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第二章 野間さんが好きです
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野間との生活は嘘のように穏やかで、愛未の心を少しずつ癒やしていく。
野間の勧めもあって、DV専門の病院でカウンセリングも受けた。
飯田は自分のためにいろいろ言ってくれているのだと思っていたが、あれは全部DVだったのだとそこで知った。
「おかえりなさい」
「ただいま帰りました」
帰ってきた野間が、軽く愛未の頭に触れる。
好きだと言うわりに、野間はそれ以上のことをしてこなかった。
あれからひと月ほどが過ぎようとしているが、いまだに寝るのは別だ。
ソファーだと疲れが取れないだろうからと言うが、好きでもない男と一緒のベッドは嫌だろうと承知しない。
「今日の晩ごはんも美味しそうですね」
「味は保証しませんよ」
着替えてきた野間が、うきうきとダイニングの椅子に座る。
愛未もごはんをよそった茶碗を置き、その前に座った。
「愛未さんが作ったってだけで、ごちそうだって言いましたよね?」
野間が愛未に向かって器用に片目をつぶってみせる。
それに心の中で苦笑いした。
「では。
いただきます」
「いただきます」
手を合わせ、ごはんを食べはじめる。
ここに来てからずっと野間が買ってきてくれる弁当か作ってくれる食事かだったが、最近では愛未が作るようになった。
「うん、美味しいです」
嬉しそうににこにこ笑いながら野間はごはんを食べている。
それを見ていたら、心が温かくなるのはなんでだろう。
食後は野間が淹れてくれたコーヒーをふたりで飲む。
「最近、表情が柔らかくなりましたね」
まるで眩しいものでも見るかのように、眼鏡の向こうで野間の目が細くなる。
「そう、ですか?」
自覚はないが、心は随分軽くなった。
この頃は少し、野間との生活が〝楽しい〟とすら感じることがある。
「だとしたら、野間さんのおかげです」
野間に出会わなければきっとまだ、飯田に虐げられたままだった。
あれを思い出すと今でも罪の意識に呵まれるが、それでも野間に飯田を殺してもらってよかったと思う。
「愛未さんが、笑った……!」
「えっ!?」
いきなり予告なしに、野間から抱きつかれて驚いた。
「もっとその可愛い笑顔を、みせてください」
大興奮の野間の両手が、愛未の顔を挟む。
自分が笑っているなんて自覚はないが、こんなに喜んでいる野間を見ていたら、嬉しくなった。
「うわっ、ほんとに可愛いな」
野間は今にもキスしそうな勢いで、さらに笑ってしまう。
「あー、もー、可愛すぎてキスしたいです」
レンズの向こうから愛未を見る野間の瞳は、艶に濡れている。
それ見て、心臓がとくんと甘く鼓動した。
「……いい、ですよ」
自分の口から出た肯定の返事に驚いた。
しかしこれは、自分の正直な気持ちだ。
「愛未……」
傾きながら野間の顔が近づいてきて、眼鏡の向こうで目が閉じられる。
愛未も目を閉じ、そのときを待った。
柔らかく温かいものが唇に触れて離れる。
ゆっくりと目を開け、互いに微笑みあった。
「野間さんが好き、です」
野間の勧めもあって、DV専門の病院でカウンセリングも受けた。
飯田は自分のためにいろいろ言ってくれているのだと思っていたが、あれは全部DVだったのだとそこで知った。
「おかえりなさい」
「ただいま帰りました」
帰ってきた野間が、軽く愛未の頭に触れる。
好きだと言うわりに、野間はそれ以上のことをしてこなかった。
あれからひと月ほどが過ぎようとしているが、いまだに寝るのは別だ。
ソファーだと疲れが取れないだろうからと言うが、好きでもない男と一緒のベッドは嫌だろうと承知しない。
「今日の晩ごはんも美味しそうですね」
「味は保証しませんよ」
着替えてきた野間が、うきうきとダイニングの椅子に座る。
愛未もごはんをよそった茶碗を置き、その前に座った。
「愛未さんが作ったってだけで、ごちそうだって言いましたよね?」
野間が愛未に向かって器用に片目をつぶってみせる。
それに心の中で苦笑いした。
「では。
いただきます」
「いただきます」
手を合わせ、ごはんを食べはじめる。
ここに来てからずっと野間が買ってきてくれる弁当か作ってくれる食事かだったが、最近では愛未が作るようになった。
「うん、美味しいです」
嬉しそうににこにこ笑いながら野間はごはんを食べている。
それを見ていたら、心が温かくなるのはなんでだろう。
食後は野間が淹れてくれたコーヒーをふたりで飲む。
「最近、表情が柔らかくなりましたね」
まるで眩しいものでも見るかのように、眼鏡の向こうで野間の目が細くなる。
「そう、ですか?」
自覚はないが、心は随分軽くなった。
この頃は少し、野間との生活が〝楽しい〟とすら感じることがある。
「だとしたら、野間さんのおかげです」
野間に出会わなければきっとまだ、飯田に虐げられたままだった。
あれを思い出すと今でも罪の意識に呵まれるが、それでも野間に飯田を殺してもらってよかったと思う。
「愛未さんが、笑った……!」
「えっ!?」
いきなり予告なしに、野間から抱きつかれて驚いた。
「もっとその可愛い笑顔を、みせてください」
大興奮の野間の両手が、愛未の顔を挟む。
自分が笑っているなんて自覚はないが、こんなに喜んでいる野間を見ていたら、嬉しくなった。
「うわっ、ほんとに可愛いな」
野間は今にもキスしそうな勢いで、さらに笑ってしまう。
「あー、もー、可愛すぎてキスしたいです」
レンズの向こうから愛未を見る野間の瞳は、艶に濡れている。
それ見て、心臓がとくんと甘く鼓動した。
「……いい、ですよ」
自分の口から出た肯定の返事に驚いた。
しかしこれは、自分の正直な気持ちだ。
「愛未……」
傾きながら野間の顔が近づいてきて、眼鏡の向こうで目が閉じられる。
愛未も目を閉じ、そのときを待った。
柔らかく温かいものが唇に触れて離れる。
ゆっくりと目を開け、互いに微笑みあった。
「野間さんが好き、です」
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