57 / 59
第陸譚
0056:スピカ面接 悪役令嬢ズ
しおりを挟む
ーー殿下達がトルネードへ戻った次の日の午前中。ーー
ーーここはフィックスド辺境伯家の会議室。ーー
ーー室内には面接官用長机が一つと椅子が四席分。ーー
ーー面接官用長机席には、パトリック殿下にサネユキと、紅一点オリビアが謎の書類と共にスタンバイしている。ーー
ーーそんでもって、何故かサネユキのお膝の上には、ジョナサンが居た。そんな面接官達を、なんとも言えない表情で、ノアが出入り口扉付近から直立して眺めている。ーー
「ノア、……面接志望者達の準備はできたかな?(謎の酔いしれた表情でノアに聞くパトリック殿下)」
「ああ、はい。……大丈夫です。(困惑ノア)」
「じゃあ、番号一番の方からお通しして‼︎(パト殿下)」
「はい。(扉を開けて)それでは、面接志望者番号第一番のお方をお通しします。マリア・ラーズベルト公爵令嬢様、どうぞお入りください。(もの凄く複雑な心境のノア)」
「もっふうー‼︎(失礼致しますわよ‼︎ 何やら、ご自身のお腹ポケットが、かなりふくらんでいる状態でポテポテ入室してきたゲソゲソマリア嬢)」
ーースピカ入団志望者一番、マリア・ラーズベルト。ーー
「はい、マリア様ね! そこの席に座ってください。(マリア嬢へ、面接官と対面しているぼっち席を促すパト殿下)」
「もふもっふうー‼︎(よろしくお願いしますわ‼︎)」
「じゃあ、お名前と、出身地と特技を教えてください。(何やら、レンズの入っていない黒縁の眼鏡をかけて、手元にある『マリア・ラーズベルトの履歴書』と書かれた用紙に目を通すパト殿下)」
「もふ、もふ、もっふふうー‼︎(マリア・ラーズベルト、トルネード王国首都出身、特技は、なんでも食べることと、周りの方々を恐怖の谷底に叩き落とすことですわ‼︎ ゲソゲソながらも、面接官殿下の要求に応えるマリア嬢)」
「はい、存在自体が合格‼︎ マリア様、こっち側に来てください‼︎(立ち上がって、マリア嬢の手を引き、元の席に戻って、マリア嬢を自身のお膝の上に座らせるパト殿下)」
「もっふふうー‼︎(魅力のスイーツと皆様と共に頑張りますわよ‼︎ もふもふマリア嬢)」
「安定のマリア嬢は、即決だな。(パトリック殿下から手渡された『マリア嬢の履歴書』に、『合格』ハンコをペッタンする真面目サネユキ)」
「あの、隊長、……僕、先輩の持ち場と変わってくるので、手を離してください。(何故か青ざめてるジョナサン)」
「……大丈夫だ。ノアには、ちゃんと言ってあるからな。心配しなくてよい。(何故か酔いしれた表情でジョナサンを背後から抱きしめるサネユキ)」
「……。(僕はどうすればいいんだ⁉︎ 困惑ジョナサン)」
「やっと、マリア様が正式にスピカの一員になられて、感慨深いですわね。(三人の面接官の中で一番まともだが、何故か酔いしれてるビア)」
「……。(いろいろツッコミたいことが多すぎて、何にも言えないよー。ただ、その中で一つだけ、聞きたいことがある。マリア様、『恐怖の谷底に叩き落とす』ってどういうことですか⁉︎ 一番の苦労人ノア)」
「マリア様は、昨日頑張りすぎてゲソゲソなんだから、遠慮せずにたくさん食べるんだよ。(ゲソゲソなもふもふのお腹をスリスリするパトリック殿下)」
「もっふもっふう‼︎(お言葉に甘えさせていただきますわ‼︎ ポケットの中から、保存パックされてるあん餅を取り出して、二つに割って、一つをパト殿下に渡してから残りをもふもふするマリア嬢)」
「マリアさま……。(感動に打ち震えるパト殿下)」
「……もふう。(あくまでこれは賄賂ですからね。 あん餅を齧りながらちょっと照れてるモフモフ)」
