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第12章 二度目の恋
第148話 笑顔の共有
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ツリーハウスの下では、アラン、アルバート、ギルの三人が待機していた。
「遅いですね……。上手く話が進んでいるということでしょうか」
エリー王女が上に登ってから一時間は経っている。
「あの作戦がダメならすぐ追い出されているだろうからなぁー。まぁ、悪くはねぇーってことかな」
「作戦ってなんですか?」
ギルに質問されたアルバートがニヤリと笑う。
「そりゃ、気持ちを素直に伝えることっしょ。あと、時には大胆な行動も効果的っちゅーこと」
「大胆な? でもまぁ、そうですよね。心を込めて伝えれば、気持ちは伝わりますから。セイン様はあの日以来ずっとイライラしていたんですけど、話し合って良い方向に向かうと良いのですが……あっ」
話しているとセイン王子がエリー王女を抱えて降りてきた。
三人に緊張が走る。
エリー王女が手入れされた芝の上にゆっくり下りると、セイン王子とエリー王女が笑顔を向けた。
「先輩、アラン。俺のためにエリーと引き合わせてくれてありがとう」
「セイン様……?」
アランは窺うようにセイン王子をじっと見つめている。
「さっきエリーから全部聞いたよ。もう二度と会えないと思っていたから……。エリーにも……、先輩やアランにも……」
「え? もしかして……思い出され……、今、俺のこと先輩って言った?」
アルバートが目を見開いて自分を指差した。
「うん、側近になった辺りからの記憶からだけど……思い出したよ」
「まじで! えっ、何で? すげー! エリーちゃんの愛のパワーってやつ? うぉぉぉぉ」
照れ笑いを浮かべるセイン王子にアルバートが抱きつく。
「ちょっ、先輩! めちゃくちゃ痛いっ! もっと優しく……うぷっ」
「バカヤロウ……一人で抱えやがって……」
「本当にすみません……」
耳元で小さく聞こえたアルバートの声に、セイン王子がアルバートの胸の中で呟いた。
「あっ……えっと、セイン様……俺、全然状況が飲み込めないのですが……。アルバートさんが先輩?」
脇で様子を見ていたギルが恐る恐る声をかけると、アルバートがやっとセイン王子から体を離す。
「ギル、もうちょい待って。次アランの番だから。ほれ、アラン」
アルバートがセイン王子をアランの前に押し出し、二人は向かい合った。
アランはずっと険しい顔をしている。
「えっと……色々とごめん……」
「ああ……」
「あと、ありがとう」
「ああ……」
表情を崩さずじっと睨んでるアランに、セイン王子は苦笑いを溢す。
「……あー、怒って……る?」
「いや……、喜んでる」
「うわ~~~ん、アラ~~~ン~~~不器用~~~~!!!」
セイン王子がアランに飛びついた。
思いっきり抱きしめてから、両手で背中をバンバンと叩くと、アランもそれに合わせて背中を叩いた。
「俺、今度はシトラル陛下に認めてもらえるように頑張るから」
「ああ、協力する」
「うん……」
体を離し、へへへとセイン王子が照れくさそうに笑うとやっとアランも笑顔になった。
それをじっと見つめているギルにセイン王子が視線を移し、手を差し伸べる。
「ギル」
「はい……」
よく分からないままその手を取ると、ギルもまた抱きしめられた。
「側にいてくれてありがとう」
「え……はい……。えっと……これは、何かの儀式でしょうか……?」
周りを見渡せば、エリー王女を始め、皆が笑っている。首を傾げると、セイン王子が気まずそうに顔をあげた。
「ごめんね、ギル。実は俺がレイだったんだ」
「……すみません、ちょっと言っている意味が……」
「うん、だよね。今ちゃんと説明するよ。えっと……アトラスと同盟を組む時に、俺はセインの記憶を消してレイとして生きていたんだ。要は人質だね」
「人質……」
「信頼の証としてだよ。でも、その俺がエリーと関係を持ってしまって……」
セイン王子はエリー王女を見つめて苦笑いを溢す。
「この関係が露見されたら俺を正式に処刑しないといけなくなっちゃうでしょ? 万が一そんなことになったら兄さんが何するかわからないし……。だからシトラル陛下はレイを死んだことにしてこの国に戻すことに決めたんだ」
「そうでしたか……。セイン様がレイ……。そうですね……あぁ、そうか……」
ギルは考えをまとめるように俯いてぶつぶつ呟いた。
四人はそれを静かに待つ。
「レイが……そっか……。良かった。良かったです……レイが生きていたこと……本当に……」
顔を覆い隠して泣くギルに、アルバートが背中を撫でた。
「結局、あれから沢山巻き込んでしまったし、罪悪感を植え付けてしまったみたいで本当にごめん。だけど、ギルが俺の側にいてくれて嬉しいよ。ありがとう」
ギルがハンカチを取り出して涙を拭うと姿勢を正す。
「はい、これからもより一層セイン様のお役に立てるように頑張ります!」
「あはは、ありがとう。でも、前みたいに気楽に話してくれていいよ。その方が嬉しい。先輩もアランもね。今は王子だけど、アランはもう一人の兄さんだと思ってるし、先輩は先輩に変わらないし、ギルは友達だと思ってる。変わらずに接してほしい」
「よっしゃー!! その方が話しやすいからありがてえ。まぁ、レイとは呼べないけどな。エリーちゃんも良かったな」
「はい。ありがとうございます……。リアム陛下にもお礼をお伝えしないといけないですね。きっとセイン様に想いは伝わるだろうって仰ってくださったので。それに今後について話し合わないといけませんから」
エリー王女が隣を見上げると、セイン王子が笑みを返した。
