魔銃士(ガンナー)とフェンリル ~最強殺し屋が異世界転移して冒険者ライフを満喫します~

三田村優希

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第一章 イニティウム王国

第31話 魔銃士、領主の暗殺未遂事件に巻き込まれる・11

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 警戒は最大級に、しかし適度に気を抜きつつ俺たちは無事に伯爵の屋敷に着いた。馬車から素早く騎士団長のアンドルーが飛び出て、反対側からエドたち銀の翼メンバーが出て警戒に当たる。騎士団たちも屋敷周辺に異常はないか警戒を怠らない。ルチアからの情報では悪意は感じられないとのことなので、俺は警戒レベルを落として皆の元へ行く。

「お帰りなさいませ、旦那様」

 執事以下複数のメイドが二手に分かれ、頭を下げていく。俺はメイドたちに怪しい人物が紛れ込んでいないか一瞥していく。紛れ込む奴は一般人を装うとしすぎて却って不自然な空気を醸し出すことがある。しかし俺の長年の感覚にもルチアの嗅覚にも引っかからないので、使用人たちは本物なんだろう。執事のじいさんとメイド長らしき中年の女性が伯爵に歩み寄ってくる。

「ジェレミー、ジャクリーン。彼らは冒険者ギルドから護衛クエストを受けてくれた銀の翼だ」

 伯爵はそこで振り返ると俺を見つけ、足早に近付いてきた。

「君が異世界渡りの者か。馬車にいなかったので名前を聞いていなかったな、ええと」
「申し遅れました、銀の翼メンバーで魔銃士ガンナーのソーです。そしてこちらが相棒のルチアです」
「これは神獣フェンリル様!」

 ケルアイユ辺境伯はすぐさま片膝をつきこうべを垂れた。すると執事のジェレミーとメイド長のジャクリーンも片膝をついて頭を垂れた、メイドたちも同様に。

「馬車の中でお噂は伺っておりましたが、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。わたしはトレースの都をはじめとするこの地域を統轄しております、アルフレッド=ケルアイユ伯爵でございます」
『堅苦しい挨拶はやめよ。我の主はソーだ、主がそなたの警護任務を引き受けた故に来たまでのこと。立つが良い伯爵。そなたがそのような格好でおると下々も土埃がつく』

 伯爵が立ちあがると倣うように皆が立ちあがり、頭だけ下げている。ルチアは体高約二メートルの大きさに縮むと、さりげなく俺の後ろにさがる。威厳を出したはいいが基本的に甘えっ子で、俺の後ろにいるのが好きな子だから。

――ソー、ボクもう疲れた。姿を消していたい。
――我がままを言うんじゃない。そういうことは伯爵に直に言うか、エドかアンドルー団長に言うんだな。
――ソーも一緒にいてくれるよね?
――勿論だよ。

『伯爵、我は上位古代語魔術ハイ・エインシェント・マジックにより姿を消すことが出来る。我と主の姿が見えなくとも、ちゃんと警護をしていると心得よ』
「ははっ、光栄でございますフェンリル様」

 それから俺たちは三室のゲストルームを与えられ、寝食は基本的にそのゲストルームですることになった。伯爵の私室は屋敷の最奥にあり、騎士団長のアンドルーと副団長のカーティスが真横と向かいの部屋にいる。俺たちのゲストルームは屋敷の入り口付近に集中しており、早い話、不法侵入者が来たら最前線で食い止めろって言う立ち位置って訳ね。所詮、冒険者なんてそういう立ち位置なのかな。使い勝手の良い捨て駒という意味で。

 ルチアの嗅覚と聴覚を誤魔化すことは出来ないし、アガサの張った罠も巧妙に仕組まれている。

 さて、敵はどういう動きに出るかな。ちょっと楽しみになってきた。
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