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高校時代
③@カフェ(1)
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「ねえねえ、聞いて!」
カフェが忙しくなる前の5月。私は白川くんにこの前出会ったイケメンのことを話そうと思っていた。白川くんは、私の家族の話、学校の話、本の話など、私が話すこと全てを聞いてくれる。「良かったな」、「へえ、すごいじゃん」という風に毎回反応を返してくれるので、ついついたくさん話してしまうのだ。そして今回は初めて恋バナをした。男子に恋のことを話すのは初めてなので少し緊張したけれど、彼ならバカにしたりしないだろうし、私の話に付き合ってくれると思った。
「何?」
「あのね、好きな人できた!」
「……。ふーん」
なんか少しショックを受けたような顔をしているような?
「ショック?」
「……んなわけない」
「今の間は何?」
「恋バナは初めてだな、と思っただけ」
「そうなんだよ! 初恋なんだよ!」
そして白川くんの横の椅子に移って続きを話し始めた。
「あのね、その人大学生くらいかな、多分少し年上なんだけど。この前遠くの古本屋さんに行った時に見かけてさ! すっごくかっこよかったの!」
「へえ」
「もうね、王子様!」
「言い過ぎだろ」
「言い過ぎじゃないもん。私の学校に王子って言われている人いるんだけどさ、その人より絶対の絶対に王子!」
「ああ、あの人」
「ん? あれ、写真見せたことあったっけ?」
「ん? いや、なんでもない」
「そう」
なんか白川くんの顔が少し暗くなった、気がする。でも、すぐに元の表情に戻ったのでホッとした。
「まるで王子様! 私、お姫様になった方がいいかな?」
「もう姫だと思うよ」
「え、ほんと? 照れるなー」
「感情表現豊かだしいつも幸せそうに笑ってるしな」
「うれしーわ。そんな風に思ってたんだね」
「でも、たまに何もないところでこけたりしてるし、言葉遣いがよろしくないところあるから、やっぱり姫ではないか」
「ちょっと! 上げてから下げないでよ! せっかく褒めてもらって嬉しかったのに」
悲しくなって下を向いていたら、こんな言葉が降ってきた。
「まあ無理に姫になろうとしなくてもいいんじゃね」
「私には無理だよって言いたいの?」
「ちげえ」
「じゃあなに」
「好きな人のことを考えて幸せになっている。その姿がもう姫なんじゃねえの」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「ふふ。白川くんて、素敵なこと言うね」
「……忘れろ」
「えー、なんで」
「柄じゃねえ」
「まあまあいいじゃない」
白川くんの肩をポンポンと叩いていたらお客さんが来たので、話を切り上げて彼らを迎えた。
そしてカフェが落ち着いて少し経った秋の日。私は休憩室で白川くんにこんなことを話していた。
「明日ね、あの古本屋さんに行くんだ!」
「あの古本屋?」
「そう。あのイケメンお兄さんと出会ったところ」
「ふーん」
「また会えるかなあ」
そう言いながらお兄さんのことを思い出していたら、隣から大きなため息が聞こえてきた。
「なんか、ストーカーみたいだな」
「な! 違うし、目的は本だし!」
「はいはい」
「ストーカーじゃないからね!」
「それを判断するのはお兄さんだろ」
「ぐっ、そうだけれども。でも家知らないし名前も知らないもんね!」
「そうかよ」
「そうそう」
その後は休憩が終わるまで、私がどれだけお兄さんに会えるのかを楽しみにしているのかを語って聞かせていた。
カフェが忙しくなる前の5月。私は白川くんにこの前出会ったイケメンのことを話そうと思っていた。白川くんは、私の家族の話、学校の話、本の話など、私が話すこと全てを聞いてくれる。「良かったな」、「へえ、すごいじゃん」という風に毎回反応を返してくれるので、ついついたくさん話してしまうのだ。そして今回は初めて恋バナをした。男子に恋のことを話すのは初めてなので少し緊張したけれど、彼ならバカにしたりしないだろうし、私の話に付き合ってくれると思った。
「何?」
「あのね、好きな人できた!」
「……。ふーん」
なんか少しショックを受けたような顔をしているような?
「ショック?」
「……んなわけない」
「今の間は何?」
「恋バナは初めてだな、と思っただけ」
「そうなんだよ! 初恋なんだよ!」
そして白川くんの横の椅子に移って続きを話し始めた。
「あのね、その人大学生くらいかな、多分少し年上なんだけど。この前遠くの古本屋さんに行った時に見かけてさ! すっごくかっこよかったの!」
「へえ」
「もうね、王子様!」
「言い過ぎだろ」
「言い過ぎじゃないもん。私の学校に王子って言われている人いるんだけどさ、その人より絶対の絶対に王子!」
「ああ、あの人」
「ん? あれ、写真見せたことあったっけ?」
「ん? いや、なんでもない」
「そう」
なんか白川くんの顔が少し暗くなった、気がする。でも、すぐに元の表情に戻ったのでホッとした。
「まるで王子様! 私、お姫様になった方がいいかな?」
「もう姫だと思うよ」
「え、ほんと? 照れるなー」
「感情表現豊かだしいつも幸せそうに笑ってるしな」
「うれしーわ。そんな風に思ってたんだね」
「でも、たまに何もないところでこけたりしてるし、言葉遣いがよろしくないところあるから、やっぱり姫ではないか」
「ちょっと! 上げてから下げないでよ! せっかく褒めてもらって嬉しかったのに」
悲しくなって下を向いていたら、こんな言葉が降ってきた。
「まあ無理に姫になろうとしなくてもいいんじゃね」
「私には無理だよって言いたいの?」
「ちげえ」
「じゃあなに」
「好きな人のことを考えて幸せになっている。その姿がもう姫なんじゃねえの」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「ふふ。白川くんて、素敵なこと言うね」
「……忘れろ」
「えー、なんで」
「柄じゃねえ」
「まあまあいいじゃない」
白川くんの肩をポンポンと叩いていたらお客さんが来たので、話を切り上げて彼らを迎えた。
そしてカフェが落ち着いて少し経った秋の日。私は休憩室で白川くんにこんなことを話していた。
「明日ね、あの古本屋さんに行くんだ!」
「あの古本屋?」
「そう。あのイケメンお兄さんと出会ったところ」
「ふーん」
「また会えるかなあ」
そう言いながらお兄さんのことを思い出していたら、隣から大きなため息が聞こえてきた。
「なんか、ストーカーみたいだな」
「な! 違うし、目的は本だし!」
「はいはい」
「ストーカーじゃないからね!」
「それを判断するのはお兄さんだろ」
「ぐっ、そうだけれども。でも家知らないし名前も知らないもんね!」
「そうかよ」
「そうそう」
その後は休憩が終わるまで、私がどれだけお兄さんに会えるのかを楽しみにしているのかを語って聞かせていた。
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