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生徒会庶務女装(珍)騒動
書類の山 < 広報誌のモデル捏造
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「に~うくん♡」
ある日の放課後、新兎が臨時生徒会室設置の申込書を持って廊下を歩いていると、後ろから聞き慣れた声が届く。
「副会長? どうしたんですか?」
新兎が振り返ると、生徒会副会長こと修羅朱雀がそこには立っていた。
彼女は右手の人差し指を立てる。
「一つ頼まれてくれない?」
「あぁ、まぁ、内容によっては」
「あのね~広報の話なんだけど──」
◇
彼女の話によると、生徒会に広報誌作成の依頼が来ているらしい。
「その広報誌に去年の文化祭の写真が必要なことはわかりましたが……自分は何をすれば?」
書類探しだろうか。それならほぼ不可能に近い気もするが。
なにせ、一週間前の佐藤太郎(仮)事件で生徒会室だった場所は荒れているのだから。白虎が飛び込んだ影響で書類は全てバラバラだ。まだ生徒会室には書類が散乱している。
その上、佐藤太郎(仮)の飼い主も見つかっていないため資料室で好き勝手暴れまくっている。
省スペースを余儀なくされた生徒会役員たちは、これまでの一週間は資料室で作業していたが、さすがに限界があるとのことで、別室の手配が必要になったのだ。
「写真が保管してあるファイルの捜索ですか? それならちょっと無理が──」
「んーん、違うの」
朱雀が小さく首を振り、唇に人差し指を当てる。
それだけで思わず惹き込まれそうになる仕草だ。恐ろしい。
「広報誌の写真は遅くても明日までには必要だから、捏造しちゃおっかなって♡」
「ね、捏造!? それはちょっとダメなんじゃ……」
「え~? びゃーくんは『そちらのほうが合理的だ』って言ってたし、しづちゃんも賛同してくれたよ~」
「その二人の意見はあてにならないというか……」
新兎が視線をそらして頬をかくと、朱雀が新兎の目の前に回り込み「だ、か、ら」と新兎の胸にとんと指を置いた。
「新兎くんがモデルになってくれない?」
「えぇ……でもやっぱり捏造はいけないんじゃ……」
「書類の山に埋もれる方がお好き?」
「……やります。モデルやります」
ファイルから抜け落ちた数枚の写真を、あの書類の山から見つけ出すのは至難の業だろう。書類は幾千と重なっているのだ。
ちなみにそんなに書類が溜め込まれていたのは、生徒会長の性格である。
◇
(思わず引き受けちゃったけど……)
文化祭の写真捏造とは何をするのだろうか。
お化け屋敷の仮装でもしてそれっぽさを出すのだろうか。それともカフェをイメージしてパンケーキとかを作って一緒に写るのだろうか。
何にせよ、書類の山に潜り込むよりマシである。
捏造には多少の罪悪感を感じるが、「広報誌なんて学校の雰囲気が伝わればいいんだ」と言い聞かせておいた。
とりあえず、と朱雀に連れてこられたのは更衣室前の少し広いスペースだ。着替えでもするのだろう。
「ってか、俺去年いなかったんで文化祭の雰囲気知らないけど大丈夫ですか?」
「だいじょぶだよ~」
そう言って朱雀が持ってきたのは大きな段ボールだ。
「副会長、それ何の衣装ですか?」
よほど保管環境が悪かったのか、段ボールに書かれている文字は薄れて読めない。
新兎が眉をひそめていると、朱雀は段ボールから白いブラウスを取り出した。
だがそれは明らかに女性用だ。朱雀も写るのだろうか。
新兎が段ボールをぼうっと眺めていると、朱雀が段ボールから何着か服を取り出し、新兎に差し出す。
「去年は、メイド喫茶がすごい多かったんだよ♡」
新兎はうっすらとした悪寒を覚え、朱雀に尋ねる。
「えっと……副会長、それは──」
