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第一章 イニティウム王国
第32話 魔銃士、領主の暗殺未遂事件に巻き込まれる・12
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一ヶ月は何の動きもなかった。
定期的に冒険者ギルドから連絡員が来て、伯爵の安全を確認していた。
そして魔の手が、来た。
――ソー、悪意の塊が来る! 十、二十……とにかく複数だ!
――今すぐエドたちに報せる、屋敷全体に部外者が入り込めない結界を頼む!
俺の指示にすぐさまルチアは物理および魔法防御の結界を張り巡らし、破ろうとしようものなら強烈なカウンターを喰らう羽目になる。俺はエドの部屋の扉を決められた回数のノックをし、緊急事態を告げる。ついでアンドルーさんの部屋も同様に。彼らはすぐさま警戒レベルを最大にし、護衛騎士団たちは屋敷の周囲を厳重に固め蟻一匹通さないほどの、堅牢な警戒網を敷く。
――ソー、強力な魔法使いがいる。ボクの結界なら大丈夫だけど強力な悪意はこの集団の中にはいなさそうだよ。
――悪いが親玉の位置を探ってくれないか? 俺たちは伯爵を逃がしつつ敵を殲滅する。
――判ったよ。屋敷内にいれば伯爵は絶対に無事だから、そこは絶対に守って欲しい。
――アンドルーさんもその辺は理解しているさ。
俺は魔銃のシリンダーを紫に合わせ、闇魔法を放てる準備をしておく。エイミーに使用したときは塩酸だったが、今回は集団でお出ましのようだからここはひとつ罠を張っておくかな。ルチアの結界外に出ると、踏むと身体が石化していく泥地のトラップエリアを仕込んだ。
もっとも俺は意地悪なので、完全に石化させない。辛うじて動けるが動いたら石化した部分は砕け散り、どんな治癒魔法を駆使しても再生出来ないオマケつき。
当然気付く奴らは地面に浄化魔法をかけて攻めてこようとするわけだが、そこはアガサが仕掛けたトラップがある。一見すると屋敷の塀は平らに見えるが、そこには一定の重量がかかると瞬時に崩れ、中に仕込まれた槍がお出迎えしてくれる。伯爵はこのアガサのアイデアをいたく気に入り、喜んで屋敷を囲う塀を突貫工事で改修して槍を隙間なく仕込んでくれたよ。
それを乗り越えてきたら、銀の翼と一騎当千の護衛騎士団がお出迎え。ルチアもいるし、伯爵は安心して私室でアンドルーさんとカーティスさん、そして選り抜きの部下数人に守られていてくれ。さて、俺も暗殺者としての能力を発揮して迎撃しますかな。俺とアガサのトラップで総勢五十名の刺客は半数ほどに減り、それでも攻めてくる奴らがいる。
アンドルーさんの元で鍛えられた護衛騎士団の皆さんは剣術槍術弓術魔術ともに一流で、刺客たちとの実力は歴然。あちこちで金属の打ち合う音や魔法がはぜる音が響く。すべてルチアの結界外なんで屋敷には一切影響なし。屍が転がっていく中、騎士団の団長代理を任された騎士が敵のリーダー格らしき者を捕らえることに成功した。すぐさま魔法を封じる手枷足枷をつけられ、ルチアによる麻痺の咆哮を受けて転がされている。
「団長に報告してきますので、この男を見張って頂けませんか」
「あーいいよいいよ。お役目お疲れさん」
俺の言葉にその責任者代理は大急ぎで屋敷の奥へ走っていく。ルチアが不可視の結界を解除し姿を現すと、リーダー格もまだ抵抗していた刺客たちもこぞって硬直した。
「神獣だ、神獣フェンリルだ」
「ヤバい、死んだな」
「母ちゃん……おれ生きて田舎に帰れそうにない」
あちこちで滅多に姿を拝むことの出来ない神獣フェンリルの姿を見た彼らは、恐怖を抱えてすぐさま武器を手放し騎士団の皆様たちに拘束されていった。ケルアイユ辺境伯は念のために私室に残り、アンドルーさんとその部下数名が護衛のために傍に付き添い、カーチスさんが自分の部下と共にやってきた。
「お手柄ですねソーさん。みなも良くやった、感謝するぞ」
騎士団のみなさんが敬礼をする。エドたちもこちらにやってきた。多少手傷を負ってはいるが、それほど深傷ではないが治癒魔法をかけておく。
「騎士の皆さんも治癒魔法をかけますんで、軽傷でも名乗り出て下さいねー」
俺がそう呼びかけると十数名が出てきた。結構な出血をしている騎士、かすり傷程度の騎士と傷の程度は様々だが、きちんと治しておかないと破傷風が怖いからな。エドたちを助けたときのように、傷ついた筋組織や神経や血管の損傷も治すイメージを描きつつ回復魔法をかける。あっという間に怪我が治った騎士たちは、感謝の言葉をかけてくれる。犯人たちを雇った黒幕は誰かな。その辺の尋問は伯爵の領分だ、俺たちの依頼されたことは伯爵の暗殺を未遂に防ぐこと、だもんな。あとのことは伯爵の仕事だ。
定期的に冒険者ギルドから連絡員が来て、伯爵の安全を確認していた。
そして魔の手が、来た。
――ソー、悪意の塊が来る! 十、二十……とにかく複数だ!
