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2 奴隷
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翌朝、寒くて目が覚めた。
空はまだ薄暗かったが、足裏の腫れも退いていたので歩き始めた。
陽が天頂に達した頃だった。
目の前に高い崖が聳えており、行き止まりになっていた。
急流はその壁の根元の割れ目に飲み込まれて消えている。
しばらく途方に暮れていたが、微かな踏み跡を右岸に発見した。
その踏み跡を辿って行くと、岩の背後に洞穴が隠れており、奥に明りが見える。
杖を頼りに足下を確認して進んで行くと蔦に覆われた出口があった。
蔦を掻き分けて抜けると、そこには荷車や人が行き交う広い石畳の街道が開けていた。
突然現れた僕に驚いたのだろう、周囲の人達は背後に手を回して身構えている。
僕がバックから地図を取り出して方向の確認を始めたら、安心したように歩き始めた。
荷車を曳いているのは牛の様な、馬の様な、鹿の様な、小さな角が生えた生き物だった。
道を歩く人達は、籠手や脛当てや木や革の胴巻きを身に付けて武装しており、腰の背後に山刀を下げている。
西欧風の白人種で、髪の色は白や銀、薄青や薄赤、薄紫や薄茶等の淡い色、目は青や紫や緑、身長は僕と同じくらくらの一メートル七十五センチ前後、華奢な感じで、僕の様に太っている者は見当たらない。
人の流れに乗って暫く歩くと、遠くに高い町の木塀が見えて来た。
門は武装した警備兵で護られており、町に入る荷車が検閲を受けるために並んでいる。
門の両脇には、塀を支えにしたバラックが立ち並び、商人が店を営んでいる。
テントが並んだ一画もあり、大勢の人で賑わっていた。
町に入る人達は首から下げたプレートを守備兵に示して入る。
プレートの無い者は、門脇の詰所に連れて行かれていた。
ドキドキしたが、骸骨から頂いたプレートを示したら、すんなり通過できた。
門の内側は広場になっており、露店を広げた商人が軒を連ねて市が形成されていた。
この世界の物価を知ろうと見て回っていたら、天幕に囲まれた場所で競りが行われているのを発見した。
三十三年間生きて来てこんなに嬉しかった事はない。
興奮で射精しそうだった。
奴隷が競りに掛けられていたのだ。
しかも十二歳くらいの女の子だ。
客に売り物が良く見える様にするための配慮か、上半身は細い布を胸に一枚巻いただけで、下半身は細い褌姿でほぼ全裸に近い。
昼の明るい陽光の下、競り台の上で頭の後ろに手を組ませて立たされている。
未熟な体躯の少女の首に巻かれた革の首輪、そして首輪から伸びるが鎖が囚われの身を象徴して、淫猥で背徳的な雰囲気を醸し出している。
鎖の末端を握る競人が理解不能な異国の言葉を張り上げていた。
言葉は判らなくても理解できる、ここでは少女が金で手に入るのだ。
僕は喰い入る様に少女を見詰めた。
ここでは誰にも遠慮する必要が無いのだ。
生きる力が、身体の奥から沸々と湧き上って来るような気がした。
金貨八枚から五十枚、僕の観察が正しければ、これがここでの奴隷の売買価格だ。
戦士型の成人男性が最も高く、金貨四十枚から五十枚、次が普通の体型の男性で金貨三十枚から四十枚、少年と普通の女性はほぼ同額で金貨十五枚から金貨三十枚、少女が最も安く金貨八枚から金貨十五枚。
金貨八枚の少女は、小柄で痩せ型の十歳位に見える少女で、十分僕の守備範囲内だった。
皆、肌の白い鼻筋の通った美女、美少女揃いだ。
髪の色は淡い金、銀、青、赤、緑、紫、茶とバラエティーに富んでおり、目の色も青、紫、緑で宝石の様に美しい。
体躯の良い奴隷ほど値段が高く、魔法が使えるようならば、値段にプラスアルファされていた。
