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生徒会庶務女装(珍)騒動
恐ろしすぎる朱雀の目論みと最悪のメイド服
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「はい?」
今、メイド服と言わなかったか。
メイド服といえば、黒色のワンピースの上に白いフリルのエプロンを着るアレではないか。
どうしても新兎の頭には、メイド服を着ている女性しか浮かばない。男子である新兎が着るものではない気がする。
「あの……俺、男です」
「ん、知ってるよ?」
切れ長の鋭い瞳を除けば女子と間違われるかもしれない顔のパーツを持っている新兎だが、さすがに朱雀は知っていた。
……それを知って言ったほうが問題発言であるが。
「え、えぇと……舞薔薇さんとかでもいいんじゃ──」
「しづちゃんは今日忙しいらしいから♡」
「じゃ、じゃあ副会長は」
「佐藤さん(仮)のお世話で忙しいからだーめ♡」
「えっじゃあ俺が佐藤さん(仮)のお世話します」
「それもだめ。新兎くん佐藤さん(仮)に舐められてるもん」
小動物だと思われているのか知らないが、他の生徒会役員よりも佐藤太郎(仮)から下に見られているような気がするのだ。
この前だって、報告書の作成中にやたらと邪魔されたのだ。他の役員の注意はしっかり聞くのに新兎の言うことだけ一向に聞いてくれないのだ。間違いなく舐められている。
「あ、でも他の女子生徒とか……」
「他の生徒はだめだよ~♡ 捏造がバレたら大変だよ──新兎くんが」
恐ろしい。恐ろしすぎる。
捏造がバレたときの責任者はもちろん生徒会長である白虎だが、最終的に事態をまとめて報告書を作成するのは新兎だ。
つまり、捏造がバレて一番苦労するのは新兎なので、捏造を行う上で一番信頼できるのは新兎というわけだ。
一応筋は通っているが、そういう問題ではない。
「で、でも会長のほうが顔が整ってるんじゃ……」
白虎は眉目秀麗な整った顔の持ち主だ。
「だーかーら、びゃーくんはイケメンだけどメイドさんには新兎くんのほうがピッタリだよ?」
朱雀は口に出していないが、つまり童顔ということである。
コンプレックスを突かれて新兎が黙り込むと、「じゃ、生徒会室で待ってるからね」と朱雀は段ボールを床に置いて廊下の奥へ去っていった。
「どうしろと……」
新兎のか細い声が寂しく廊下に響いた。
◇
コンコン、と生徒会室の扉をノックする。
中から「どうぞ~」と朱雀の声が響く。
カチャリ、と控え目に扉を開けると、朱雀が無理矢理扉を大きくこじ開ける。
「ほーら、恥ずかしがらないでっ」
「いやあの……」
断じて恥ずかしがっているわけではない。尊厳を守ろうとしているだけだ。
新兎は改めて自分の姿を確認する。
黒色のロングワンピースの上に、可愛らしいフリルがたくさんついたエプロンを着たメイドの姿だ。
おまけに頭にはフリルがついたカチューシャがついている。
そこに、しづきが帰ってくる。
「歴史研究部の今年度の予算について顧問の菊池先生と────」
扉を開けたしづきの目に、メイド服姿の新兎が映る。
ばっちり目が合い、気まずい沈黙が流れる。
「あぁ……まあ、良いと思います」
「そのリアクションやめろ!?」
冷めた目で新兎の横を通り過ぎたしづき。
新兎のツッコミを聞くこともなく、自分の机に向かい、書類をまとめ始めた。
「いや、広報誌の撮影だから!」
「何言ってるんですか。聞いてますよ。はて、何と勘違いされたとお思いで?」
大声で弁明する新兎と対照的にしづきは冷たく言葉を返す。そういえば朱雀がそんなことをいっていたような気もする。