「ううう、……もぐもぐ、……美味しいね、マリア様。(泣きながらあん餅を食べてるパト殿下)」
「もっふもふう‼︎(ニホンのヤツですからね!)」
「……。(うん。いいけれど、マリア様が、パト殿下を制御してくれてとても助かるけれども、マリア様、……ここは、飲食禁止です‼︎ 一応、フィックスド辺境伯家当主ノア)」
「よしっ‼︎ 次の志望者いっちゃおう‼︎(やる気殿下)」
「もっふふうーー‼︎(いっちゃいましょー‼︎)」
「では次の方をお呼びしますね。(出入口扉を開けて)……リリアナ・ヘレン公爵令嬢様、どうぞお入りください。(なんとか心を落ち着けるノア)」
「……失礼致しますわ。(キリッとリリアナ嬢)」
ーースピカ入団志望者二番、リリアナ・ヘレン。ーー
「はい、スピカ入団面接へようこそ! そこの席に座ってください。(リリアナ嬢へ、面接官と対面している志望者席を促すパト殿下)」
「失礼致します。(完璧な所作で着席するリリアナ嬢)」
「それでは、お名前と、出身地と特技を教えてください。(手元にある『リリアナ・ヘレンの履歴書』と書かれた用紙を取り出すパト殿下)」
「名前はリリアナ・ヘレン、出身地はランドット王国首都某地、特技は、クリンゲル・ホームズ先生の小説を暗記することですわ‼︎(キリッとリリアナ嬢)」
「ほう。読書が趣味ってことですかね?(履歴書に書かれた『クリンゲル先生ラブ‼︎』を見て、困惑するパト殿下)」
「クリンゲル先生の作品だけに限ります‼︎」
「そうですか。この、クリンゲル・ホームズという作者は、昨日のミュージカル作品の原作者でもありますよね。僕以外の面接官のために、クリンゲル・ホームズという作者が、どのような内容の小説を書かれているのか、もう一度言ってもらってもいいですか?(ちょっとこだわりが強いな。 慎重にリリアナ嬢の素質を見極めようとするパト殿下)」
「主人公である『悪役令嬢』が、周囲から誹謗中傷を受けて、一度は追放されますが、己の類稀なる知力能力を駆使して、本当の幸せを見つけていく、悪の華のお話です‼︎(ドヤッと酔いしれリリアナ嬢)」
「再度言ってくださってありがとうございます。……リリアナ嬢は、それらの作品全部を覚えているということですか?(リリアナ嬢の熱意に圧倒されるパト殿下)」
「いかにも。……一言一句覚えていなければ、布教するときに大変ですからね。(超真面目リリアナ嬢)」
「ーーーーっ‼︎ わかりました。布教のためなら、暗記できるということですね。……では、次の質問にいきます。スピカに入団を志望した理由はなんですか?(布教だと⁉︎ もしマリア様が、リリアナ嬢に感化されたら、どうなってしまうんだ⁉︎ 内心、リリアナ嬢を警戒するパト殿下)」
「それは、パーフェクト悪役令嬢なマリア様と一緒に、本当の幸せを見つける為ですわ‼︎(ドヤッとリリアナ嬢)」
「はい、却下‼︎ マリア様は、僕といるだけで幸せなので、リリアナ嬢の入る隙はありませんよ‼︎(机をバシバシ叩いて威嚇するパト殿下)」
「……ふふふ、それはどうでしょう、パトリック殿下。……マリア様のご意見を聞いた方がよろしいのではありませんか?(謎の自信に満ち溢れているリリアナ嬢)」
「……? マリア様、……リリアナ嬢を不合格にしたいのですが、マリア様はどうお考えですか?(嫌な予感がしつつも、マリア嬢に尋ねるパト殿下)」
「もふ、……もふもっふふう‼︎(パトリック様……いえ、パト様のお気持ちは、なんとなくわかるのですが、リリアナ様は、とても良いお方です‼︎ 何故なら、待合室でお腹を空かせた私に、ランドットの美味しいワッフルを恵んでくださいましたからね‼︎ ……リリアナ様は、私の命の恩人であり、大事なお友達ですわ‼︎ パト様、……どうか、リリアナ様を合格にしてくださいまし‼︎ 迫真にせまるもふもふ)」