朱雀は天使のような微笑みで、小首を傾げる。
「ということで新兎くん、メイド服♡」
ある日の放課後、新兎が臨時生徒会室設置の申込書を持って廊下を歩いていると、後ろから聞き慣れた声が届く。
「副会長? どうしたんですか?」
新兎が振り返ると、生徒会副会長こと修羅朱雀がそこには立っていた。
彼女は右手の人差し指を立てる。
「一つ頼まれてくれない?」
「あぁ、まぁ、内容によっては」
「あのね~広報の話なんだけど──」
◇
彼女の話によると、生徒会に広報誌作成の依頼が来ているらしい。
「その広報誌に去年の文化祭の写真が必要なことはわかりましたが……自分は何をすれば?」
書類探しだろうか。それならほぼ不可能に近い気もするが。
なにせ、一週間前の佐藤太郎(仮)事件で生徒会室だった場所は荒れているのだから。白虎が飛び込んだ影響で書類は全てバラバラだ。まだ生徒会室には書類が散乱している。
その上、佐藤太郎(仮)の飼い主も見つかっていないため資料室で好き勝手暴れまくっている。
省スペースを余儀なくされた生徒会役員たちは、これまでの一週間は資料室で作業していたが、さすがに限界があるとのことで、別室の手配が必要になったのだ。
「写真が保管してあるファイルの捜索ですか? それならちょっと無理が──」
「んーん、違うの」
朱雀が小さく首を振り、唇に人差し指を当てる。
それだけで思わず惹き込まれそうになる仕草だ。恐ろしい。
「広報誌の写真は遅くても明日までには必要だから、捏造しちゃおっかなって♡」
「ね、捏造!? それはちょっとダメなんじゃ……」
「え~? びゃーくんは『そちらのほうが合理的だ』って言ってたし、しづちゃんも賛同してくれたよ~」
「その二人の意見はあてにならないというか……」
新兎が視線をそらして頬をかくと、朱雀が新兎の目の前に回り込み「だ、か、ら」と新兎の胸にとんと指を置いた。
「新兎くんがモデルになってくれない?」
「えぇ……でもやっぱり捏造はいけないんじゃ……」
「書類の山に埋もれる方がお好き?」
「……やります。モデルやります」
ファイルから抜け落ちた数枚の写真を、あの書類の山から見つけ出すのは至難の業だろう。書類は幾千と重なっているのだ。
ちなみにそんなに書類が溜め込まれていたのは、生徒会長の性格である。
◇
(思わず引き受けちゃったけど……)
文化祭の写真捏造とは何をするのだろうか。
お化け屋敷の仮装でもしてそれっぽさを出すのだろうか。それともカフェをイメージしてパンケーキとかを作って一緒に写るのだろうか。
何にせよ、書類の山に潜り込むよりマシである。
捏造には多少の罪悪感を感じるが、「広報誌なんて学校の雰囲気が伝わればいいんだ」と言い聞かせておいた。
とりあえず、と朱雀に連れてこられたのは更衣室前の少し広いスペースだ。着替えでもするのだろう。
「ってか、俺去年いなかったんで文化祭の雰囲気知らないけど大丈夫ですか?」
「だいじょぶだよ~」
そう言って朱雀が持ってきたのは大きな段ボールだ。
「副会長、それ何の衣装ですか?」
よほど保管環境が悪かったのか、段ボールに書かれている文字は薄れて読めない。
新兎が眉をひそめていると、朱雀は段ボールから白いブラウスを取り出した。
だがそれは明らかに女性用だ。朱雀も写るのだろうか。
新兎が段ボールをぼうっと眺めていると、朱雀が段ボールから何着か服を取り出し、新兎に差し出す。
「去年は、メイド喫茶がすごい多かったんだよ♡」
新兎はうっすらとした悪寒を覚え、朱雀に尋ねる。
「えっと……副会長、それは──」
朱雀は天使のような微笑みで、小首を傾げる。
「ということで新兎くん、メイド服♡」
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