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レンとヒナタ、その後の話。
#1 朝の教室【レンSide】
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「…………早く、着きすぎてしまった……」
今日から二学期。
登校するなら新学期がいいかも、とか思ったはいいものの、どうにも目が冴えてしまい、すごく早く学校に着いたというわけだ。
現在時刻、七時前。始業は八時半。
学期はじめなので、どの部活も朝練はない。
教師たちは既に過半数が出勤しているらしいが、生徒は一人もいない。
つまり、一番乗り。
(不登校だった奴が一番乗りってどうなんだろう……)
小さな疑問を抱きながら上履きへと履き替える。
一年生の始業式ぶりの校舎をきょろきょろと見回しながら、廊下を歩く。
「始業式の日は、倒れたんだっけ……」
思い出を遡って、ぽそりと呟く。
(ヒナタくんがいた時、すごく、びっくりしちゃって……)
始業式で三つ隣の席に彼がいた時は、泡を吹いて倒れたという。
まったく記憶がないが、後に保健室にいた教師に聞かされた。
たぶんトラウマが蘇って身体が拒否反応を示したのだろう。
俯きながら教室へと歩みを進める。
迷ってはいけないと思って、自分の教室までの道は事前に調べてきた。無駄に目を瞑っても教室へ辿り着けるくらいには調べてきた。
♧
「やっぱ誰もいないよね……」
一抹の寂しさを抱く。だが、誰かいたほうが対応に困ることに気づく。
やっぱり胸を撫で下ろして自分の席を探す。
だが困ったことに、机に名前は書いていない。
教室を一周して、壁際に座席表が貼ってあることに気づく。
(僕の、席……………………あ)
教卓から見て、右端の一番後ろ。
隅に追いやられているように感じるのは気のせいだろうか。
初めて知った自分の席へ移動する。
机の中には何枚かプリントと教科書が入っている。
自分のものだと思ったけど、どうやら違うようだ。
クラスメイトの都合のいい物置きと化しているらしい。
勝手に動かして混乱を招くのは良くないだろう。
クラスメイトが登校してきたら渡そう、と自分のコミュニケーション能力の低さを棚に上げ、椅子に座る。
意外と居心地の良い席だ。
窓越しに優しい朝日が差している。
(……なんか急に眠気が……)
当たり前といえば当たり前だ。
昨日から今日にかけて、遠足が楽しみな児童が如く、三時間しか眠れなかった。
「楽しみ」ではなく「緊張」故の目の冴え具合なのだが。
教室に入ってから十分後には、深い眠りについていた。
今日から二学期。
登校するなら新学期がいいかも、とか思ったはいいものの、どうにも目が冴えてしまい、すごく早く学校に着いたというわけだ。
現在時刻、七時前。始業は八時半。
学期はじめなので、どの部活も朝練はない。
教師たちは既に過半数が出勤しているらしいが、生徒は一人もいない。
つまり、一番乗り。
(不登校だった奴が一番乗りってどうなんだろう……)
小さな疑問を抱きながら上履きへと履き替える。
一年生の始業式ぶりの校舎をきょろきょろと見回しながら、廊下を歩く。
「始業式の日は、倒れたんだっけ……」
思い出を遡って、ぽそりと呟く。
(ヒナタくんがいた時、すごく、びっくりしちゃって……)
始業式で三つ隣の席に彼がいた時は、泡を吹いて倒れたという。
まったく記憶がないが、後に保健室にいた教師に聞かされた。
たぶんトラウマが蘇って身体が拒否反応を示したのだろう。
俯きながら教室へと歩みを進める。
迷ってはいけないと思って、自分の教室までの道は事前に調べてきた。無駄に目を瞑っても教室へ辿り着けるくらいには調べてきた。
♧
「やっぱ誰もいないよね……」
一抹の寂しさを抱く。だが、誰かいたほうが対応に困ることに気づく。
やっぱり胸を撫で下ろして自分の席を探す。
だが困ったことに、机に名前は書いていない。
教室を一周して、壁際に座席表が貼ってあることに気づく。
(僕の、席……………………あ)
教卓から見て、右端の一番後ろ。
隅に追いやられているように感じるのは気のせいだろうか。
初めて知った自分の席へ移動する。
机の中には何枚かプリントと教科書が入っている。
自分のものだと思ったけど、どうやら違うようだ。
クラスメイトの都合のいい物置きと化しているらしい。
勝手に動かして混乱を招くのは良くないだろう。
クラスメイトが登校してきたら渡そう、と自分のコミュニケーション能力の低さを棚に上げ、椅子に座る。
意外と居心地の良い席だ。
窓越しに優しい朝日が差している。
(……なんか急に眠気が……)
当たり前といえば当たり前だ。
昨日から今日にかけて、遠足が楽しみな児童が如く、三時間しか眠れなかった。
「楽しみ」ではなく「緊張」故の目の冴え具合なのだが。
教室に入ってから十分後には、深い眠りについていた。
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