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Ⅰ 第一学年
31 討伐合宿5
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「おーし、祓うぞ」
手を取り合って、走りながら呪文を唱える。
『幣内の連引く内の真清の宮、神座して清を真浄とならしめん』
光りの渦が巻き立ち悪赤鬼を取り囲むが圧倒的に力負けしている。
渦の力が破られそうだ。
「二重掛けするぞ」
風吹雪先生の声が響く、祓いの外側から二重掛けを行い、祓いの力を補強するのだ。
全員で二重掛けの呪文を唱和する。
『幣内の連引く外の虚空、神に触れし力を現わせ』
光りの渦の外側に新たな光の渦が巻き起こり、最初の渦と合体する。
渦の光りは強くなるが、まだまだ悪赤鬼の力に抗し切れていない。
動きを封じるのが精一杯だ、渦の内側の悪赤鬼の力が徐々に膨らんで行く。
渦を引き千切られるのも時間の問題だ、これは万事窮すか。
「雷夢、彼女は居るか?」
この緊急時に風吹雪先生がどうでも良い様な事を突然聞いて来た。
「居ません」
「なら雷夢はまだ童貞か?」
「ほっといて下さい」
”雷夢の年収は一億だぞ”
風吹雪先生が言霊を転がす、何故それを?
あっ、そう言えば、この人は巫女の元締めの様な人だった、情報が入っていて当然だ。
「先生、こんな緊急時に遊ばないで下さい」
それでも連に噂話へと聞き耳を立てる様な集中力が生じ、連が強化された。
”雷夢はまだ童貞でしかも空き家だ”
風吹雪先生がまた変な言霊を転がした、極限状態に追い込まれた人間に対する集団催眠だ。
連に訳の分からない煩悩に近い変な力が宿った。
でも一言、言っておこう。
「余計なお世話です」
そして最後に、風吹雪先生が密やかに囁く様に広がる言霊を転がした。
”チャンスだぞー”
可笑しな洗脳をしないで欲しい、でも連に力が漲り悪赤鬼を圧倒し始めた。
「雷夢、雷を咬ませ!」
「・・はい、猛き力の建御雷之男神よ、御身の力を我に貸し賜え。急急如律令。ギャー」
最後のギャーは僕の背後に回った風吹雪先生に、揃えた両手の人差し指を、ジャージの上から尻穴に突っ込まれたのだ、うー、痛いよー。
特大の雷が悪赤鬼を直撃し、痙攣する悪赤鬼を光の渦が次第に飲み込んで行く。
悪赤鬼が悶え苦しみ、断末魔の声を上げて消えて行った。
勝った、その場に全員が座り込みしばらく動けなかった、地面の上で尻穴がジンジンする。
「これで、皆さんの受験資格は得られたと思います、ご苦労さまでした。今日はもう疲れたと思いますので、合宿所に戻りたいと思います。風吹雪先生、何かありますか」
「皆ご苦労、圧倒的に不利な状況だったが皆の協力と運に恵まれて勝利できた、礼を言う。帰ったら勝利の祝宴を開いて八百万の神々に感謝しよう。以上だ、それじゃ帰るぞ」
合宿所への帰り道、女生徒達にもみくちゃにされた。
「先生、早く洗脳を解いて下さいよ」
「ご褒美だ、もっと喜べ」
「乾杯、みんな、ご苦労さま」
風織先生の乾杯で祝宴が始まった、協会に問い合わせたところ、全員が楽勝で受験資格を得ていた。
ところで、水と言って配られたこの透明な液体、くんくん、どう考えてもお酒なんですが。
「そのまま、飲み食いしながら聞いてくれ。今日倒した鬼は、静岡地区を中心に暴れ回っていた奴で、陰陽師協会の静岡支部として手を焼いていたそうだ。支部から物凄く感謝され、お礼として奥伊豆での二泊三日のホテル宿泊に招待された。学院に問い合わせたら許可が頂けた、なので好意に甘えたいと思う。明日の朝九時出発だ」
歓声が沸き起こった、思えばこの一週間と数日、結構ハードな訓練だった、ちょうど良い休養だろう。
「ねえ、雷夢君、年収一億って本当なの」
「いえ、少し大袈裟ですよ」
謙遜する、あの後もおじさんの手伝いを何回かしてその報酬が振り込まれたのだが、うん、楽に年収は一億を越えるだろう。
「謙遜よ、早苗。初めまして雷夢君、私、風間谷綾香、アヤって呼んでね。明美は私の妹なの」
「私は水鏡早苗、香の姉よ。あの子達雷夢君を独り占めしようと思ってなかなか白状しなくてねー。生意気なの」
何か厳しい攻防が有ったようだが、聞かないことにしよう。
「妹さん達にはお世話になってます」
「ふっ、ふっ、ふっ、あの子達はお世話しなくていいからね」
「この間雷夢君あの子達と朝帰りしたでしょ」
「あっ、申し訳ありません」
「ううん、いいのよ、別に。でもね、姉として妹の行動が気になったからあの子達を問い詰めたんだけど、嬉しそうな顔をして白状しないの」