――今すぐエドたちに報せる、屋敷全体に部外者が入り込めない結界を頼む!
俺の指示にすぐさまルチアは物理および魔法防御の結界を張り巡らし、破ろうとしようものなら強烈なカウンターを喰らう羽目になる。俺はエドの部屋の扉を決められた回数のノックをし、緊急事態を告げる。ついでアンドルーさんの部屋も同様に。彼らはすぐさま警戒レベルを最大にし、護衛騎士団たちは屋敷の周囲を厳重に固め蟻一匹通さないほどの、堅牢な警戒網を敷く。
――ソー、強力な魔法使いがいる。ボクの結界なら大丈夫だけど強力な悪意はこの集団の中にはいなさそうだよ。
――悪いが親玉の位置を探ってくれないか? 俺たちは伯爵を逃がしつつ敵を殲滅する。
――判ったよ。屋敷内にいれば伯爵は絶対に無事だから、そこは絶対に守って欲しい。
――アンドルーさんもその辺は理解しているさ。
俺は魔銃のシリンダーを紫に合わせ、闇魔法を放てる準備をしておく。エイミーに使用したときは塩酸だったが、今回は集団でお出ましのようだからここはひとつ罠を張っておくかな。ルチアの結界外に出ると、踏むと身体が石化していく泥地のトラップエリアを仕込んだ。
もっとも俺は意地悪なので、完全に石化させない。辛うじて動けるが動いたら石化した部分は砕け散り、どんな治癒魔法を駆使しても再生出来ないオマケつき。
当然気付く奴らは地面に浄化魔法をかけて攻めてこようとするわけだが、そこはアガサが仕掛けたトラップがある。一見すると屋敷の塀は平らに見えるが、そこには一定の重量がかかると瞬時に崩れ、中に仕込まれた槍がお出迎えしてくれる。伯爵はこのアガサのアイデアをいたく気に入り、喜んで屋敷を囲う塀を突貫工事で改修して槍を隙間なく仕込んでくれたよ。
それを乗り越えてきたら、銀の翼と一騎当千の護衛騎士団がお出迎え。ルチアもいるし、伯爵は安心して私室でアンドルーさんとカーティスさん、そして選り抜きの部下数人に守られていてくれ。さて、俺も暗殺者としての能力を発揮して迎撃しますかな。俺とアガサのトラップで総勢五十名の刺客は半数ほどに減り、それでも攻めてくる奴らがいる。
アンドルーさんの元で鍛えられた護衛騎士団の皆さんは剣術槍術弓術魔術ともに一流で、刺客たちとの実力は歴然。あちこちで金属の打ち合う音や魔法がはぜる音が響く。すべてルチアの結界外なんで屋敷には一切影響なし。屍が転がっていく中、騎士団の団長代理を任された騎士が敵のリーダー格らしき者を捕らえることに成功した。すぐさま魔法を封じる手枷足枷をつけられ、ルチアによる麻痺の咆哮を受けて転がされている。
「団長に報告してきますので、この男を見張って頂けませんか」
「あーいいよいいよ。お役目お疲れさん」
俺の言葉にその責任者代理は大急ぎで屋敷の奥へ走っていく。ルチアが不可視の結界を解除し姿を現すと、リーダー格もまだ抵抗していた刺客たちもこぞって硬直した。
「神獣だ、神獣フェンリルだ」
「ヤバい、死んだな」
「母ちゃん……おれ生きて田舎に帰れそうにない」
あちこちで滅多に姿を拝むことの出来ない神獣フェンリルの姿を見た彼らは、恐怖を抱えてすぐさま武器を手放し騎士団の皆様たちに拘束されていった。ケルアイユ辺境伯は念のために私室に残り、アンドルーさんとその部下数名が護衛のために傍に付き添い、カーチスさんが自分の部下と共にやってきた。
「お手柄ですねソーさん。みなも良くやった、感謝するぞ」
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「騎士の皆さんも治癒魔法をかけますんで、軽傷でも名乗り出て下さいねー」
俺がそう呼びかけると十数名が出てきた。結構な出血をしている騎士、かすり傷程度の騎士と傷の程度は様々だが、きちんと治しておかないと破傷風が怖いからな。エドたちを助けたときのように、傷ついた筋組織や神経や血管の損傷も治すイメージを描きつつ回復魔法をかける。あっという間に怪我が治った騎士たちは、感謝の言葉をかけてくれる。犯人たちを雇った黒幕は誰かな。その辺の尋問は伯爵の領分だ、俺たちの依頼されたことは伯爵の暗殺を未遂に防ぐこと、だもんな。あとのことは伯爵の仕事だ。
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