【連載中】マーガレットの花言葉

華凛

文字の大きさ
6 / 25
【レンSide】マーガレットが結ぶ恋

#6 心に秘めた愛

しおりを挟む
嫌な予感は的中する。

次の日、トオルは花畑にいなかった。

何分待っても、何時間待っても、日が沈んでも、トオルは現れなかった。
いつもなら、朝早くに来て僕に会うなり初めて見た花の名前を聞いてくる。
(何かのトラブル……?)
そういえば、トオルがどうやってここに来ているのか、どこに住んでいるのかなんて聞いたことない。
考えてみれば、なぜ毎日ここに来ているのかもわからない。僕は不登校状態なのでいつもいるけれど。

──胸騒ぎがする。

辺りをきょろきょろと見回してみる。

「ねぇトオル……いるんでしょ……? 僕を騙そうと……出てきてよ……僕もう帰っちゃうよ……? トオル……どこにいるの……? 出てきて……僕の前に……出てきて……お願いだから…………………………!」

泣き叫ぶようにして懇願する。
その時、はらりと僕の頭に紙切れが落ちてくる。
(木から落ちてきたのかな……?)
四つ折りにされた小さな紙を開く。
「……!」



レンへ

一年前、この花畑で会った日が昨日のように感じるよ
ボクはね、そのとき心を病んでいてもう生きたくないって思ってたんだ
最期に大好きなお花を見ようと思って、この花畑に来たんだ
ごめんね、ずっと嘘ついてて
ボク、花のことには詳しいんだ

この間渡した花……覚えてる?
「マーガレット」だってレンが教えてくれたよね
正解。これだけはレンに渡したかった
だって、もう会えなくなっちゃうんだもん

一生の別れ
何も言わないでいなくなっちゃってごめんね
本当に、ごめん
でも、お別れを言っちゃうともっと悲しくなっちゃうから


レンは、まだ未来があるから
レンには、生きてほしいんだ。
最期に楽しい一年を、
ありがとう




大好きだよ、レン



トオルより



涙が溢れてくる。
紙には水滴の跡が残っていた。
「もう会えなくなっちゃう」──どうして?
「最期」──なんで?
「花のことには詳しい」──隠してた?

マーガレット…………その花言葉は──────



「……心に秘めた、愛──────」



ずっと、隠していた?
心に秘めた愛──────
僕みたいに…………

最後に書いてある「大好きだよ」は微かに震え、でも力強く書かれている。
(僕みたいに、トオルも怖かった────?)

その場で手紙とマーガレットの花を握りしめて崩れ落ちる。

この花畑で、朝まで号泣し続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

攻められない攻めと、受けたい受けの話

雨宮里玖
BL
恋人になったばかりの高月とのデート中に、高月の高校時代の友人である唯香に遭遇する。唯香は遠慮なく二人のデートを邪魔して高月にやたらと甘えるので、宮咲はヤキモキして——。 高月(19)大学一年生。宮咲の恋人。 宮咲(18)大学一年生。高月の恋人。 唯香(19)高月の友人。性格悪。 智江(18)高月、唯香の友人。

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

パブリック・スクール─薔薇の階級と精の儀式─

不来方しい
BL
 教団が営むパブリックスクール・シンヴォーレ学園。孤島にある学園は白い塀で囲まれ、外部からは一切の情報が遮断された世界となっていた。  親元から離された子供は強制的に宗教団の一員とされ、それ相応の教育が施される。  十八歳になる頃、学園では神のお告げを聞く役割である神の御子を決める儀式が行われる。必ずなれるわけでもなく、適正のある生徒が選ばれると予備生として特別な授業と儀式を受けることになり、残念ながらクリスも選ばれてしまった。  神を崇める教団というのは真っ赤な嘘で、予備生に選ばれてしまったクリスは毎月淫猥な儀式に参加しなければならず、すべてを知ったクリスは裏切られた気持ちで絶望の淵に立たされた。  今年から新しく学園へ配属されたリチャードは、クリスの学年の監督官となる。横暴で無愛想、教団の犬かと思いきや、教団の魔の手からなにかとクリスを守ろうする。教団に対する裏切り行為は極刑に値するが、なぜかリチャードは協定を組もうと話を持ちかけてきた。疑問に思うクリスだが、どうしても味方が必要性あるクリスとしては、どんな見返りを求められても承諾するしかなかった。  ナイトとなったリチャードに、クリスは次第に惹かれていき……。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

処理中です...