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明かされる真実
アナスタシアの狙い
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大広間では舞花達が去った後も余興が続いていた。舞花を最初に発見したウルロンは残念賞として千里眼になる魔法のお洒落眼鏡とどんなぼさぼさ頭もサラサラヘアになるシャンプー十本が贈られた。
その後は立食パーティーとなり、給仕人があっという間にテーブに作りたての料理を用意してゆく。フレッシュサラダから手の込んだ創作料理まで王宮の料理人達が腕によりをかけたものばかりだ。そんな和やかな雰囲気の立食パーティーの会場の一角で、アナスタシアは人々に囲まれていた。
「さすがはアナスタシア様特製の『恋に効く弓矢』です。あのガングニールズ将軍をも陥落させるとは」
「是非ともあれを私どもにも作ってもらえませんか??」
「惚れ薬とはまた違うのでしょう?すいぶんと効き目が長いですものね」
アナスタシアに次々と話しかける人々。皆、かつて舞花がガングニールズ将軍にアナスタシア特製の『恋に効く弓矢』を射たという噂話を知っている者達だ。彼らは惚れ薬より効果の長い『恋に効く弓矢』を手に入れようとアナスタシアに殺到していた。アナスタシアはその人々に会釈してから「残念ですが」と肩を竦めた。
「あれは本当に特別なものでして私もそうそうは作れないのですわ」
「そうなのですか……」
一様に残念がる人々、その一人一人にアナスタシアは申し訳ないと謝罪していく。ようやく人々が捌けところでナターニャは師匠のアナスタシアに声を掛けた。
「師匠。あの弓矢はただの弓矢でしたよね?」
一番弟子の鋭いツッコミにアナスタシアはピクリと表情を固め、それからチラッと舌を出しておどけて見せた。
「ナターニャにはばれちゃった?」
「当然です。師匠の術がかかっているにしては、あの二人の接近の仕方はぎこちなく奇妙でした。あれではまるで……」
ナターニャは初めて会った日からの二人の様子を思い返した。
お互いに何とも思っていないような態度とったり、近づいたと思えば拗れたり。そう、あの二人はまるで自然にお互い惹かれ合って恋に落ちたように見えた。アナスタシアの魔法の技術は高いとは言え、ナターニャはあんな効き方をする魔法は見たことが無かった。
「人の心を完全に操る魔法はないわ。生涯の伴侶ぐらい自分で判断して選ぶべきよ」
アナスタシアはクスッと笑う。
「それでただの弓矢にガングニールズ将軍に当たるようにだけ術をかけて舞花に渡したのですか? もしかして十年前の先見も?」
ナターニャの質問にアナスタシアは何も言わずに口の端を少し上げた。その反応を見て、ナターニャは自分の予想が当たっていることを確信した。
その後は立食パーティーとなり、給仕人があっという間にテーブに作りたての料理を用意してゆく。フレッシュサラダから手の込んだ創作料理まで王宮の料理人達が腕によりをかけたものばかりだ。そんな和やかな雰囲気の立食パーティーの会場の一角で、アナスタシアは人々に囲まれていた。
「さすがはアナスタシア様特製の『恋に効く弓矢』です。あのガングニールズ将軍をも陥落させるとは」
「是非ともあれを私どもにも作ってもらえませんか??」
「惚れ薬とはまた違うのでしょう?すいぶんと効き目が長いですものね」
アナスタシアに次々と話しかける人々。皆、かつて舞花がガングニールズ将軍にアナスタシア特製の『恋に効く弓矢』を射たという噂話を知っている者達だ。彼らは惚れ薬より効果の長い『恋に効く弓矢』を手に入れようとアナスタシアに殺到していた。アナスタシアはその人々に会釈してから「残念ですが」と肩を竦めた。
「あれは本当に特別なものでして私もそうそうは作れないのですわ」
「そうなのですか……」
一様に残念がる人々、その一人一人にアナスタシアは申し訳ないと謝罪していく。ようやく人々が捌けところでナターニャは師匠のアナスタシアに声を掛けた。
「師匠。あの弓矢はただの弓矢でしたよね?」
一番弟子の鋭いツッコミにアナスタシアはピクリと表情を固め、それからチラッと舌を出しておどけて見せた。
「ナターニャにはばれちゃった?」
「当然です。師匠の術がかかっているにしては、あの二人の接近の仕方はぎこちなく奇妙でした。あれではまるで……」
ナターニャは初めて会った日からの二人の様子を思い返した。
お互いに何とも思っていないような態度とったり、近づいたと思えば拗れたり。そう、あの二人はまるで自然にお互い惹かれ合って恋に落ちたように見えた。アナスタシアの魔法の技術は高いとは言え、ナターニャはあんな効き方をする魔法は見たことが無かった。
「人の心を完全に操る魔法はないわ。生涯の伴侶ぐらい自分で判断して選ぶべきよ」
アナスタシアはクスッと笑う。
「それでただの弓矢にガングニールズ将軍に当たるようにだけ術をかけて舞花に渡したのですか? もしかして十年前の先見も?」
ナターニャの質問にアナスタシアは何も言わずに口の端を少し上げた。その反応を見て、ナターニャは自分の予想が当たっていることを確信した。
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