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第三章 ふたりで歩む未来
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そろそろ夕食ができあがるタイミングで、野間が帰ってきた。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
野間の唇が愛未の唇に触れる。
そんな些細な行為が幸せだと愛未は感じていた。
着替えてきた野間と向きあってごはんを食べる。
今日は野間が美味しそうだと言って買った、立派なホッケの干物があったのでそれをメインに。
あとは味噌汁と冷や奴、ほうれん草のおひたしにきんぴらレンコンだ。
「愛未の作るごはんはいつも、美味しいです」
上機嫌に野間は料理を食べている。
彼はいつも喜んでくれるので、作りがいがあった。
「就職活動のほうはどうです?」
「あー……」
長く発したまま愛未が止まる。
「……全然、です」
曖昧に笑い、食事を再開する。
新卒で入った前職では、職務経歴書に書けるほどのなにかをしていたわけではない。
さらに、退職の理由が病気だというのが再就職を困難にしていた。
「その。
正社員採用を諦めませんか」
「え?」
話し合いをして、納得してくれたのだと思っていた。
野間はまだ、愛未の就職に反対なのだろうか。
「あ、すみません!
言い方が悪かったです」
愛未が不機嫌になったのを感じ取ったのか、野間は慌てて謝ってきた。
「就職自体には賛成なんです。
外に出ていろいろな人に触れるのは刺激になりますから。
ただ、正社員に拘らなくても、派遣やパートでもいいんじゃないかな、……って」
ぽりぽりと申し訳なさそうに野間が頬を掻く。
それを見て、自分が早合点していたのを知った。
「でも……」
自立できる程度にはお金を稼ぎたい。
それが、愛未の目標だ。
今は野間に養われていても問題ないが、彼だっていつ何時なにがあるのかわからない。
それに――もし、飯田殺害が発覚したとき。
野間はきっと愛未を庇い、自分ひとりでやったと罪をかぶるだろう。
そのときは自分が、野間を支えたい。
いや、支えなければならない。
そのためにも、最低でも自立できるくらいは収入が欲しかった。
「愛未の考えていることはだいたいわかります。
今のままでも生活費に余裕はあるんです。
なら、派遣やパートでもすぐにかなりの額が貯まりますよ」
野間の言うとおりなのだろうか。
それに、派遣やパートなら採用条件は緩くなる。
今は正社員に固執せず、少しでもお金が稼げる方向で考えるほうが得策なのかもしれない。
「それに正社員だと、すぐに子供ができて先方を困らせるかもしれませんから」
下がってもいない眼鏡のブリッジを、野間が人差し指の先で押し上げる。
愛未も一気に、顔が熱を持っていった。
「えっ、あっ、……そぅ、ですね」
照れくさくて、声が裏返る。
でも愛未を殺したいと言っていた野間が、先のことを考えてくれていて嬉しくなった。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
野間の唇が愛未の唇に触れる。
そんな些細な行為が幸せだと愛未は感じていた。
着替えてきた野間と向きあってごはんを食べる。
今日は野間が美味しそうだと言って買った、立派なホッケの干物があったのでそれをメインに。
あとは味噌汁と冷や奴、ほうれん草のおひたしにきんぴらレンコンだ。
「愛未の作るごはんはいつも、美味しいです」
上機嫌に野間は料理を食べている。
彼はいつも喜んでくれるので、作りがいがあった。
「就職活動のほうはどうです?」
「あー……」
長く発したまま愛未が止まる。
「……全然、です」
曖昧に笑い、食事を再開する。
新卒で入った前職では、職務経歴書に書けるほどのなにかをしていたわけではない。
さらに、退職の理由が病気だというのが再就職を困難にしていた。
「その。
正社員採用を諦めませんか」
「え?」
話し合いをして、納得してくれたのだと思っていた。
野間はまだ、愛未の就職に反対なのだろうか。
「あ、すみません!
言い方が悪かったです」
愛未が不機嫌になったのを感じ取ったのか、野間は慌てて謝ってきた。
「就職自体には賛成なんです。
外に出ていろいろな人に触れるのは刺激になりますから。
ただ、正社員に拘らなくても、派遣やパートでもいいんじゃないかな、……って」
ぽりぽりと申し訳なさそうに野間が頬を掻く。
それを見て、自分が早合点していたのを知った。
「でも……」
自立できる程度にはお金を稼ぎたい。
それが、愛未の目標だ。
今は野間に養われていても問題ないが、彼だっていつ何時なにがあるのかわからない。
それに――もし、飯田殺害が発覚したとき。
野間はきっと愛未を庇い、自分ひとりでやったと罪をかぶるだろう。
そのときは自分が、野間を支えたい。
いや、支えなければならない。
そのためにも、最低でも自立できるくらいは収入が欲しかった。
「愛未の考えていることはだいたいわかります。
今のままでも生活費に余裕はあるんです。
なら、派遣やパートでもすぐにかなりの額が貯まりますよ」
野間の言うとおりなのだろうか。
それに、派遣やパートなら採用条件は緩くなる。
今は正社員に固執せず、少しでもお金が稼げる方向で考えるほうが得策なのかもしれない。
「それに正社員だと、すぐに子供ができて先方を困らせるかもしれませんから」
下がってもいない眼鏡のブリッジを、野間が人差し指の先で押し上げる。
愛未も一気に、顔が熱を持っていった。
「えっ、あっ、……そぅ、ですね」
照れくさくて、声が裏返る。
でも愛未を殺したいと言っていた野間が、先のことを考えてくれていて嬉しくなった。
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