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1.お姉様と国王暗殺未遂事件

13.脱出

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 俺の考えた妙案。それは……

「グンジ叔父さんの家に忍び込んで暗殺未遂の黒幕である証拠を見つけよう!」

 俺はみんなの前で叫んだ。いい案だと思ったんだけど、爺やや双子の反応は鈍い。

「お姉さま、危険よ。それに、もしグンジ叔父さんが無罪だったら?」

 モアまで! どうしてだよ。

「大丈夫だよ、危険なことなんてないさ!」

 爺やが盛大なため息をつく。

「姫様、あなたがあれこれ首を突っ込むこと自体が無謀で危険なのです」

 なんでだよ!

「お疲れのようですので部屋に戻って休まれては?」

 みんながうんうんと頷く。何だよみんなして。なんでだよー!!





「……ておいこら! なんで閉じ込めるんだよ!!」

 自室のドアをドンドンと叩く。爺やの奴、俺が部屋に戻った隙にドアに板を張って開かないようにしやがった!

「なりませぬぞ姫様! 叔父上殿の城に忍び込もうなどと考えては! その件に関してはヒイロ殿とアオイ殿に頼みました故、姫様は黙って城にいてください!」

 城で黙ってろだあ!? んなことできるかっての!

「えーー! やだーー!!」

 しばらくして、部屋の外から気配がしなくなった。爺が他の用事か何かで外出したのだろう。

「ふん、爺やなんか知るもんか!」

 すう、と深呼吸をする。そして……

「せいやっ!」

 部屋の扉に向かって思い切り正拳突きした。
 威勢よく木の割る音。見るも無残に破壊されるドア。砕け散った板の隙間から、廊下の向こう側が見えた。

「よいしょっと。こんなん簡単だぜ」

 俺は扉に空いた穴に身をくぐらせ、部屋から難なく脱出することに成功した。

「さて、ここからどうやって城の外に出るか」

 渡り廊下の窓から外を見る。すると一台の馬車が今にも城の正門に向かって走り出そうとしていた。

「やべっ、あいつら、もう出発しようとしてやがる!」

 俺は窓を開けると、外へと飛び降りる。邪魔なドレスをたくしあげ、ひらりとそのまま一階の屋根に着地。そして屋根の上を全速力で走り抜けた。

 「でやっ!」

 勢いをつけて、馬車に向かってジャンプ。
 俺は握力も高いがジャンプ力もなかなかのものだ。風を切って空を飛ぶ俺。スカートがバタバタとはためく。
 エントランスの屋根から馬車の屋根へ、少しよろめきながらも無事着地を果たした。

だが――

「おのれ、なに奴!」

 馬車の中からブスリと刀の切先が顔を出す。俺はそれをひょい、とジャンプしてかす。あっぶねー!

「しくじったか」

 着地地点からすぐ先に、またもや刀が顔を出す。この声は、ヒイロ!?

「おわっ、ち、違う! 敵じゃない。俺だよ! 俺、俺!」

「俺俺言うやつは大抵詐欺師と相場が決まってる」

「違ーーう!」

 俺は必死で叫んだが、刀の嵐は止みそうにない。ついには板張りの馬車の天井は穴だらけになり、俺の体の重みで天井は崩れ落ちた。無様にも俺は馬車の中に転がり込んだ。

「貴様は……まさかミア姫?」

 俺に向けていた刀を下ろすヒイロ。まさかじゃねーだろ最初から知ってただろ!

 ヒイロはふん、とそっぽを向いた。


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