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第7章 自由になってできること
3.漸の副業のパートナー
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徒歩十分ほどのスーパーで買い物を済ませてくる。
「重かった……」
調味料も一式買ったので、さすがに重い。
ついでに、鍋やタッパも買ったから荷物は大きいし。
「さてと」
IHヒーターがひとつだけの狭いキッチンでの調理は大変そうだが、これも漸の生活向上のためだ。
頑張ろう。
――ピンポーン。
「はーい」
カレーの煮込みに入ったところで、インターフォンが鳴る。
出たら、ベッドの配達だった。
好きな場所に、と言われていたけどそこしか置く場所がないので窓際に設置してもらう。
「ベッドがあるだけで人間が生活するところ、って感じがするよね」
窓にはカーテンがかかり、来たときの「本当にここで生活できるの?」感はなくなった。
これで少し安心かな?
あとはできあがったカレーを小分けにして冷凍すれば、冷凍室もパンパンになるし。
「よし、ミッションクリア!」
次からは漸を、安心して東京へ送り出せそうだ。
夕方になって漸から、電話がかかってきた。
「えっと……。
恵比寿ってどこですか?」
あとで調べたらわかるかな、とか思っていたら、さらに漸から指示が出る。
『タクシー、使ってください。
その方が心配じゃないので』
わかったと返事をし、電話を切ったものの。
「まあ、その方が心配はないけど……」
でも漸は店を辞めるのだ。
いままでどおりのお金の使い方でいいのかな?
とはいえ、公共の交通機関を使って目的地へたどり着ける気がしないので、素直にタクシーを呼ぶ。
「えっと、恵比寿まで」
「はい」
漸に言われた場所を告げると、運転手はナビをセットして走りだした。
ぼーっと窓の外を見ていたが、どこだか全くわからない。
「やっぱり凄いな、東京って」
昔は憧れもあったが、いまは金沢の方がいいな。
「鹿乃子さん!」
タクシーを降りたところで漸が待っていた。
「よかった、ひとりでちゃんと来られるのか心配だったんです」
漸に促されて歩きだす。
マンションの前からタクシーに乗ったので、心配なんて無用ですが?
「連れはもう、先に店に入って待っていますので」
「そう、ですか」
ちらっ、と漸を見上げる。
さっきから道行く人の視線が、漸に集中していた。
「……鹿乃子さん?」
急に腕にしがみついた私を、漸が怪訝そうに見下ろす。
「……ムカつく。
漸は私のものなのにみんな、じろじろ見て」
「鹿乃子さん、可愛い」
身を屈めた漸が、私の唇にちゅっ、と口付けを落とす。
「大丈夫ですよ、私は可愛い鹿乃子さんだけのものですから」
漸の手が、ぎゅーっと私を抱き寄せた、これで機嫌がよくなっている私は、チョロいんだろうか。
「漸」
店に入ったら少し奥で、男性が手を上げた。
漸に連れられてそちらへ向かう。
「鹿乃子さん、紹介します。
私の副業のパートナー、立本一斗です。
一斗、私の妻になる、鹿乃子さんです」
「どうも、立本です」
私に手を差しだした彼の口もとから、眩しいくらいに白い歯がのぞく。
「初めまして、有坂鹿乃子です」
「お噂はかねがね」
握手をしながら立本さんはそんなことを言っているが、漸はどんな話をしているんだろう?
店は小洒落たイタリアンバルで、適当に漸……というか立本さんが料理を頼んでくれた。
「しっかし、漸が年下好みだったとは知らなかった」
ワインのグラスを笑いながら立本さんが傾ける。
彼は見るからに肉食系で漸とは系統が違うものの、負けず劣らずのイケメンだ。
顔面偏差値の高いふたりのおかげで、店の中でここだけ目立っている。
「別に年下好みというわけじゃありませんよ。
鹿乃子さんが最高に可愛いからです」
ふふっと笑い、漸がグラスを口に運ぶ。
立本さんは漸より年上に見えるが、漸は若く見えるので断定はできない。
「ふーん。
どんな女にも塩対応だったお前が、最高に可愛い、ね」
立本さんの視線が私へと向かう。
「……ま、確かに見た目は可愛いな」
「……」
見た目〝は〟って強調された。
まだ会って数分だから中身がわからないのは仕方ないが、ちょっと失礼じゃないかな。
「中身も可愛いですよ、鹿乃子さんは」
さりげなく、漸がフォローしてくれる。
「だって父に、漸は私の男だって啖呵を切ってくれるんですから」
ヒューッ、と立本さんが軽く口笛を吹いた。
「やるねぇ、あの親父さん相手に」
「でしょ?」
なんてふたりはくすくす笑っていて、頬が熱くなっていく。
しかもあれはまだ、思いだすと穴を掘って埋まりたくなる案件だけに。
「重かった……」
調味料も一式買ったので、さすがに重い。
ついでに、鍋やタッパも買ったから荷物は大きいし。
「さてと」
IHヒーターがひとつだけの狭いキッチンでの調理は大変そうだが、これも漸の生活向上のためだ。
頑張ろう。
――ピンポーン。
「はーい」
カレーの煮込みに入ったところで、インターフォンが鳴る。
出たら、ベッドの配達だった。
好きな場所に、と言われていたけどそこしか置く場所がないので窓際に設置してもらう。
「ベッドがあるだけで人間が生活するところ、って感じがするよね」
窓にはカーテンがかかり、来たときの「本当にここで生活できるの?」感はなくなった。
これで少し安心かな?