「(謎の冷気を発生させつつ)リリアナ嬢、……あなた、マリア様を餌付けしちゃいましたね⁉︎(超激おこパト殿下)」
「なんのことでしょう? 私とマリア様は、唯一無二の親友。パトリック殿下にはわからない、心と心で繋がっているのですわ。(とてつもなく悪役令嬢っぽいリリアナ嬢)」
「……許さない。……僕に無断で、マリア様に餌付けしたリリアナ嬢を、僕は、絶対に許さない。……リリアナ嬢のプライドを木っ端微塵のズタズタに砕いて、けちょんけちょんにして、いい感じの家に嫁がせてやるうー‼︎(かなりパニックになってるパト殿下)」
「……じゃあ、何処、リリアナ嬢に仕返ししないといけないから、リリアナ嬢も合格っと。(怒ったパト殿下がくっしゃくしゃにした『リリアナ嬢の履歴書』を、さりげなく確保して、『合格』ハンコをペッタンするサネユキ)」
「……僕、まだリリアナ嬢の合格に同意してないんだけど。(リリアナ嬢の履歴書にハンコを押してるサネユキを睨みつけるパト殿下)」
「まあまあ、……少しずつ、二人を離していけばいいではないか。……私も、手伝うから。(さりげなくリリアナ嬢に対して失礼なサネユキ)」
「……確かにそうだね。(ここで、大人気なくリリアナ嬢を不合格にしたら、マリア様が悲しんで、『パト様、だいきらい‼︎(うるうる)』って、なるかもしれない。……ここは、大人になって採用して、少しずつリリアナ嬢の異常さをマリア様に教えていこう。 リリアナ嬢に対して、もの凄く失礼なパト殿下)」
「もっふふう‼︎(リリアナ様、やりましたわね‼︎)」
「はい。麗しのマリア様のおかげですわ。(もの凄く酔いしれて、フラフラとマリア嬢に近づこうとするリリアナ嬢)」
「あっ、ダメダメ‼︎ リリアナ嬢は、合格なんで、一旦退席して、控え室に戻ってください‼︎ ……ノア、ご案内してあげて。(リリアナ嬢の暴挙を許さないパト殿下)」
「(小声で)クッ、覚えてなさい、パトリック殿下。……もふもふマリア様は、何処、私だけのもふもふになりますからね‼︎(ムキイイッとしつつも、言われた通りに出入り口へ向かうリリアナ嬢)」
「(扉を開けて)……リリアナ嬢、控え室まで、ご案内致します。(困惑しつつも、真面目に任務を遂行するノア)」
「宜しくお願い致しますわ。(少し寂しげリリアナ嬢)」
ーーリリアナ嬢とノアは、一旦退室した‼︎ーー
「……マリア様、……ここにいるみんなが全員、良い人とは限らないからね。……毒が仕込まれている可能性もあるんだから、僕がオッケーしたもの以外は食べちゃダメだよ。(ちゃんとマリア嬢に対して説明するパト殿下)」
「……もふ。(……それも、そうですわね。次からは、パト様にお伺いしてからにしますわ。 ちょっとシュンとしてるマリア嬢)」
「ちょっと窮屈かもしれないけど、マリア様の身の安全の為だからね。(もふもふの頭をモフモフするパト殿下)」
「……。(……いつの間にか、マリア様はもっふもふになるし、何故かランドットのご令嬢様もスピカ員になるし、……僕が居ない間に、何があったのーー⁉︎ あと、隊長も、人目を憚らずに僕への愛情表情が過激になってしまった‼︎ ……僕、ここで、やっていけるかなー? 困惑しつつ、色々悩んでるモブジョナサン)」
「……。(リリアナ様も、アクが濃ゆくて、未知のポテンシャルを秘めていらっしゃいますわね。さすがですわ、パトリック殿下‼︎ パト殿下の内心を知らない、純粋にリリアナ嬢を評価するど天然オリビア)」
「よしっ‼︎ ノアが帰ってきたら、三人目いくよ‼︎」
「「「「ラジャーー‼︎(もっふう‼︎)」」」」
ーー次のスピカ志望者は、一体⁉︎ーー
