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22 魔霊
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亡くなったパーティーは五人の筈なのに、ギルドの登録を確認したら四人のパーティーになっていた。
ギルドの冒険者仲間だった人達に聞いてみると、全員が確かに昔から五人パーティーだったと言う。
登録外メンバーの依頼業務への参加は、ギルドシステムそのものに支障を来し兼ねない事なので禁止されている。
ギルドも常に目を配っており、二重、三重のチェックも行われているので、その状態が放置されている事自体、通常有り得ない。
だが現実的には、その状態にギルド職員はだれも気が付いていなかった。
僕に言われて初めて気が付いて、青くなっている。
登録に無いメンバーは魔道士の女の子、良く知っている筈なのに、皆その子の容姿について物凄く曖昧なのだ。
十歳前後に見える幼い印象の子までは完全に一致するのだが、そこから先の記憶が抜け落ちている感じなのだ。
何か不気味な感じがしたので、全員を宿に残して来た。
でも完全な守備範囲なので、全身に刻印札を最初から貼り付けて、気合満点で討伐に臨んだ。
ーーーーー
「我から仲間を奪ったは貴様か」
何時も通り、服を縄で縛って地下牢に連れ込んだのだが、魂の色が青から突然輝くオレンジ色に変わり、縄も服も燃え尽きてしまった。
その姿を見て僕は後悔した、ファーレから得た知識では、これは最も強い霊、魔霊だ。
魔族に匹敵する力を持ち、千人を超える神官が、協力してやっと倒せる霊だ
逃げようと思ったが強い結界が張られていた。
「貴様は直ぐには殺さぬ。我と同じ思いを味合せてから殺してやる。貴様の人形共の首を持って参るから、ここで待っておれ」
危ない、四人が危ない。
僕は必死で魔霊に飛付いた。
「ゲリト、メルト、ノリト。ゲリト、メルト、ノリト。ゲリト、メルト、ノリト」
”ズザザザザー、バキ、バキ、バキ”
魔霊は、僕に抱き付かれて転移に失敗し、何処かの森に突っ込んだ。
「貴様離せ」
死んでも離さない、離したら四人が殺されてしまう。
「ファイヤーストーム!」
「サンダーストーム!」
「ウインドエッジ!」
「アイスランス!」
背中から色々な物が降って来るので、魔霊に抱き付きながら転がって逃げる。
なんかお肉が焦げている匂いがする、物凄く痛いが根性で我慢だ。
それに抱き付いていれば、魔霊も自分の魔法の直撃を時々喰らっているので、離れているよりも有利だ。
「貴様本当に人間か」
魔防力92は伊達じゃない、それに全身に貼った刻印札の炎が、魔法の影響を押さえてくれている。
「ふっ、ふっ、ふっ、それじゃ逆襲するぞ」
「えっ?」
ただ転がって逃げ回っていた訳じゃ無い、体制を少しずつ整えていた。
我股間にそそり立つ、エクスカリバーの威力を思い知らせてやろう。
「それっ!」
「ギャー、痛い、止めろ、痛い、ひー、サンダーストーム、サンダーストーム、サンダーストーム」
気丈にも魔法攻撃を止めようとしない。
なので衝撃に併せて深く突き入れて行く。
「サンダ、痛い、ファイ、ヒー、サンダース、ギャン、痛い、痛い」
魔法の詠唱を妨害するこつが解った気がする。
一気に攻勢へ転じる。
胸に舌を這わせ、背中に回した腕を尻に伸ばす。
「あっ、ひっ、アン、痛い、いや、サンダーストーム、アン、アン、痛い、いや」
そして僕が主導権を握ったまま、長い長い持久戦が始まった。
長期戦は、圧倒的に睡眠の必要が無い魔霊に有利だが、最初はただ痛がっていた魔霊も徐々に感じ始めているようなので、僕にも勝機はあると信じていた。
最初に魔霊が身体を仰け反らせて昇ったのは半日後だった。
徐々に魔霊が昇く間隔が短くなって行くものの、魔霊の魂はなかなか衰えない。
魔霊の魔法を妨害しながら僕が攻撃を仕掛けて、魔霊の魂を削って行く。
魔霊は僕の隙を見付けて魔法を仕掛け、僕の体力を削って行く。
僕は魔霊に感じさせようと頑張り、魔霊は感じまいと頑張る。
一日目の夜明けは覚えているが、後の記憶は曖昧だ。
朝告鳥が鳴き始め、森の奥が白み始めた時刻だった。
「あっ、あっ、あっ、あっ、行くっ、行くっ、行く」
魔霊は身体を大きく仰け反らせてから脱力した。
唇を重ねてやると、諦めた様に唇が微笑を浮かべ、そして朝日の中へ流れ出す様に溶けて行った。
終わった、膝から崩れ落ちそうになるのを気力で踏ん張り、森の野獣の気配を探ろうと頭を上げた。
そして僕の目に写ったのは、顔を引き攣らせて弓や槍を構えいる、無数の兵士の姿だった。
「早まるな、敵意は無い」
僕は急いで両手を頭上に高く持ち上げた。
ーーーーー
魔霊と僕が落ちた場所は、公爵の居城の裏庭に有る森の中だった。
居城の裏庭に突如火柱が立ち、魔霊と怪人が争いを始めたのだから、公爵は物凄く驚いたらしい。
急いで兵を送ったものの、中隊程度なら簡単に吹き飛びそうな魔法が降って来ており、近寄れない。
城から人を避難させ様子を見ていたら、五日後に怪人が勝利し、魔霊が消えた。
怪人がムクリと起き上った時は、取り囲んでいた兵士達は恐怖したそうだ。
今度は自分達が標的となり、皆殺しにされると。
だから僕の声を聞いた時、多くの兵士は五日間の緊張から解放されてその場にへたり込んだ。
大隊長が震えながら確認に来たので事情を伝えると、神殿とギルドとデンデ伯爵から事情聴取が行われ、僕は無事解放された。
「古の都では、建都の際に幼い少女が人柱にされたそうじゃ。あのパーティーは何処かのダンジョンでそんな少女の魂に取り付かれたのだろうよ。数万年も一人で過ごして仲間が欲しくなったのじゃろ、最初は一緒に過ごすだけで満足しておったが、永遠の時を共有したくなった、まあ、そんなところじゃろ。なに成仏?そんなものする訳なかろう、輪廻の輪から遠の昔に追い出されておるから生滅するだけじゃ」
取り調べに同席した学者さんが教えてくれた。
四人は死のダンジョンへと導かれ、そこでこの世に繋ぎ留める為に洗脳されていたのだろ。
これで僕の感じていたもやもやは解決した。
宿に戻ったら、僕の四人の仲間達が泣きながら飛付いて来た。
安堵が心を満たし、僕は四人を抱き抱えながら意識を失った。
ギルドの冒険者仲間だった人達に聞いてみると、全員が確かに昔から五人パーティーだったと言う。
登録外メンバーの依頼業務への参加は、ギルドシステムそのものに支障を来し兼ねない事なので禁止されている。
ギルドも常に目を配っており、二重、三重のチェックも行われているので、その状態が放置されている事自体、通常有り得ない。
だが現実的には、その状態にギルド職員はだれも気が付いていなかった。
僕に言われて初めて気が付いて、青くなっている。
登録に無いメンバーは魔道士の女の子、良く知っている筈なのに、皆その子の容姿について物凄く曖昧なのだ。
十歳前後に見える幼い印象の子までは完全に一致するのだが、そこから先の記憶が抜け落ちている感じなのだ。
何か不気味な感じがしたので、全員を宿に残して来た。
でも完全な守備範囲なので、全身に刻印札を最初から貼り付けて、気合満点で討伐に臨んだ。
ーーーーー
「我から仲間を奪ったは貴様か」
何時も通り、服を縄で縛って地下牢に連れ込んだのだが、魂の色が青から突然輝くオレンジ色に変わり、縄も服も燃え尽きてしまった。
その姿を見て僕は後悔した、ファーレから得た知識では、これは最も強い霊、魔霊だ。
魔族に匹敵する力を持ち、千人を超える神官が、協力してやっと倒せる霊だ
逃げようと思ったが強い結界が張られていた。
「貴様は直ぐには殺さぬ。我と同じ思いを味合せてから殺してやる。貴様の人形共の首を持って参るから、ここで待っておれ」
危ない、四人が危ない。
僕は必死で魔霊に飛付いた。
「ゲリト、メルト、ノリト。ゲリト、メルト、ノリト。ゲリト、メルト、ノリト」
”ズザザザザー、バキ、バキ、バキ”
魔霊は、僕に抱き付かれて転移に失敗し、何処かの森に突っ込んだ。
「貴様離せ」
死んでも離さない、離したら四人が殺されてしまう。
「ファイヤーストーム!」
「サンダーストーム!」
「ウインドエッジ!」
「アイスランス!」
背中から色々な物が降って来るので、魔霊に抱き付きながら転がって逃げる。
なんかお肉が焦げている匂いがする、物凄く痛いが根性で我慢だ。
それに抱き付いていれば、魔霊も自分の魔法の直撃を時々喰らっているので、離れているよりも有利だ。
「貴様本当に人間か」
魔防力92は伊達じゃない、それに全身に貼った刻印札の炎が、魔法の影響を押さえてくれている。
「ふっ、ふっ、ふっ、それじゃ逆襲するぞ」
「えっ?」
ただ転がって逃げ回っていた訳じゃ無い、体制を少しずつ整えていた。
我股間にそそり立つ、エクスカリバーの威力を思い知らせてやろう。
「それっ!」
「ギャー、痛い、止めろ、痛い、ひー、サンダーストーム、サンダーストーム、サンダーストーム」
気丈にも魔法攻撃を止めようとしない。
なので衝撃に併せて深く突き入れて行く。
「サンダ、痛い、ファイ、ヒー、サンダース、ギャン、痛い、痛い」
魔法の詠唱を妨害するこつが解った気がする。
一気に攻勢へ転じる。
胸に舌を這わせ、背中に回した腕を尻に伸ばす。
「あっ、ひっ、アン、痛い、いや、サンダーストーム、アン、アン、痛い、いや」
そして僕が主導権を握ったまま、長い長い持久戦が始まった。
長期戦は、圧倒的に睡眠の必要が無い魔霊に有利だが、最初はただ痛がっていた魔霊も徐々に感じ始めているようなので、僕にも勝機はあると信じていた。
最初に魔霊が身体を仰け反らせて昇ったのは半日後だった。
徐々に魔霊が昇く間隔が短くなって行くものの、魔霊の魂はなかなか衰えない。
魔霊の魔法を妨害しながら僕が攻撃を仕掛けて、魔霊の魂を削って行く。
魔霊は僕の隙を見付けて魔法を仕掛け、僕の体力を削って行く。
僕は魔霊に感じさせようと頑張り、魔霊は感じまいと頑張る。
一日目の夜明けは覚えているが、後の記憶は曖昧だ。
朝告鳥が鳴き始め、森の奥が白み始めた時刻だった。
「あっ、あっ、あっ、あっ、行くっ、行くっ、行く」
魔霊は身体を大きく仰け反らせてから脱力した。
唇を重ねてやると、諦めた様に唇が微笑を浮かべ、そして朝日の中へ流れ出す様に溶けて行った。
終わった、膝から崩れ落ちそうになるのを気力で踏ん張り、森の野獣の気配を探ろうと頭を上げた。
そして僕の目に写ったのは、顔を引き攣らせて弓や槍を構えいる、無数の兵士の姿だった。
「早まるな、敵意は無い」
僕は急いで両手を頭上に高く持ち上げた。
ーーーーー
魔霊と僕が落ちた場所は、公爵の居城の裏庭に有る森の中だった。
居城の裏庭に突如火柱が立ち、魔霊と怪人が争いを始めたのだから、公爵は物凄く驚いたらしい。
急いで兵を送ったものの、中隊程度なら簡単に吹き飛びそうな魔法が降って来ており、近寄れない。
城から人を避難させ様子を見ていたら、五日後に怪人が勝利し、魔霊が消えた。
怪人がムクリと起き上った時は、取り囲んでいた兵士達は恐怖したそうだ。
今度は自分達が標的となり、皆殺しにされると。
だから僕の声を聞いた時、多くの兵士は五日間の緊張から解放されてその場にへたり込んだ。
大隊長が震えながら確認に来たので事情を伝えると、神殿とギルドとデンデ伯爵から事情聴取が行われ、僕は無事解放された。
「古の都では、建都の際に幼い少女が人柱にされたそうじゃ。あのパーティーは何処かのダンジョンでそんな少女の魂に取り付かれたのだろうよ。数万年も一人で過ごして仲間が欲しくなったのじゃろ、最初は一緒に過ごすだけで満足しておったが、永遠の時を共有したくなった、まあ、そんなところじゃろ。なに成仏?そんなものする訳なかろう、輪廻の輪から遠の昔に追い出されておるから生滅するだけじゃ」
取り調べに同席した学者さんが教えてくれた。
四人は死のダンジョンへと導かれ、そこでこの世に繋ぎ留める為に洗脳されていたのだろ。
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