そう、魔法だ、この世界には魔法がある。
手の平から炎や水柱や光電や旋風を出して見せており、買い手はその様子を真剣に眺めている。
治癒魔法の使い手も結構混じっていたが、治癒魔法にはプラスアルファの評価が無いらしい。
容姿に寄って価格が変化する事は無く、純然たる労働力としての評価で競りが行われているようだった。
うん、これはチャンスだ、物凄い夢の様な美女、美少女を安価で仕入れて思うが儘に弄べるチャンスだ。
ここがパラダイスの様に思えて来た。
まずは軍資金作り、人生で初めて確固たる目標が出来た気がする。
ーーーーー
市の露店で肉と葉野菜を挟んだパンを買う、銅貨十枚だった。
西瓜の様な瓜を絞ったジュースも銅貨十枚だった。
サンダルが銀貨一枚、木の脛当ても銀貨一枚だった。
言葉が判らなくても物は買えた。
銅貨一枚が十円、銀貨一枚が千円の感覚だろう。
周囲が暗くなって来たので宿を捜そうと思ったが、僕は言葉が判らない。
仕方が無いので、市場でキョロキョロしている田舎者風の奴の後に付いて行ったら辿り着けた。
異世界型カプセルホテル?要は間口が九十センチ角、奥行きが二メートルの木の箱が積んであるだけだ。
帳場らしき場所で銀貨一枚を払って木札を受け取り、木札に描かれた記号と一致する箱の蓋を開いてその中で寝る。
身体も起こせて寝返りも打てる、寝るには十分な空間だった。
木札は箱の扉の鍵になっており、鍵を下ろせば外の心配も不要になる。
ここは僕だけの空間だ、異世界だろうが、日本だろうが関係無い。
狭い空間の中に籠ると、世の中から護られている様で妙に落ち着いた。
鞄から布を出して身体に巻いて寝た。
周囲に人が寝ているので、意外に寒く無かった。
昨夜良く眠れなかった分、僕は直ぐに熟睡した。
出費 銀貨三枚、銅貨二十枚
残金 銀貨七枚、銅貨九十六枚
目標まであと金貨九枚、銀貨九十三枚
翌朝、寒くて目が覚めた。
空はまだ薄暗かったが、足裏の腫れも退いていたので歩き始めた。
陽が天頂に達した頃だった。
目の前に高い崖が聳えており、行き止まりになっていた。
急流はその壁の根元の割れ目に飲み込まれて消えている。
しばらく途方に暮れていたが、微かな踏み跡を右岸に発見した。
その踏み跡を辿って行くと、岩の背後に洞穴が隠れており、奥に明りが見える。
杖を頼りに足下を確認して進んで行くと蔦に覆われた出口があった。
蔦を掻き分けて抜けると、そこには荷車や人が行き交う広い石畳の街道が開けていた。
突然現れた僕に驚いたのだろう、周囲の人達は背後に手を回して身構えている。
僕がバックから地図を取り出して方向の確認を始めたら、安心したように歩き始めた。
荷車を曳いているのは牛の様な、馬の様な、鹿の様な、小さな角が生えた生き物だった。
道を歩く人達は、籠手や脛当てや木や革の胴巻きを身に付けて武装しており、腰の背後に山刀を下げている。
西欧風の白人種で、髪の色は白や銀、薄青や薄赤、薄紫や薄茶等の淡い色、目は青や紫や緑、身長は僕と同じくらくらの一メートル七十五センチ前後、華奢な感じで、僕の様に太っている者は見当たらない。
人の流れに乗って暫く歩くと、遠くに高い町の木塀が見えて来た。
門は武装した警備兵で護られており、町に入る荷車が検閲を受けるために並んでいる。
門の両脇には、塀を支えにしたバラックが立ち並び、商人が店を営んでいる。
テントが並んだ一画もあり、大勢の人で賑わっていた。
町に入る人達は首から下げたプレートを守備兵に示して入る。
プレートの無い者は、門脇の詰所に連れて行かれていた。
ドキドキしたが、骸骨から頂いたプレートを示したら、すんなり通過できた。