「そうだね。俺、頑張るね」
「はい。私も頑張ります」
手を繋ぎ、セイン王子がエリー王女の額に口付けを一つ落とす。
微笑み合うと側近三人に視線を移し、全員で笑顔を交し合った。
「遅いですね……。上手く話が進んでいるということでしょうか」
エリー王女が上に登ってから一時間は経っている。
「あの作戦がダメならすぐ追い出されているだろうからなぁー。まぁ、悪くはねぇーってことかな」
「作戦ってなんですか?」
ギルに質問されたアルバートがニヤリと笑う。
「そりゃ、気持ちを素直に伝えることっしょ。あと、時には大胆な行動も効果的っちゅーこと」
「大胆な? でもまぁ、そうですよね。心を込めて伝えれば、気持ちは伝わりますから。セイン様はあの日以来ずっとイライラしていたんですけど、話し合って良い方向に向かうと良いのですが……あっ」
話しているとセイン王子がエリー王女を抱えて降りてきた。
三人に緊張が走る。
エリー王女が手入れされた芝の上にゆっくり下りると、セイン王子とエリー王女が笑顔を向けた。
「先輩、アラン。俺のためにエリーと引き合わせてくれてありがとう」
「セイン様……?」
アランは窺うようにセイン王子をじっと見つめている。
「さっきエリーから全部聞いたよ。もう二度と会えないと思っていたから……。エリーにも……、先輩やアランにも……」
「え? もしかして……思い出され……、今、俺のこと先輩って言った?」
アルバートが目を見開いて自分を指差した。
「うん、側近になった辺りからの記憶からだけど……思い出したよ」
「まじで! えっ、何で? すげー! エリーちゃんの愛のパワーってやつ? うぉぉぉぉ」
照れ笑いを浮かべるセイン王子にアルバートが抱きつく。
「ちょっ、先輩! めちゃくちゃ痛いっ! もっと優しく……うぷっ」
「バカヤロウ……一人で抱えやがって……」
「本当にすみません……」
耳元で小さく聞こえたアルバートの声に、セイン王子がアルバートの胸の中で呟いた。
「あっ……えっと、セイン様……俺、全然状況が飲み込めないのですが……。アルバートさんが先輩?」
脇で様子を見ていたギルが恐る恐る声をかけると、アルバートがやっとセイン王子から体を離す。
「ギル、もうちょい待って。次アランの番だから。ほれ、アラン」
アルバートがセイン王子をアランの前に押し出し、二人は向かい合った。
アランはずっと険しい顔をしている。
「えっと……色々とごめん……」
「ああ……」
「あと、ありがとう」
「ああ……」
表情を崩さずじっと睨んでるアランに、セイン王子は苦笑いを溢す。
「……あー、怒って……る?」
「いや……、喜んでる」
「うわ~~~ん、アラ~~~ン~~~不器用~~~~!!!」
セイン王子がアランに飛びついた。
思いっきり抱きしめてから、両手で背中をバンバンと叩くと、アランもそれに合わせて背中を叩いた。
「俺、今度はシトラル陛下に認めてもらえるように頑張るから」
「ああ、協力する」
「うん……」
体を離し、へへへとセイン王子が照れくさそうに笑うとやっとアランも笑顔になった。
それをじっと見つめているギルにセイン王子が視線を移し、手を差し伸べる。
「ギル」
「はい……」
よく分からないままその手を取ると、ギルもまた抱きしめられた。
「側にいてくれてありがとう」
「え……はい……。えっと……これは、何かの儀式でしょうか……?」
周りを見渡せば、エリー王女を始め、皆が笑っている。首を傾げると、セイン王子が気まずそうに顔をあげた。
「ごめんね、ギル。実は俺がレイだったんだ」
「……すみません、ちょっと言っている意味が……」
「うん、だよね。今ちゃんと説明するよ。えっと……アトラスと同盟を組む時に、俺はセインの記憶を消してレイとして生きていたんだ。要は人質だね」
「人質……」
「信頼の証としてだよ。でも、その俺がエリーと関係を持ってしまって……」
セイン王子はエリー王女を見つめて苦笑いを溢す。
「この関係が露見されたら俺を正式に処刑しないといけなくなっちゃうでしょ? 万が一そんなことになったら兄さんが何するかわからないし……。だからシトラル陛下はレイを死んだことにしてこの国に戻すことに決めたんだ」
「そうでしたか……。セイン様がレイ……。そうですね……あぁ、そうか……」
ギルは考えをまとめるように俯いてぶつぶつ呟いた。
四人はそれを静かに待つ。
「レイが……そっか……。良かった。良かったです……レイが生きていたこと……本当に……」
顔を覆い隠して泣くギルに、アルバートが背中を撫でた。
「結局、あれから沢山巻き込んでしまったし、罪悪感を植え付けてしまったみたいで本当にごめん。だけど、ギルが俺の側にいてくれて嬉しいよ。ありがとう」
ギルがハンカチを取り出して涙を拭うと姿勢を正す。
「はい、これからもより一層セイン様のお役に立てるように頑張ります!」
「あはは、ありがとう。でも、前みたいに気楽に話してくれていいよ。その方が嬉しい。先輩もアランもね。今は王子だけど、アランはもう一人の兄さんだと思ってるし、先輩は先輩に変わらないし、ギルは友達だと思ってる。変わらずに接してほしい」
「よっしゃー!! その方が話しやすいからありがてえ。まぁ、レイとは呼べないけどな。エリーちゃんも良かったな」
「はい。ありがとうございます……。リアム陛下にもお礼をお伝えしないといけないですね。きっとセイン様に想いは伝わるだろうって仰ってくださったので。それに今後について話し合わないといけませんから」
エリー王女が隣を見上げると、セイン王子が笑みを返した。
「そうだね。俺、頑張るね」
「はい。私も頑張ります」
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