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向き合う
#0 向き合う【レンSide】
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暗闇の中を歩いていた。
現実ではない。夢だ。
夢なのに、妙に感覚がリアルだ。
誰も、いない。
奇妙な空間に無意識に腕をさする。
行く宛もなくしばらく歩いていくと、ほんのりと明るくなっている空間が見えてきた。
なぜか分からないが、その空間へと足が動いていた。
「レン」
ゆっくりと歩みを進めていると、その空間から声が聞こえた気がした。
聞き違えるはずがない。
トオルの声だ。
──レン。こっちに来て。
ぼんやりとしていた空間から、腕が伸びてくる。
「トオル!」
大好きな人の名を叫び、その腕に飛び込んだ。
──レン。よく聞いてほしいんだ。
明るい空間からトオルが姿を現す。
「……なに? トオル」
いつになく真剣なトオルの眼差しに何となく背筋が伸びる。
──レンは、ボク以外を見ちゃだめだからね。
「…………?」
いまいちピンと来ず、首を傾げる僕にトオルは目を細めた。
──ボクはレンのことが好きで、レンはボクのことが好き。そうでしょ?
「うん。僕は君のことが好きだ」
──ボクは、何からも逃げないで怖いものにも立ち向かう……そんな君が好きなんだ。わかった?
僕はこくりと頷くと、トオルの真意を図るようにその瞳を覗き込んだ。
トオルの瞳にはただ優しさが映っているように見えた。
でも、その瞳の奥の奥に宿る強い感情が見え隠れする。
その感情とは何か────
それに気づいてしまった時、大きく目を見開いた。
──レン、どうしたの?
トオルが変わらぬ笑顔のまま尋ねてくる。
「…………ううん」
首を横に振り、唇をムズムズさせてトオルを見る。
「──君は僕のことが……本当に、本当に大好きなんだな、って……」
語尾に近づくにつれて俯きがちになっていく僕にトオルがクスッと笑いを漏らした。
──当たり前じゃん。
♧
(……ん……)
ほのかな薬品の匂いに目を覚ます。
ここは保健室だろうか。
(僕、どうしたんだっけ……)
薄く目を開けると白色のシーツが目に飛び込んでくる。
確か、朝早く教室に来て、いつの間にか寝ていて……。
(目を覚ましたらヒナタくんがいて……あ、そうだ。気絶しちゃったんだ……)
クラスメイトと顔を合わせるなり卒倒してしまった己の奇行を密かに恥じていると、保健室内に他にも誰かがいることに気がつく。
(保健室の先生かな……?)
ゆっくりと上体を起こし、目を擦ると隣で誰かが深呼吸をする音がした。
ベッドの隣の椅子に腰掛けている人物を目にし、目を見開く。
「ヒ、ナタ、くん……」
現実ではない。夢だ。
夢なのに、妙に感覚がリアルだ。
誰も、いない。
奇妙な空間に無意識に腕をさする。
行く宛もなくしばらく歩いていくと、ほんのりと明るくなっている空間が見えてきた。
なぜか分からないが、その空間へと足が動いていた。
「レン」
ゆっくりと歩みを進めていると、その空間から声が聞こえた気がした。
聞き違えるはずがない。
トオルの声だ。
──レン。こっちに来て。
ぼんやりとしていた空間から、腕が伸びてくる。
「トオル!」
大好きな人の名を叫び、その腕に飛び込んだ。
──レン。よく聞いてほしいんだ。
明るい空間からトオルが姿を現す。
「……なに? トオル」
いつになく真剣なトオルの眼差しに何となく背筋が伸びる。
──レンは、ボク以外を見ちゃだめだからね。
「…………?」
いまいちピンと来ず、首を傾げる僕にトオルは目を細めた。
──ボクはレンのことが好きで、レンはボクのことが好き。そうでしょ?
「うん。僕は君のことが好きだ」
──ボクは、何からも逃げないで怖いものにも立ち向かう……そんな君が好きなんだ。わかった?
僕はこくりと頷くと、トオルの真意を図るようにその瞳を覗き込んだ。
トオルの瞳にはただ優しさが映っているように見えた。
でも、その瞳の奥の奥に宿る強い感情が見え隠れする。
その感情とは何か────
それに気づいてしまった時、大きく目を見開いた。
──レン、どうしたの?
トオルが変わらぬ笑顔のまま尋ねてくる。
「…………ううん」
首を横に振り、唇をムズムズさせてトオルを見る。
「──君は僕のことが……本当に、本当に大好きなんだな、って……」
語尾に近づくにつれて俯きがちになっていく僕にトオルがクスッと笑いを漏らした。
──当たり前じゃん。
♧
(……ん……)
ほのかな薬品の匂いに目を覚ます。
ここは保健室だろうか。
(僕、どうしたんだっけ……)
薄く目を開けると白色のシーツが目に飛び込んでくる。
確か、朝早く教室に来て、いつの間にか寝ていて……。
(目を覚ましたらヒナタくんがいて……あ、そうだ。気絶しちゃったんだ……)
クラスメイトと顔を合わせるなり卒倒してしまった己の奇行を密かに恥じていると、保健室内に他にも誰かがいることに気がつく。
(保健室の先生かな……?)
ゆっくりと上体を起こし、目を擦ると隣で誰かが深呼吸をする音がした。
ベッドの隣の椅子に腰掛けている人物を目にし、目を見開く。
「ヒ、ナタ、くん……」
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