門の内側は広場になっており、露店を広げた商人が軒を連ねて市が形成されていた。
この世界の物価を知ろうと見て回っていたら、天幕に囲まれた場所で競りが行われているのを発見した。
三十三年間生きて来てこんなに嬉しかった事はない。
興奮で射精しそうだった。
奴隷が競りに掛けられていたのだ。
しかも十二歳くらいの女の子だ。
客に売り物が良く見える様にするための配慮か、上半身は細い布を胸に一枚巻いただけで、下半身は細い褌姿でほぼ全裸に近い。
昼の明るい陽光の下、競り台の上で頭の後ろに手を組ませて立たされている。
未熟な体躯の少女の首に巻かれた革の首輪、そして首輪から伸びるが鎖が囚われの身を象徴して、淫猥で背徳的な雰囲気を醸し出している。
鎖の末端を握る競人が理解不能な異国の言葉を張り上げていた。
言葉は判らなくても理解できる、ここでは少女が金で手に入るのだ。
僕は喰い入る様に少女を見詰めた。
ここでは誰にも遠慮する必要が無いのだ。
生きる力が、身体の奥から沸々と湧き上って来るような気がした。
金貨八枚から五十枚、僕の観察が正しければ、これがここでの奴隷の売買価格だ。
戦士型の成人男性が最も高く、金貨四十枚から五十枚、次が普通の体型の男性で金貨三十枚から四十枚、少年と普通の女性はほぼ同額で金貨十五枚から金貨三十枚、少女が最も安く金貨八枚から金貨十五枚。
金貨八枚の少女は、小柄で痩せ型の十歳位に見える少女で、十分僕の守備範囲内だった。
皆、肌の白い鼻筋の通った美女、美少女揃いだ。
髪の色は淡い金、銀、青、赤、緑、紫、茶とバラエティーに富んでおり、目の色も青、紫、緑で宝石の様に美しい。
体躯の良い奴隷ほど値段が高く、魔法が使えるようならば、値段にプラスアルファされていた。
そう、魔法だ、この世界には魔法がある。
手の平から炎や水柱や光電や旋風を出して見せており、買い手はその様子を真剣に眺めている。
治癒魔法の使い手も結構混じっていたが、治癒魔法にはプラスアルファの評価が無いらしい。
容姿に寄って価格が変化する事は無く、純然たる労働力としての評価で競りが行われているようだった。
うん、これはチャンスだ、物凄い夢の様な美女、美少女を安価で仕入れて思うが儘に弄べるチャンスだ。
ここがパラダイスの様に思えて来た。
まずは軍資金作り、人生で初めて確固たる目標が出来た気がする。
ーーーーー
市の露店で肉と葉野菜を挟んだパンを買う、銅貨十枚だった。
西瓜の様な瓜を絞ったジュースも銅貨十枚だった。
サンダルが銀貨一枚、木の脛当ても銀貨一枚だった。
言葉が判らなくても物は買えた。
銅貨一枚が十円、銀貨一枚が千円の感覚だろう。
周囲が暗くなって来たので宿を捜そうと思ったが、僕は言葉が判らない。
仕方が無いので、市場でキョロキョロしている田舎者風の奴の後に付いて行ったら辿り着けた。
異世界型カプセルホテル?要は間口が九十センチ角、奥行きが二メートルの木の箱が積んであるだけだ。
帳場らしき場所で銀貨一枚を払って木札を受け取り、木札に描かれた記号と一致する箱の蓋を開いてその中で寝る。
身体も起こせて寝返りも打てる、寝るには十分な空間だった。
木札は箱の扉の鍵になっており、鍵を下ろせば外の心配も不要になる。
ここは僕だけの空間だ、異世界だろうが、日本だろうが関係無い。
狭い空間の中に籠ると、世の中から護られている様で妙に落ち着いた。
鞄から布を出して身体に巻いて寝た。
周囲に人が寝ているので、意外に寒く無かった。
昨夜良く眠れなかった分、僕は直ぐに熟睡した。
出費 銀貨三枚、銅貨二十枚
残金 銀貨七枚、銅貨九十六枚
目標まであと金貨九枚、銀貨九十三枚
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