奴隷を買うぞ・・異世界煩悩記

切粉立方体

文字の大きさ
10 / 83

10 逆襲

しおりを挟む
一昨日、僕は完全に主導権を握って主人と奴隷の関係を確立したと思ったのだが、それは単に僕の幻想にしか過ぎなかった。
昨晩、前日の夜はほとんど寝ないではげんでいたので、風呂上りにうっかり転寝うたたねしてしまったのだ。
完全な油断だった、気が付いたら、ベットの上に腹這いで大の字に縛られ、しかも今度は、手首の縄が固く念入りに縛ってあった。
勿論僕の首には三人の首輪から伸びた銅線が結んである。

首を捻ると、ファーレが嬉しそうに僕の棍棒をもてあそんでいる。
その脇で、テオとミューアが期待に満ちた目で僕の尻を見詰めている。

「おい、馬鹿な真似は止めて縄を解け」
「嫌よーん。今日は私達の番。オークと違って、私達は優しいから大丈夫よ」
「ファーレ、そんな太いのがこの小さな穴へ本当に入るのかよ」
「オークのチンコが私達に入るんだから、これくらい楽勝でしょ」

何をしたいのか良く解ったが、冗談じゃない、棍棒はバットより二回り太い。
僕にそのは無いし、そんな物突っ込まれたら括約筋が破断して、日常生活に支障を来してしまう。

ファーレが棍棒を撲の尻に押し当てて体重を乗せる。

「さあ、オーク、何事も経験よ。お尻に力を抜いて受け入れるの、力を入れて拒むと痛いだけよ」

因果応酬、これは僕が前の晩に、ファーレへささやいて聞かせた科白だ。

「テオもミューアも手伝って」
「良し解った、合点だ」
「はい、私も頑張る」

そんな事を頑張らなくてよろしい。
痛い、身の危険を感じた僕は強権を発動した。

「タレボル」

銅線で繋がれいることを思い出した時は既に手遅れだった。
三人分の強烈な電撃に意識が刈り取られ、どこからか、お肉の焼ける匂いがした。

首に走った激痛で意識を取り戻した。
手足の縄を解かれている。
首に小さな手が添えられているので、ミューアが癒してくれていたのだろう。

「鋸と牛刀が必要ね。それと骨を砕くハンマー」
「えー!そんなの面倒臭いよ、このまま置いて逃げようよ」
「駄目、主殺しは重罪よ。町内引き回しのうえ、獄門磔よ。証拠を隠滅するの」
「ぶー、仕方無いな。でもオークの血って臭そうでやだな」
「それじゃ血抜きから始めましょう。吊るす場所捜さないと。重そうで鬱陶しいわね」
「川に流しちゃおうか」
「馬鹿ね、運ぶのが大変よ」
「そーか」

「二人とも、生き返ったよ」

取り敢えず三人と平和協定を締結して、身の安全を確保することにした。
そして主従の関係だった筈が、対等な関係に変わってしまった。

「オーク、監視されてるぞ」

だから僕はテオから呼び捨てにされている。

「何処だ」

テオはカーテンの隙間から表を窺っている。

「あそこの路地の影だ。声だけ聞こえる」
「それじゃ声を送ってくれ」
「うん、解った」

テオは遠くの音を聞くだけでなく、その音を他人に聞かせる能力がある。

”本当にあいつらなのか”
”ああ、間違いは無い”
”うむ、ゲンタ、御頭に知らせて来い”
”へい”
”俺達で踏み込むか、どうせ手強いのはオークだけだ”
”いや待て、餓鬼共はぬえの生餌にしたいと男爵様が仰っていた。鵺に生きた人の脳味噌を与えたいそうだ。人数を集めて体制を整えてから襲う”
”了解だ。鵺の餌か・・・。ありゃ酷かったな、手足の骨を折られてから脳天くり貫かれてさ、泣き叫びながら脳味噌食われたぞ”

「オーク、お前が何か逃げる方法考えろよ、一応僕達の主人なんだからさ」
「うん、私、鵺に脳味噌食べられたくないわ、何とかして」
「私達を護るのは、あんたの義務だからね、オーク」

此奴等本当に勝手だ、自分の都合の良い時だけ撲に頼って。
だが撲も死にたくないし、三人の身体にまだ未練がある。

ーーーーー
その夜、人々が完全に寝静まった時間帯、闇の中、宿の厨房の小窓が開き、人が忍び出る音がした。

”忘れ物は無いな”
”うん、大丈夫”
”それじゃ裏門まで一気に走るぞ”
”うん”
”タタタタタ”

”ふん、ばれていたか、だが好都合だ。路地に追い込んで捕まえろ。オークは殺して良いぞ”
”了解”

「どうだ、追掛けて行ったか」
「うん、行った」
「見張りは残っているか」
「大丈夫、全員走って行った」
「それじゃ表門へ急ごう」

テオの能力を使って、音で僕達が逃げ出した様に偽装したら、追手達はまんまと釣られて追掛けて行った。
僕達は逆方向の表門に向かう。
テオは足音を飛ばす作業に集中しているので、僕が御姫様抱っこをして走る。
門脇で再び神官服に着替えて、深夜発の駅馬車に乗り込む。
行き先は良く知らない地名だったが、この町を離れることが大優先だ。

ミューアとファーレは左右から僕に寄り掛かり、テオは先ほどの御姫様抱っこが気に入ったのか、僕の膝の上に乗ってしがみ付いている。
三人の可愛い寝顔を眺める、またしばらく禁欲生活が続きそうだ。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...