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高校時代
②@本屋(2)
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それから毎日のようにお兄さん、改め谷口さんと連絡を取るようになった。谷口さんと、好きな本や好きな作家さんなど、本のことをたくさんたくさん語り合っている。私とは好きな本のジャンルが違うようで、読んだことのない本をたくさん紹介してくれる。今まで本友達がいなかった私は、この時間がとても楽しかった。大好きな本を本が大好きな人と語り合うことができる。それがこんなに幸せなことだなんて初めて知った。そして、谷口さんの好きな本を知ると同時に谷口さん自身のことを知りたくなった。勇気を出して『何をしているのか』とか『どこら辺に住んでいるのか』などを聞いたけれど、『内緒』と言われてしまった。でも、そんなミステリアスなところも好き、と思いながら毎日楽しくメールをしていた。
そしてある冬の日。谷口さんから『一緒に本フェスティバルに行かない?』と連絡が来た。それは、毎年冬に私が住んでいるところの近くのデパートで開催されているものだ。持っているけれどもういらない本を持ち寄った人たちが指定の場所に置き、本が欲しい人たちがそこから欲しい本を無料で持って帰れる、というイベントなのだ。あまり手に入らない海外の本を買うこともできて、今年はどんなものがあるかな、といつも楽しみにしているイベントなのだ。私は毎年1人で行っていたけれど、本が好きな人と一緒に行けるなんていつもより楽しいんだろうな、それが好きな人となれば尚更! と思い、すぐに了承の返事を送ったのだった。
そして当日。5分前に集合場所に着いた私は谷口さんを見つけて、近寄るのを躊躇っていた。だって。
かっこ良すぎる!
いつもの本屋で見かける姿とは違う。なんか、すごく、かっこいい大人の人、って感じ。あの人とこれから一緒に行動するの? え、デートでは? そう思って、隣にいるのが私みたいな子供でいいのかな、とかぐるぐる考えていたら、
「何してるの?」
と谷口さんに声をかけられた。
「うわっ!」
「うわっ、ってひどいな」
「うっ、すみません」
「大丈夫? なんか難しそうな顔してたけど」
「あ、大丈夫です。かっこ良すぎるな、とか思ってました」
「え?」
「あ、いや、違くて」
「橋水さんも可愛ね。いつもとは雰囲気が違う」
そう言われて顔を真っ赤にした私は、口をぱくぱくさせることしかできなかった。
本フェスティバルはとても充実していた。知らなかった本、古本屋にもないような本、そういった本がたくさんあって、しかも無料とあって私はたくさんリュックに詰め込んだ。谷口さんも、目をキラキラさせて色々と悩みながら鞄に多くの本を入れて行っていた。そして、近くの本屋でもイベントに合わせて割引をしている、ということで2人でそこに向かい、新たに本を購入していった。
その後は2人でカフェに入った。「おすすめのカフェある?」と聞かれたのでここから近いバイト先のカフェを紹介した。そしたら
「ああ、夏頃から話題になっているよね。行ってみたかったんだ」
と言ってくれたので、一緒に行った。そうしたら松暮さんや山岸さんにからかわれた。「お、彼氏か?」って。もちろん、「違います!」と言ったけれど、2人はずっとニヤニヤしながらこちらを見てきた。谷口さんに申し訳なかったので謝ったら、
「気にしなくていいよ。わたわたしてる橋水さん面白いし」
と褒められているのかよく分からないお言葉をもらった。
そこで今日の本フェスティバルのことをはじめとして色々と本のことを語り合った。メールとは違い、会って話すのはいつもより楽しかった。谷口さんが楽しそう笑ったり、感動した本の話になったら少し涙目になったり。文字だけでは分からない谷口さんを知ることができてとても嬉しかった。楽しい時間を過ごした後、家まで送るよ、と言ってくれた。本当はもう少し一緒にいたかったけれど、谷口さんと一緒にいるところを兄に見つかったらなんと言われるか。すでに谷口さんのことを話したことがあったので、『お、好きな人とのデートは楽しかったですか?』とか言われて、私の気持ちをばらされそうだったのでお断りした。
そしてある冬の日。谷口さんから『一緒に本フェスティバルに行かない?』と連絡が来た。それは、毎年冬に私が住んでいるところの近くのデパートで開催されているものだ。持っているけれどもういらない本を持ち寄った人たちが指定の場所に置き、本が欲しい人たちがそこから欲しい本を無料で持って帰れる、というイベントなのだ。あまり手に入らない海外の本を買うこともできて、今年はどんなものがあるかな、といつも楽しみにしているイベントなのだ。私は毎年1人で行っていたけれど、本が好きな人と一緒に行けるなんていつもより楽しいんだろうな、それが好きな人となれば尚更! と思い、すぐに了承の返事を送ったのだった。
そして当日。5分前に集合場所に着いた私は谷口さんを見つけて、近寄るのを躊躇っていた。だって。
かっこ良すぎる!
いつもの本屋で見かける姿とは違う。なんか、すごく、かっこいい大人の人、って感じ。あの人とこれから一緒に行動するの? え、デートでは? そう思って、隣にいるのが私みたいな子供でいいのかな、とかぐるぐる考えていたら、
「何してるの?」
と谷口さんに声をかけられた。
「うわっ!」
「うわっ、ってひどいな」
「うっ、すみません」
「大丈夫? なんか難しそうな顔してたけど」
「あ、大丈夫です。かっこ良すぎるな、とか思ってました」
「え?」
「あ、いや、違くて」
「橋水さんも可愛ね。いつもとは雰囲気が違う」
そう言われて顔を真っ赤にした私は、口をぱくぱくさせることしかできなかった。
本フェスティバルはとても充実していた。知らなかった本、古本屋にもないような本、そういった本がたくさんあって、しかも無料とあって私はたくさんリュックに詰め込んだ。谷口さんも、目をキラキラさせて色々と悩みながら鞄に多くの本を入れて行っていた。そして、近くの本屋でもイベントに合わせて割引をしている、ということで2人でそこに向かい、新たに本を購入していった。
その後は2人でカフェに入った。「おすすめのカフェある?」と聞かれたのでここから近いバイト先のカフェを紹介した。そしたら
「ああ、夏頃から話題になっているよね。行ってみたかったんだ」
と言ってくれたので、一緒に行った。そうしたら松暮さんや山岸さんにからかわれた。「お、彼氏か?」って。もちろん、「違います!」と言ったけれど、2人はずっとニヤニヤしながらこちらを見てきた。谷口さんに申し訳なかったので謝ったら、
「気にしなくていいよ。わたわたしてる橋水さん面白いし」
と褒められているのかよく分からないお言葉をもらった。
そこで今日の本フェスティバルのことをはじめとして色々と本のことを語り合った。メールとは違い、会って話すのはいつもより楽しかった。谷口さんが楽しそう笑ったり、感動した本の話になったら少し涙目になったり。文字だけでは分からない谷口さんを知ることができてとても嬉しかった。楽しい時間を過ごした後、家まで送るよ、と言ってくれた。本当はもう少し一緒にいたかったけれど、谷口さんと一緒にいるところを兄に見つかったらなんと言われるか。すでに谷口さんのことを話したことがあったので、『お、好きな人とのデートは楽しかったですか?』とか言われて、私の気持ちをばらされそうだったのでお断りした。
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