ーーここはフィックスド辺境伯家の会議室。ーー
ーー室内には面接官用長机が一つと椅子が四席分。ーー
ーー面接官用長机席には、パトリック殿下にサネユキと、紅一点オリビアが謎の書類と共にスタンバイしている。ーー
ーーそんでもって、何故かサネユキのお膝の上には、ジョナサンが居た。そんな面接官達を、なんとも言えない表情で、ノアが出入り口扉付近から直立して眺めている。ーー
「ノア、……面接志望者達の準備はできたかな?(謎の酔いしれた表情でノアに聞くパトリック殿下)」
「ああ、はい。……大丈夫です。(困惑ノア)」
「じゃあ、番号一番の方からお通しして‼︎(パト殿下)」
「はい。(扉を開けて)それでは、面接志望者番号第一番のお方をお通しします。マリア・ラーズベルト公爵令嬢様、どうぞお入りください。(もの凄く複雑な心境のノア)」
「もっふうー‼︎(失礼致しますわよ‼︎ 何やら、ご自身のお腹ポケットが、かなりふくらんでいる状態でポテポテ入室してきたゲソゲソマリア嬢)」
ーースピカ入団志望者一番、マリア・ラーズベルト。ーー
「はい、マリア様ね! そこの席に座ってください。(マリア嬢へ、面接官と対面しているぼっち席を促すパト殿下)」
「もふもっふうー‼︎(よろしくお願いしますわ‼︎)」
「じゃあ、お名前と、出身地と特技を教えてください。(何やら、レンズの入っていない黒縁の眼鏡をかけて、手元にある『マリア・ラーズベルトの履歴書』と書かれた用紙に目を通すパト殿下)」
「もふ、もふ、もっふふうー‼︎(マリア・ラーズベルト、トルネード王国首都出身、特技は、なんでも食べることと、周りの方々を恐怖の谷底に叩き落とすことですわ‼︎ ゲソゲソながらも、面接官殿下の要求に応えるマリア嬢)」
「はい、存在自体が合格‼︎ マリア様、こっち側に来てください‼︎(立ち上がって、マリア嬢の手を引き、元の席に戻って、マリア嬢を自身のお膝の上に座らせるパト殿下)」
「もっふふうー‼︎(魅力のスイーツと皆様と共に頑張りますわよ‼︎ もふもふマリア嬢)」
「安定のマリア嬢は、即決だな。(パトリック殿下から手渡された『マリア嬢の履歴書』に、『合格』ハンコをペッタンする真面目サネユキ)」
「あの、隊長、……僕、先輩の持ち場と変わってくるので、手を離してください。(何故か青ざめてるジョナサン)」
「……大丈夫だ。ノアには、ちゃんと言ってあるからな。心配しなくてよい。(何故か酔いしれた表情でジョナサンを背後から抱きしめるサネユキ)」
「……。(僕はどうすればいいんだ⁉︎ 困惑ジョナサン)」
「やっと、マリア様が正式にスピカの一員になられて、感慨深いですわね。(三人の面接官の中で一番まともだが、何故か酔いしれてるビア)」
「……。(いろいろツッコミたいことが多すぎて、何にも言えないよー。ただ、その中で一つだけ、聞きたいことがある。マリア様、『恐怖の谷底に叩き落とす』ってどういうことですか⁉︎ 一番の苦労人ノア)」
「マリア様は、昨日頑張りすぎてゲソゲソなんだから、遠慮せずにたくさん食べるんだよ。(ゲソゲソなもふもふのお腹をスリスリするパトリック殿下)」
「もっふもっふう‼︎(お言葉に甘えさせていただきますわ‼︎ ポケットの中から、保存パックされてるあん餅を取り出して、二つに割って、一つをパト殿下に渡してから残りをもふもふするマリア嬢)」
「マリアさま……。(感動に打ち震えるパト殿下)」
「……もふう。(あくまでこれは賄賂ですからね。 あん餅を齧りながらちょっと照れてるモフモフ)」
「ううう、……もぐもぐ、……美味しいね、マリア様。(泣きながらあん餅を食べてるパト殿下)」
「もっふもふう‼︎(ニホンのヤツですからね!)」