あとはできあがったカレーを小分けにして冷凍すれば、冷凍室もパンパンになるし。
「よし、ミッションクリア!」
次からは漸を、安心して東京へ送り出せそうだ。
夕方になって漸から、電話がかかってきた。
「えっと……。
恵比寿ってどこですか?」
あとで調べたらわかるかな、とか思っていたら、さらに漸から指示が出る。
『タクシー、使ってください。
その方が心配じゃないので』
わかったと返事をし、電話を切ったものの。
「まあ、その方が心配はないけど……」
でも漸は店を辞めるのだ。
いままでどおりのお金の使い方でいいのかな?
とはいえ、公共の交通機関を使って目的地へたどり着ける気がしないので、素直にタクシーを呼ぶ。
「えっと、恵比寿まで」
「はい」
漸に言われた場所を告げると、運転手はナビをセットして走りだした。
ぼーっと窓の外を見ていたが、どこだか全くわからない。
「やっぱり凄いな、東京って」
昔は憧れもあったが、いまは金沢の方がいいな。
「鹿乃子さん!」
タクシーを降りたところで漸が待っていた。
「よかった、ひとりでちゃんと来られるのか心配だったんです」
漸に促されて歩きだす。
マンションの前からタクシーに乗ったので、心配なんて無用ですが?
「連れはもう、先に店に入って待っていますので」
「そう、ですか」
ちらっ、と漸を見上げる。
さっきから道行く人の視線が、漸に集中していた。
「……鹿乃子さん?」
急に腕にしがみついた私を、漸が怪訝そうに見下ろす。
「……ムカつく。
漸は私のものなのにみんな、じろじろ見て」
「鹿乃子さん、可愛い」
身を屈めた漸が、私の唇にちゅっ、と口付けを落とす。
「大丈夫ですよ、私は可愛い鹿乃子さんだけのものですから」
漸の手が、ぎゅーっと私を抱き寄せた、これで機嫌がよくなっている私は、チョロいんだろうか。
「漸」
店に入ったら少し奥で、男性が手を上げた。
漸に連れられてそちらへ向かう。
「鹿乃子さん、紹介します。
私の副業のパートナー、立本一斗です。
一斗、私の妻になる、鹿乃子さんです」
「どうも、立本です」
私に手を差しだした彼の口もとから、眩しいくらいに白い歯がのぞく。
「初めまして、有坂鹿乃子です」
「お噂はかねがね」
握手をしながら立本さんはそんなことを言っているが、漸はどんな話をしているんだろう?
店は小洒落たイタリアンバルで、適当に漸……というか立本さんが料理を頼んでくれた。
「しっかし、漸が年下好みだったとは知らなかった」
ワインのグラスを笑いながら立本さんが傾ける。
彼は見るからに肉食系で漸とは系統が違うものの、負けず劣らずのイケメンだ。
顔面偏差値の高いふたりのおかげで、店の中でここだけ目立っている。
「別に年下好みというわけじゃありませんよ。
鹿乃子さんが最高に可愛いからです」
ふふっと笑い、漸がグラスを口に運ぶ。
立本さんは漸より年上に見えるが、漸は若く見えるので断定はできない。
「ふーん。
どんな女にも塩対応だったお前が、最高に可愛い、ね」
立本さんの視線が私へと向かう。
「……ま、確かに見た目は可愛いな」
「……」
見た目〝は〟って強調された。
まだ会って数分だから中身がわからないのは仕方ないが、ちょっと失礼じゃないかな。
「中身も可愛いですよ、鹿乃子さんは」
さりげなく、漸がフォローしてくれる。
「だって父に、漸は私の男だって啖呵を切ってくれるんですから」
ヒューッ、と立本さんが軽く口笛を吹いた。
「やるねぇ、あの親父さん相手に」
「でしょ?」
なんてふたりはくすくす笑っていて、頬が熱くなっていく。
しかもあれはまだ、思いだすと穴を掘って埋まりたくなる案件だけに。
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