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第7話 雪が溶けるときっと花が咲く
3.指切り
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「ごめん、朋香」
少し離れてベッド端に座り直すと、尚一郎はがっくりとうなだれた。
「ちょっとあたまに血が昇りすぎてた。
ごめんね、朋香」
こちらを窺う、泣き出しそうなその顔に、胸がずきんと痛んだ。
謝るのは尚一郎じゃない、……自分の方。
「お願いだから僕をひとりにしないで。
朋香が僕を好きになってくれなくたっていい。
でも、嫌いにならないで。
ひとりにしないで」
その寒そうな背中にそっとふれると、びくんと揺れた。
頬をつけて寄り添うと、とくんとくんと心臓の音が響く。
その音は心細そうで、心臓がぎゅうぎゅうと締め付けられる。
「ごめんなさい。
私は嘘をつきました。
尚一郎さんに内緒で、男の人と会ってました。
キスだってしました。
許して、なんて云えないけどっ……」
泣く資格なんてないのはわかってるのに、涙は勝手に流れていく。
こんなことならキスなんてしなければよかった。
尚一郎を傷つけるのが、こんなに苦しいなんて知らなかった。
でも、後悔しても遅い。
無かったことにしたくても、もうできない。
浮気されて傷ついてるのは尚一郎なのに、その顔を見ると自分が傷ついたみたいに胸がずきずきと痛む。
「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません、許してください……」
みっともなく、悪いことがバレて許しを乞う子供のようにわんわん泣いた。
尚一郎はさっきからずっと黙っている。
……もしかして、もしかしなくても離婚かな。
尚一郎が大事だと気付いた途端に別れるのはつらい。
でも、悪いのは自分だ。
「泣かないで、Mein Schatz」
振り返った尚一郎が、そっと両手で朋香の顔を挟んだ。
ちゅっ、ちゅっ、尚一郎の唇が、朋香の涙を拭っていく。
「反省、したんだろう?
なら、もう同じ過ちを繰り返さなきゃいい」
「……はい」
ちゅっ、額に口付けを落とすと、酷く落ち込んだままの朋香に尚一郎は困ったように笑っていた。
「じゃあ、約束をしようか」
「約束、ですか?」
首を傾げると、ふふっとおかしそうに笑った尚一郎がまた、ちゅっと口付けを落としてくる。
「そう、約束。
もう嘘はつきません、って。
日本では指切り?
するんだろう?」
差し出された小指に自分の小指を絡めると、なんだかおかしくてくすりと笑いが漏れる。
「えーっと、なんだっけ」
「指切りげんまん」
レンズの奥の碧い瞳と目が合うと、おかしそうにくすりと笑った。
「そうそう。
指切りげんまん、嘘ついたら……そうだな。
朋香を一生、檻に閉じこめて、僕だけしか見られないようにしてあげる」
にっこりと笑った尚一郎は瞳の奥がぜんぜん笑ってなく、……絶対に嘘はつかない。
そう、固く誓った朋香だった。
少し離れてベッド端に座り直すと、尚一郎はがっくりとうなだれた。
「ちょっとあたまに血が昇りすぎてた。
ごめんね、朋香」
こちらを窺う、泣き出しそうなその顔に、胸がずきんと痛んだ。
謝るのは尚一郎じゃない、……自分の方。
「お願いだから僕をひとりにしないで。
朋香が僕を好きになってくれなくたっていい。
でも、嫌いにならないで。
ひとりにしないで」
その寒そうな背中にそっとふれると、びくんと揺れた。
頬をつけて寄り添うと、とくんとくんと心臓の音が響く。
その音は心細そうで、心臓がぎゅうぎゅうと締め付けられる。
「ごめんなさい。
私は嘘をつきました。
尚一郎さんに内緒で、男の人と会ってました。
キスだってしました。
許して、なんて云えないけどっ……」
泣く資格なんてないのはわかってるのに、涙は勝手に流れていく。
こんなことならキスなんてしなければよかった。
尚一郎を傷つけるのが、こんなに苦しいなんて知らなかった。
でも、後悔しても遅い。
無かったことにしたくても、もうできない。
浮気されて傷ついてるのは尚一郎なのに、その顔を見ると自分が傷ついたみたいに胸がずきずきと痛む。
「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません、許してください……」
みっともなく、悪いことがバレて許しを乞う子供のようにわんわん泣いた。
尚一郎はさっきからずっと黙っている。
……もしかして、もしかしなくても離婚かな。
尚一郎が大事だと気付いた途端に別れるのはつらい。
でも、悪いのは自分だ。
「泣かないで、Mein Schatz」
振り返った尚一郎が、そっと両手で朋香の顔を挟んだ。
ちゅっ、ちゅっ、尚一郎の唇が、朋香の涙を拭っていく。
「反省、したんだろう?
なら、もう同じ過ちを繰り返さなきゃいい」
「……はい」
ちゅっ、額に口付けを落とすと、酷く落ち込んだままの朋香に尚一郎は困ったように笑っていた。
「じゃあ、約束をしようか」
「約束、ですか?」
首を傾げると、ふふっとおかしそうに笑った尚一郎がまた、ちゅっと口付けを落としてくる。
「そう、約束。
もう嘘はつきません、って。
日本では指切り?
するんだろう?」
差し出された小指に自分の小指を絡めると、なんだかおかしくてくすりと笑いが漏れる。
「えーっと、なんだっけ」
「指切りげんまん」
レンズの奥の碧い瞳と目が合うと、おかしそうにくすりと笑った。
「そうそう。
指切りげんまん、嘘ついたら……そうだな。
朋香を一生、檻に閉じこめて、僕だけしか見られないようにしてあげる」
にっこりと笑った尚一郎は瞳の奥がぜんぜん笑ってなく、……絶対に嘘はつかない。
そう、固く誓った朋香だった。
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