法も発動出来ません』
無慈悲に聞きたくない真実を喋るスマホに、青は倒れた。
「オワタ。俺の魔導師育成計画が終わった」
RPGゲームに出てくる魔導師の育成方法を自分の身で試せないと分かり、異世界で生活するやる気が瞬く間に消えた青は眠り始めた。
寝息を立てるマスターに最強のスマホは青の周りに危険がないかを調べ、もしものために結界も展開する。
ふて寝から爆睡してしまったマスターを甲斐甲斐しく見守るスマホは、急接近する馬車を感知するまで青を寝かせていたのだった。
気だるい気分で青々と草が生い茂る大地に寝転がる。
今の自分の状況は女神と名乗った女性が関係する。
女神が青の命を奪った。なんの前触れもなく女神のミスで死んだ。
怒りの感情を抱くが、すでに異世界の大地へ召喚された身では女神に文句さえ言えない。
「どうするかな。………あーなんか俺に?チート能力を授けます!とか女神が言ってたけど」
あの女神は青の話を一切聞かず、説明もなく異世界へ送った。
だから、渡された能力は使えるのだろうか?と少し不安になる。
「能力か。身体の変化とか違和感はないな」
はて?自分の身体は女神から能力を授けられたはずだが。と思いその場で立ち上がると、
カシャーン。
立ち上がった直後、青の着ていた黒のジャージズボンのポケットから、物が足元へ滑り落ちた。
「スマホ?これ俺のスマホだ。………女神がポケットに入れてくれたのか」
自分の足元に落ちた物を見れば、馴染み深い自身のスマホだった。
年の離れた妹から押し付けられたキモカワ(普通に気持ち悪い)ウサギのストラップがスマホにぶら下がっていたので、自分のだと気付いた。
「嬉しい。スマホは嬉しい贈り物だ」
スマホを自分と一緒に送り届けてくれた女神に感謝する。
スマホがない異世界とある異世界では格段に、これからの生活基準が変わる。
「検索機能が使えたら異世界での暮らしも大丈夫だ。畑の肥料、薬草、キノコ、サバイバルとかの知識が気軽に検索可能だから」
かなりの知識がスマホの検索機能にはある。それこそ専門家やプロなどが作ったブログなどが存在するため多種多様な知識が手に入る。
「………使えるよな?まさかスマホだけ渡したんじゃないよな。それただの箱だぞ」
電源が入らないスマホなど箱だと思う青。
だが、あの女神なら充電がない状態で渡すのではと考える。
「とりあえず電源を入れるか」
しばらく考え、スマホの電源を入れる決意をした青は電源ボタンを押す。
『起動を確認しました。スマホを起動します』
ウィーン
『使用者、青様を確認いたしました。お使いになるスマホはスキャニングを完了したご本人以外の使用は不可です。他者への貸し出しは使用者の許可が必要ですのでご了承ください。それでは快適なスマホ異世界ライフをお送りくださいませ』
起動したスマホが丁寧な日本語を喋った。
耳に心地よい女性の声でスマホの状況を説明してくれたが、まったく内容が頭へ入らない。
「スマホが壊れた!?」
電源は入ったが通常のスマホはここまで的確な説明はしない。
質問した内容を設定されたパターンから読み取り、決められた回答をするだけだ。
スマホから流れる女性の声も淡白で、青のスマホから聞こえた声はその場で女性が耳元で話しているように聞こえた。
『破損はなし。通常の機能を維持しておりますのでご安心をマスター』
「マスターってまさか俺のことじゃないよな」
スマホから聞こえる女性の声が、自分をマスターと呼んでいる気がして話しかける。
『我がマスターは青様ただお一人です。女神様より青様の全面サポートをするよう使命を授かりました。末長く宜しくお願い致します』
「………マジか」
『マジでございます』
青の呟きにも言葉を返す有能スマホ。
「………俺のチート能力は?」
自分が持っていたスマホは、バージョンアップして機能が上昇しただけだと色々な感情を抑え納得させる。
せめて青は女神が自身へ授けた能力に期待する。チートは不要と言ったが、未知の力にやはり興奮を抱く。
女神が送った世界はファンタジーの世界。魔法の概念が存在する世界だ。
(俺を送るとき魔法使ってたし。魔法は男のロマンだ)
だから青が扱える能力は魔法ではないかと推測する。
『マスターが授けられし能力は我でございます。女神様の祝福が詰め込まれた最強スマホがマスターのお力です』
ん?聞き間違いかと思う。自分が女神に渡された力がスマホなわけがないと。
「女神の不注意で殺された俺だぞ?まさかスマホが俺の能力なわけないだろ」
『スマホである我がマスターの能力です』
「………俺自身の能力じゃない。スマホ単体の力じゃねぇかよ」
あんまりな事実に愕然とする。
「俺個人が魔法を使うのは可能ですか?」
動揺して意識を失いそうになるが、最後の気力を振り絞って一番聞きたいことをスマホに聞く。
『不可です。マスターは別世界の住人。それも魔法の概念が存在しない世界出身ですから、初級魔法も発動出来ません』
無慈悲に聞きたくない真実を喋るスマホに、青は倒れた。
「オワタ。俺の魔導師育成計画が終わった」
RPGゲームに出てくる魔導師の育成方法を自分の身で試せないと分かり、異世界で生活するやる気が瞬く間に消えた青は眠り始めた。
寝息を立てるマスターに最強のスマホは青の周りに危険がないかを調べ、もしものために結界も展開する。
ふて寝から爆睡してしまったマスターを甲斐甲斐しく見守るスマホは、急接近する馬車を感知するまで青を寝かせていたのだった。
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