「……。(うん。いいけれど、マリア様が、パト殿下を制御してくれてとても助かるけれども、マリア様、……ここは、飲食禁止です‼︎ 一応、フィックスド辺境伯家当主ノア)」
「よしっ‼︎ 次の志望者いっちゃおう‼︎(やる気殿下)」
「もっふふうーー‼︎(いっちゃいましょー‼︎)」
「では次の方をお呼びしますね。(出入口扉を開けて)……リリアナ・ヘレン公爵令嬢様、どうぞお入りください。(なんとか心を落ち着けるノア)」
「……失礼致しますわ。(キリッとリリアナ嬢)」
ーースピカ入団志望者二番、リリアナ・ヘレン。ーー
「はい、スピカ入団面接へようこそ! そこの席に座ってください。(リリアナ嬢へ、面接官と対面している志望者席を促すパト殿下)」
「失礼致します。(完璧な所作で着席するリリアナ嬢)」
「それでは、お名前と、出身地と特技を教えてください。(手元にある『リリアナ・ヘレンの履歴書』と書かれた用紙を取り出すパト殿下)」
「名前はリリアナ・ヘレン、出身地はランドット王国首都某地、特技は、クリンゲル・ホームズ先生の小説を暗記することですわ‼︎(キリッとリリアナ嬢)」
「ほう。読書が趣味ってことですかね?(履歴書に書かれた『クリンゲル先生ラブ‼︎』を見て、困惑するパト殿下)」
「クリンゲル先生の作品だけに限ります‼︎」
「そうですか。この、クリンゲル・ホームズという作者は、昨日のミュージカル作品の原作者でもありますよね。僕以外の面接官のために、クリンゲル・ホームズという作者が、どのような内容の小説を書かれているのか、もう一度言ってもらってもいいですか?(ちょっとこだわりが強いな。 慎重にリリアナ嬢の素質を見極めようとするパト殿下)」
「主人公である『悪役令嬢』が、周囲から誹謗中傷を受けて、一度は追放されますが、己の類稀なる知力能力を駆使して、本当の幸せを見つけていく、悪の華のお話です‼︎(ドヤッと酔いしれリリアナ嬢)」
「再度言ってくださってありがとうございます。……リリアナ嬢は、それらの作品全部を覚えているということですか?(リリアナ嬢の熱意に圧倒されるパト殿下)」
「いかにも。……一言一句覚えていなければ、布教するときに大変ですからね。(超真面目リリアナ嬢)」
「ーーーーっ‼︎ わかりました。布教のためなら、暗記できるということですね。……では、次の質問にいきます。スピカに入団を志望した理由はなんですか?(布教だと⁉︎ もしマリア様が、リリアナ嬢に感化されたら、どうなってしまうんだ⁉︎ 内心、リリアナ嬢を警戒するパト殿下)」
「それは、パーフェクト悪役令嬢なマリア様と一緒に、本当の幸せを見つける為ですわ‼︎(ドヤッとリリアナ嬢)」
「はい、却下‼︎ マリア様は、僕といるだけで幸せなので、リリアナ嬢の入る隙はありませんよ‼︎(机をバシバシ叩いて威嚇するパト殿下)」
「……ふふふ、それはどうでしょう、パトリック殿下。……マリア様のご意見を聞いた方がよろしいのではありませんか?(謎の自信に満ち溢れているリリアナ嬢)」
「……? マリア様、……リリアナ嬢を不合格にしたいのですが、マリア様はどうお考えですか?(嫌な予感がしつつも、マリア嬢に尋ねるパト殿下)」
「もふ、……もふもっふふう‼︎(パトリック様……いえ、パト様のお気持ちは、なんとなくわかるのですが、リリアナ様は、とても良いお方です‼︎ 何故なら、待合室でお腹を空かせた私に、ランドットの美味しいワッフルを恵んでくださいましたからね‼︎ ……リリアナ様は、私の命の恩人であり、大事なお友達ですわ‼︎ パト様、……どうか、リリアナ様を合格にしてくださいまし‼︎ 迫真にせまるもふもふ)」
「(謎の冷気を発生させつつ)リリアナ嬢、……あなた、マリア様を餌付けしちゃいましたね⁉︎(超激おこパト殿下)」
