灰かぶり姫と月の魔法使い

星 佑紀

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第参譚

0021:砂糖菓子と侵入者

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 ーーマーズとマーキュリーが旅立って六日後の午後。ーー


「灰かぶり姫、何作っているの?」


「砂糖菓子なのです‼(にぱっ)」



 皆さん、こんにちは。灰かぶりです。

 マーズ殿下はマテリア帝国へ、マーキュリー殿下はランドット王国へと外出なされている今、私はアデル皇国第一魔法省イリアルテ内の台所で、父の大好きな砂糖菓子を沢山作っています。



「……とても美味しそうなお菓子だね。(よだれを垂らしながら)」


「ツクヨミさん、食べてみますか?」


「えっ、いいの?(嬉)」


「どうぞ、召し上がれ‼」



 私は、出来上がったひとかけらをツクヨミさんに手渡しました。



「いっただっきまーす‼  ガブッ……もぐもぐもぐ…………。」


「ツクヨミさん、どうですか?(わくわく)」


「う、うん。……オイシイヨ。(甘すぎて胸やけ)」


「そうですよね! これは、お兄ちゃ……父に作り方を教わった思い出深いお菓子なのですよ‼」


「そ、そうなんだ。(お師匠様ー、なんてことを灰かぶり姫に教えているんですかー⁉)」


「たくさん作っていますからもっと食べてくださいね‼(満面の笑み)」


「う、うん。……しょ、食後のデザートにとっておこうかなー。(目が泳いでる)」



 カンカンカンカンカンカンカンカン‼



 すると、台所中に強烈な音が鳴り響いたのです‼ 横で食べかけのお菓子を持っていらしたツクヨミさんは、途端に顔色を険しくして、辺りを見回します。



「灰かぶり姫、敵襲だよ‼(キリッ)」


「て、敵襲⁉」


「ああ、……魔法省の名簿に載っていない人間が省内へ入り込むと、鳴るようになっているんだ。(真剣)」


「……わ、私は魔法省のメンバーではありませんが、大丈夫なのですか?」


「お師匠様の娘さんは、顔パスさ‼」



 ツクヨミさんは、その場でローブを脱ぎ捨てて駆け出しました。私も、ツクヨミさんの後を全速力で追いかけます。

 なんとなくですが、どうやらツクヨミさんは、敵がどこから入ってきたのかが分かるみたいですね。分岐点で迷うことなく、くねくねした廊下を駆け抜けていきます。

 ……やがてツクヨミさんは、とある赤い扉の前で立ち止まりました。



「……灰かぶり姫、おそらくこの扉の先に、侵入者がいると思う。(汗)」


「……行きましょう、ツクヨミさん。」



 私達は一つ深呼吸をして、赤い扉を開くと、そこには……。



「……灰かぶり、迎えに来たわよ。(睨)」



 ……継母様おかあさまと、義姉様おねえさま達が佇んでいらっしゃったのでした。(汗)



「お、継母様おかあさま義姉様おねえさま、……お久しぶりですわ。(愛想笑い)」


「久しぶりどころではないわ、灰かぶり‼ なぜお屋敷から出るようなマネをしたの⁉ 心配したじゃない。……さあ、帰るわよ‼」


「生憎ですが私は帰りません、継母様おかあさま。(微笑)」


「(溜息をつく)貴方に拒否権は無いの。……が灰かぶりの帰りを待っているのよ。(呆れた顔)」


お父様には、いずれ会いに行きます。……今は父の傍にいたいのです、継母様おかあさま。」


「いいえ、貴方は私たちが連れて帰ります‼」



 継母様おかあさまは、ドレスの中からサバイバルナイフを取り出して、私に襲い掛かってきました。



「灰かぶり姫‼(焦)」



 私は突っ込んでこられる継母様おかあさまを華麗にかわして、継母様おかあさまのお口へと砂糖菓子を入れてみます。



「――――ッ⁉」



 継母様おかあさまはガリっと砂糖菓子を噛んだ途端、何故だか、泡を吹いて倒れてしまいましたわ。



「お母さまーー⁉(絶叫) ……あんた、よくもお母さまをーー‼」



 義姉様おねえさま達が二人がかりでやってきましたので、今度は砂糖菓子を二つ、指の間に挟み込み、お二人のお口に目がけてシュパパッと飛ばしてみました。



「フガッ――⁉」


「フゴゴッ――⁉」



 義姉様おねえさま達は、何故か砂糖菓子を咥えたまま、床の上へと倒れられてしまわれました。



「ふぅーー。いつも、継母様おかあさま達、私の砂糖菓子をお口にされると、倒れてしまわれますのよね。この砂糖菓子には、何かしらの催眠効果があるのでしょうか?(本気) …………ツクヨミさん、このお三方、どうされますか?(にっこり)」


「……あ、ありがとう。あとは、僕に任せて!(ええええ、あれって殺人兵器だったの⁉)」



 ――イリアルテ内が揺れている⁉――
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