【二日に一度更新】とある学校の珍事件簿〜奇人:常人=3:1〜

華凛

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白熱! 球技(珍)大会

しづきの不可解な言い分

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「…………惨、敗……」

新兎は各クラスの得点板の前で唖然としていた。
3セットとも相手チームに取られ、一回戦敗退。
そんな酷い結果に、しづきは悲しむでもなく悔やむでもなく、ツンと澄ました顔をしていた。

一年A組の士気は明らかに下がり、ほとんどのクラスメイトが無言で得点板を見つめている。

(……あ)

新兎は見覚えのある背中を見かけたので、声をかける。

「舞薔薇さん、その……」
「なんでしょう」

いつものように冷静な声音で返事をしたのはしづきだ。
今回の試合の敗因は、言いにくいが一目瞭然であった。

「あのぅ……舞薔薇さん、その……あんなに運動できませんでしたっけ?」

試合の敗因、それは──しづきのミスである。
ボールを明後日の方向に飛ばしたり、ぼうっと突っ立って取れるはずのボールを取らなかったり。
運動は苦手、なんて言っていたが、新兎よりは全然できる方だ。
事前の体育の授業でも、クラスの中ではバレーボールが得意な方だったのだ。
そんな彼女がなぜあんなミスを連発したのか。

「ああ、クラスの中では運動できる方ですかね」

とぼけるような口調で言うしづきに、新兎は質問を重ねた。

「ではなぜ……その、ミスを?」
「え、ああ、それはもちろん──」

しづきは「当たり前だ」とでも言うように眉をひそめて答えた。

「──チームの足を引っ張るためですよ?」
「え…………え!?」

脳内で何回か反芻してみるが、理解はできない。
彼女の不可解な言い分に頭が混乱してくる。

「えぇと……それはなぜ?」
「え?」
「え?」

逆に「え?」と返してきたしづきは、まるで「え、わからないんですか?」とでも言いたげな表情だ。
二人の間に謎の空気が流れた後、新兎はおそるおそる口を開いた。

「わざと負けたんですか?」
「え、そうですけど」
「勝ちたくなかったんですか?」
「ああ、まあ、間接的にはそういうことになりますね」
「ん……?」

いまいち噛み合わない会話に、本日二回目の謎の空気が流れる。

「えーと……何のために、何をしたのかを教えてください」

一度思考をリセットし、単純に質問してみる。

「朱雀先輩のために試合に負けただけです」

(は……?)

何回聞いても解る気がしない。

「うちのチームはワタクシを除いてバレー部です」

ようやく詳細な説明をし始めてくれた。良かった。
新兎は胸をなで下ろして耳を傾ける。

「このまま順当に行けば決勝戦までいけるでしょう。朱雀先輩のチームも同様です」

理解できる気がしてきた。
ほう、と相槌を打ちながら話を聞く。

「ですので、先輩の負担をなくすために、わざと弱いチームを勝たせました」
「えぇぇ……?」

言っていることはなんとなく分かったが、理解ができない。

大好きな人のためなら何でもできる人間と、そうではない人間の間には、深い溝があることが判明した。
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