「なんのことでしょう? 私とマリア様は、唯一無二の親友。パトリック殿下にはわからない、心と心で繋がっているのですわ。(とてつもなく悪役令嬢っぽいリリアナ嬢)」
「……許さない。……僕に無断で、マリア様に餌付けしたリリアナ嬢を、僕は、絶対に許さない。……リリアナ嬢のプライドを木っ端微塵のズタズタに砕いて、けちょんけちょんにして、いい感じの家に嫁がせてやるうー‼︎(かなりパニックになってるパト殿下)」
「……じゃあ、何処、リリアナ嬢に仕返ししないといけないから、リリアナ嬢も合格っと。(怒ったパト殿下がくっしゃくしゃにした『リリアナ嬢の履歴書』を、さりげなく確保して、『合格』ハンコをペッタンするサネユキ)」
「……僕、まだリリアナ嬢の合格に同意してないんだけど。(リリアナ嬢の履歴書にハンコを押してるサネユキを睨みつけるパト殿下)」
「まあまあ、……少しずつ、二人を離していけばいいではないか。……私も、手伝うから。(さりげなくリリアナ嬢に対して失礼なサネユキ)」
「……確かにそうだね。(ここで、大人気なくリリアナ嬢を不合格にしたら、マリア様が悲しんで、『パト様、だいきらい‼︎(うるうる)』って、なるかもしれない。……ここは、大人になって採用して、少しずつリリアナ嬢の異常さをマリア様に教えていこう。 リリアナ嬢に対して、もの凄く失礼なパト殿下)」
「もっふふう‼︎(リリアナ様、やりましたわね‼︎)」
「はい。麗しのマリア様のおかげですわ。(もの凄く酔いしれて、フラフラとマリア嬢に近づこうとするリリアナ嬢)」
「あっ、ダメダメ‼︎ リリアナ嬢は、合格なんで、一旦退席して、控え室に戻ってください‼︎ ……ノア、ご案内してあげて。(リリアナ嬢の暴挙を許さないパト殿下)」
「(小声で)クッ、覚えてなさい、パトリック殿下。……もふもふマリア様は、何処、私だけのもふもふになりますからね‼︎(ムキイイッとしつつも、言われた通りに出入り口へ向かうリリアナ嬢)」
「(扉を開けて)……リリアナ嬢、控え室まで、ご案内致します。(困惑しつつも、真面目に任務を遂行するノア)」
「宜しくお願い致しますわ。(少し寂しげリリアナ嬢)」
ーーリリアナ嬢とノアは、一旦退室した‼︎ーー
「……マリア様、……ここにいるみんなが全員、良い人とは限らないからね。……毒が仕込まれている可能性もあるんだから、僕がオッケーしたもの以外は食べちゃダメだよ。(ちゃんとマリア嬢に対して説明するパト殿下)」
「……もふ。(……それも、そうですわね。次からは、パト様にお伺いしてからにしますわ。 ちょっとシュンとしてるマリア嬢)」
「ちょっと窮屈かもしれないけど、マリア様の身の安全の為だからね。(もふもふの頭をモフモフするパト殿下)」
「……。(……いつの間にか、マリア様はもっふもふになるし、何故かランドットのご令嬢様もスピカ員になるし、……僕が居ない間に、何があったのーー⁉︎ あと、隊長も、人目を憚らずに僕への愛情表情が過激になってしまった‼︎ ……僕、ここで、やっていけるかなー? 困惑しつつ、色々悩んでるモブジョナサン)」
「……。(リリアナ様も、アクが濃ゆくて、未知のポテンシャルを秘めていらっしゃいますわね。さすがですわ、パトリック殿下‼︎ パト殿下の内心を知らない、純粋にリリアナ嬢を評価するど天然オリビア)」
「よしっ‼︎ ノアが帰ってきたら、三人目いくよ‼︎」
「「「「ラジャーー‼︎(もっふう‼︎)」」」」
ーー次のスピカ志望者は、一体⁉︎ーー
1
あなたにおすすめの小説
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる