39 / 59
第六章 身籠もり旅行
6-1
あれから予約を入れられ、強制的に病院へ行かされた。
綺麗な病院でちゃんと女性医師のところへしてくれているのが憎い。
「綺麗な子宮ですね」
エコーで確認してそう言われたときにはほっとしたものだ。
ストレスと冷えが原因じゃないかと、漢方を処方された。
高志と付き合っているときは無意識にずっとストレス下にあったし、ここ一ヶ月はさらに高いストレスがかかっている。
きっとそうだろうなと納得した。
「花音、おはよう」
「……おはようございます」
今日も海星さんが私をキスで起こしてくれる。
相変わらず彼は私に甘い。
でも、それに浸っていいのかわからない。
その三連休は海星さんに温泉旅行へ連れていかれた。
『たまには違う環境のほうが妊娠しやすいかもしれないだろ』
……らしい。
あと、プレ新婚旅行もかねているらしいけれど。
朝は遅めの時間に出た。
というか私が起きられない。
明日からそういう旅行に行くというのに、相変わらず海星さんが激しく求めてくるからだ。
「途中でお昼食べてゆっくり行けばちょうど、チェックインの時間くらいに着くと思う。
途中、なにかあったら気兼ねなく言ってくれ」
「わかりました、ありがとうございます」
今日はプライベートだからか車はSUVだ。
滑るように車は進んでいく。
海星さんは運転がとても上手だ。
急ブレーキとか急ハンドルとかよほどのことがなければ、ない。
無理な割り込み運転とか当然、しないし。
「寒くないか」
「大丈夫です」
私の生理痛の原因が冷えだとわかってからは、いろいろ気遣ってくれる。
冷え性に効くらしいといろいろ入浴剤も揃えてくれた。
よく淹れてくれるホットミルクも最近、生姜が追加された。
美味しくて好きだと言ったら気をよくしたのか毎晩、寝る前に淹れてくれるようになって、お気に入りだ。
途中、美味しいピザを堪能させてもらい、宿に着いたのはチェックインが始まる時間くらいだった。
「ここ、ですか?」
「ああ」
鬱蒼と木が生い茂る敷地内を車は進んでいく。
五分ほど走ってようやく、建物が見えた。
「凄い建物ですね」
「だろ?」
それは重文指定されていてもおかしくないほど、古くて立派な和建築の旅館だった。
しかしそこで車は止まらず、まだ進んでいく。
さらに五分ほど走り見えてきた、小さな家のような建物の横に海星さんは車を停めた。
「ようこそいらっしゃいました」
私たちが車を降りるのと同時に、中から宿の人らしき着物姿の女性が出てくる。
たぶん、女将だろう。
「よろしく頼むよ」
女将に案内されて中に入る。
部屋は広い座敷になっており、その向こうに日本庭園が見えた。
「離れなんだ」
そっと海星さんが教えてくれる。
調度はアンティーク調でお洒落だ。
庭側のガラス障子には部分的にステンドグラスがあしらってある。
ふすまにもモダンというのがぴったりな水彩画が描いてあり、大正時代にでもタイムスリップしたみたいだ。
「気に入ったか?」
無言でうんうんと頷いていた。
こんな素敵なお部屋が気に入らないはずがない。
「よかった」
嬉しそうに海星さんが笑い、私も嬉しくなった。
お部屋でチェックインを済ませる。
ウェルカムドリンクだとスパークリングの日本酒が、おまんじゅうと一緒に出された。
「おまんじゅう?」
意外な気がしながら口に運ぶ。
中は白あんだが、ほのかにチーズの香りがする。
それが甘口のスパークリング日本酒と、あう。
「意外とあうな」
海星さんも同意だったみたいで、感心していた。
「帰りに買って帰ろう」
「そうですね」
うちでもぜひ、楽しみたい。
綺麗な病院でちゃんと女性医師のところへしてくれているのが憎い。
「綺麗な子宮ですね」
エコーで確認してそう言われたときにはほっとしたものだ。
ストレスと冷えが原因じゃないかと、漢方を処方された。
高志と付き合っているときは無意識にずっとストレス下にあったし、ここ一ヶ月はさらに高いストレスがかかっている。
きっとそうだろうなと納得した。
「花音、おはよう」
「……おはようございます」
今日も海星さんが私をキスで起こしてくれる。
相変わらず彼は私に甘い。
でも、それに浸っていいのかわからない。
その三連休は海星さんに温泉旅行へ連れていかれた。
『たまには違う環境のほうが妊娠しやすいかもしれないだろ』
……らしい。
あと、プレ新婚旅行もかねているらしいけれど。
朝は遅めの時間に出た。
というか私が起きられない。
明日からそういう旅行に行くというのに、相変わらず海星さんが激しく求めてくるからだ。
「途中でお昼食べてゆっくり行けばちょうど、チェックインの時間くらいに着くと思う。
途中、なにかあったら気兼ねなく言ってくれ」
「わかりました、ありがとうございます」
今日はプライベートだからか車はSUVだ。
滑るように車は進んでいく。
海星さんは運転がとても上手だ。
急ブレーキとか急ハンドルとかよほどのことがなければ、ない。
無理な割り込み運転とか当然、しないし。
「寒くないか」
「大丈夫です」
私の生理痛の原因が冷えだとわかってからは、いろいろ気遣ってくれる。
冷え性に効くらしいといろいろ入浴剤も揃えてくれた。
よく淹れてくれるホットミルクも最近、生姜が追加された。
美味しくて好きだと言ったら気をよくしたのか毎晩、寝る前に淹れてくれるようになって、お気に入りだ。
途中、美味しいピザを堪能させてもらい、宿に着いたのはチェックインが始まる時間くらいだった。
「ここ、ですか?」
「ああ」
鬱蒼と木が生い茂る敷地内を車は進んでいく。
五分ほど走ってようやく、建物が見えた。
「凄い建物ですね」
「だろ?」
それは重文指定されていてもおかしくないほど、古くて立派な和建築の旅館だった。
しかしそこで車は止まらず、まだ進んでいく。
さらに五分ほど走り見えてきた、小さな家のような建物の横に海星さんは車を停めた。
「ようこそいらっしゃいました」
私たちが車を降りるのと同時に、中から宿の人らしき着物姿の女性が出てくる。
たぶん、女将だろう。
「よろしく頼むよ」
女将に案内されて中に入る。
部屋は広い座敷になっており、その向こうに日本庭園が見えた。
「離れなんだ」
そっと海星さんが教えてくれる。
調度はアンティーク調でお洒落だ。
庭側のガラス障子には部分的にステンドグラスがあしらってある。
ふすまにもモダンというのがぴったりな水彩画が描いてあり、大正時代にでもタイムスリップしたみたいだ。
「気に入ったか?」
無言でうんうんと頷いていた。
こんな素敵なお部屋が気に入らないはずがない。
「よかった」
嬉しそうに海星さんが笑い、私も嬉しくなった。
お部屋でチェックインを済ませる。
ウェルカムドリンクだとスパークリングの日本酒が、おまんじゅうと一緒に出された。
「おまんじゅう?」
意外な気がしながら口に運ぶ。
中は白あんだが、ほのかにチーズの香りがする。
それが甘口のスパークリング日本酒と、あう。
「意外とあうな」
海星さんも同意だったみたいで、感心していた。
「帰りに買って帰ろう」
「そうですね」
うちでもぜひ、楽しみたい。
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
契約書は婚姻届
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」
突然、降って湧いた結婚の話。
しかも、父親の工場と引き替えに。
「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」
突きつけられる契約書という名の婚姻届。
父親の工場を救えるのは自分ひとり。
「わかりました。
あなたと結婚します」
はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!?
若園朋香、26歳
ごくごく普通の、町工場の社長の娘
×
押部尚一郎、36歳
日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司
さらに
自分もグループ会社のひとつの社長
さらに
ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡
そして
極度の溺愛体質??
******
表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始