愛している、だから殺した。

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第三章 ふたりで歩む未来

3-3

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それから、放置してあった部屋を引き上げ、愛未は野間の部屋に引っ越した。
――さらに。

「野間……真人さん、お弁当!」

「ありがとうございます」

弁当の入ったバッグを受け取り、野間が愛未に口付けをする。

「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

手を振る野間の左手薬指にも、振り返す愛未の左手薬指にも、お揃いの指環が嵌まっている。
愛未の引っ越しと同時に、ふたりは籍を入れいた。

「さて、と」

家事を終わらせ、携帯を手にソファーに座る。
最近、愛未は就職活動をしていた。

野間はいわゆるエリート弁護士という奴らしく、稼ぎも多い。
なので、養っていけるから働かなくていいとは言われた。
けれど、それは嫌なのだ。
確かに、昔の愛未ならその言葉に従い、専業主婦に甘んじていただろう。
しかし、飯田の嘘がバレたとき、自分の弱さが嫌になった。
人生やり直したいと思ったけれど、飯田の存在がそれを邪魔していた。
でもそれは、野間が排除してくれた。
ならばこれはやり直すチャンスなのだ。

今までエントリーした先は、すべてお祈りメールだった。
めげそうだがぽちぽちとめぼしい先をさらにエントリーしていく。

「ああーっ、疲れた……」

作業を終え、ソファーの背に寄りかかり天井を仰ぐ。
そのまま、凝り固まった肩をほぐそうと首を左右に倒した。

空いた時間をただだらだら過ごすのももったいないので、就職に少しでも役立てようと資格取得の勉強をする。
今は、行政書士を狙っていた。
別に野間の仕事を手伝えたら、などとは考えてはいない。
これは罪滅ぼしなのだ。

その後、飯田の妻がどうしているかは知らない。
けれど、困っているのは確かだ。
そんなとききっと、行政書士なら様々な手続きで手助けができる。
飯田の妻は助けられないが、それでも似たような境遇の人の助けになれば少しくらい罪滅ぼしができるのではと、愛未は考えていた。

ちょうど集中が途切れた頃、携帯が鳴った。
画面を見ると野間からだ。

「はい」

『愛未?
今、仕事が終わりました。
これから帰ります』
「わかりました、ごはん作って待ってますね」

電話を切り、片付けをして立ち上がる。
メッセージを送ればいいのに、野間は必ず帰るコールは電話だ。
少しでも愛未の声を聞きたいらしい。
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