ぐぬ、と新兎が言葉を詰まらせると、いつの間にか背後に回っていた朱雀が新兎の背中をトンと押す。
「じゃ、撮影行こっか♡」
今、メイド服と言わなかったか。
メイド服といえば、黒色のワンピースの上に白いフリルのエプロンを着るアレではないか。
どうしても新兎の頭には、メイド服を着ている女性しか浮かばない。男子である新兎が着るものではない気がする。
「あの……俺、男です」
「ん、知ってるよ?」
切れ長の鋭い瞳を除けば女子と間違われるかもしれない顔のパーツを持っている新兎だが、さすがに朱雀は知っていた。
……それを知って言ったほうが問題発言であるが。
「え、えぇと……舞薔薇さんとかでもいいんじゃ──」
「しづちゃんは今日忙しいらしいから♡」
「じゃ、じゃあ副会長は」
「佐藤さん(仮)のお世話で忙しいからだーめ♡」
「えっじゃあ俺が佐藤さん(仮)のお世話します」
「それもだめ。新兎くん佐藤さん(仮)に舐められてるもん」
小動物だと思われているのか知らないが、他の生徒会役員よりも佐藤太郎(仮)から下に見られているような気がするのだ。
この前だって、報告書の作成中にやたらと邪魔されたのだ。他の役員の注意はしっかり聞くのに新兎の言うことだけ一向に聞いてくれないのだ。間違いなく舐められている。
「あ、でも他の女子生徒とか……」
「他の生徒はだめだよ~♡ 捏造がバレたら大変だよ──新兎くんが」
恐ろしい。恐ろしすぎる。
捏造がバレたときの責任者はもちろん生徒会長である白虎だが、最終的に事態をまとめて報告書を作成するのは新兎だ。
つまり、捏造がバレて一番苦労するのは新兎なので、捏造を行う上で一番信頼できるのは新兎というわけだ。
一応筋は通っているが、そういう問題ではない。
「で、でも会長のほうが顔が整ってるんじゃ……」
白虎は眉目秀麗な整った顔の持ち主だ。
「だーかーら、びゃーくんはイケメンだけどメイドさんには新兎くんのほうがピッタリだよ?」
朱雀は口に出していないが、つまり童顔ということである。
コンプレックスを突かれて新兎が黙り込むと、「じゃ、生徒会室で待ってるからね」と朱雀は段ボールを床に置いて廊下の奥へ去っていった。
「どうしろと……」
新兎のか細い声が寂しく廊下に響いた。
◇
コンコン、と生徒会室の扉をノックする。
中から「どうぞ~」と朱雀の声が響く。
カチャリ、と控え目に扉を開けると、朱雀が無理矢理扉を大きくこじ開ける。
「ほーら、恥ずかしがらないでっ」
「いやあの……」
断じて恥ずかしがっているわけではない。尊厳を守ろうとしているだけだ。
新兎は改めて自分の姿を確認する。
黒色のロングワンピースの上に、可愛らしいフリルがたくさんついたエプロンを着たメイドの姿だ。
おまけに頭にはフリルがついたカチューシャがついている。
そこに、しづきが帰ってくる。
「歴史研究部の今年度の予算について顧問の菊池先生と────」
扉を開けたしづきの目に、メイド服姿の新兎が映る。
ばっちり目が合い、気まずい沈黙が流れる。
「あぁ……まあ、良いと思います」
「そのリアクションやめろ!?」
冷めた目で新兎の横を通り過ぎたしづき。
新兎のツッコミを聞くこともなく、自分の机に向かい、書類をまとめ始めた。
「いや、広報誌の撮影だから!」
「何言ってるんですか。聞いてますよ。はて、何と勘違いされたとお思いで?」
大声で弁明する新兎と対照的にしづきは冷たく言葉を返す。そういえば朱雀がそんなことをいっていたような気もする。
ぐぬ、と新兎が言葉を詰まらせると、いつの間にか背後に回っていた朱雀が新兎の背中をトンと押す。
「じゃ、撮影行こっか♡」
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