「雷夢君に奢って貰ったことと、雷夢君が雷羅先生のお仕事を手伝ってるということと、その報酬が高額だって所までは白状させたんだけどねー。でっ、実際幾ら貰ったの」
「”ごにょごにょ”です」
「えー、年間じゃ無くて一回で?」
「ええ、一回で」
「ねえ、雷夢君。年上でも大丈夫だよね」
中締めの後、色々な部屋を連れ回された。
生徒会長?巫女さん連中に潰されて真っ先に寝息を立てていた。
何ヶ所か目で、同じように飲み歩いている風吹雪先生と遭遇した。
「お前等、雷夢を潰して良からぬ事を考えても無理だぞ。此奴は毎日飲んでる大酒飲みだ」
なんか無理やり飲ませている張本人から大酒飲みと言われる物凄く複雑な気分だった。
飲み潰れた女生徒達を後にして、深夜の風呂に向かう、何人か先輩達が入っていた。
「ご苦労さま、雷夢君」
十五人くらい男子が混じってる筈なのだが、なぜか存在感がない。
手を取り合って、走りながら呪文を唱える。
『幣内の連引く内の真清の宮、神座して清を真浄とならしめん』
光りの渦が巻き立ち悪赤鬼を取り囲むが圧倒的に力負けしている。
渦の力が破られそうだ。
「二重掛けするぞ」
風吹雪先生の声が響く、祓いの外側から二重掛けを行い、祓いの力を補強するのだ。
全員で二重掛けの呪文を唱和する。
『幣内の連引く外の虚空、神に触れし力を現わせ』
光りの渦の外側に新たな光の渦が巻き起こり、最初の渦と合体する。
渦の光りは強くなるが、まだまだ悪赤鬼の力に抗し切れていない。
動きを封じるのが精一杯だ、渦の内側の悪赤鬼の力が徐々に膨らんで行く。
渦を引き千切られるのも時間の問題だ、これは万事窮すか。
「雷夢、彼女は居るか?」
この緊急時に風吹雪先生がどうでも良い様な事を突然聞いて来た。
「居ません」
「なら雷夢はまだ童貞か?」
「ほっといて下さい」
”雷夢の年収は一億だぞ”
風吹雪先生が言霊を転がす、何故それを?
あっ、そう言えば、この人は巫女の元締めの様な人だった、情報が入っていて当然だ。
「先生、こんな緊急時に遊ばないで下さい」
それでも連に噂話へと聞き耳を立てる様な集中力が生じ、連が強化された。
”雷夢はまだ童貞でしかも空き家だ”
風吹雪先生がまた変な言霊を転がした、極限状態に追い込まれた人間に対する集団催眠だ。
連に訳の分からない煩悩に近い変な力が宿った。
でも一言、言っておこう。
「余計なお世話です」
そして最後に、風吹雪先生が密やかに囁く様に広がる言霊を転がした。
”チャンスだぞー”
可笑しな洗脳をしないで欲しい、でも連に力が漲り悪赤鬼を圧倒し始めた。
「雷夢、雷を咬ませ!」
「・・はい、猛き力の建御雷之男神よ、御身の力を我に貸し賜え。急急如律令。ギャー」
最後のギャーは僕の背後に回った風吹雪先生に、揃えた両手の人差し指を、ジャージの上から尻穴に突っ込まれたのだ、うー、痛いよー。
特大の雷が悪赤鬼を直撃し、痙攣する悪赤鬼を光の渦が次第に飲み込んで行く。
悪赤鬼が悶え苦しみ、断末魔の声を上げて消えて行った。
勝った、その場に全員が座り込みしばらく動けなかった、地面の上で尻穴がジンジンする。
「これで、皆さんの受験資格は得られたと思います、ご苦労さまでした。今日はもう疲れたと思いますので、合宿所に戻りたいと思います。風吹雪先生、何かありますか」
「皆ご苦労、圧倒的に不利な状況だったが皆の協力と運に恵まれて勝利できた、礼を言う。帰ったら勝利の祝宴を開いて八百万の神々に感謝しよう。以上だ、それじゃ帰るぞ」
合宿所への帰り道、女生徒達にもみくちゃにされた。
「先生、早く洗脳を解いて下さいよ」
「ご褒美だ、もっと喜べ」
「乾杯、みんな、ご苦労さま」
風織先生の乾杯で祝宴が始まった、協会に問い合わせたところ、全員が楽勝で受験資格を得ていた。
ところで、水と言って配られたこの透明な液体、くんくん、どう考えてもお酒なんですが。
「そのまま、飲み食いしながら聞いてくれ。今日倒した鬼は、静岡地区を中心に暴れ回っていた奴で、陰陽師協会の静岡支部として手を焼いていたそうだ。支部から物凄く感謝され、お礼として奥伊豆での二泊三日のホテル宿泊に招待された。学院に問い合わせたら許可が頂けた、なので好意に甘えたいと思う。明日の朝九時出発だ」
歓声が沸き起こった、思えばこの一週間と数日、結構ハードな訓練だった、ちょうど良い休養だろう。
「ねえ、雷夢君、年収一億って本当なの」
「いえ、少し大袈裟ですよ」
謙遜する、あの後もおじさんの手伝いを何回かしてその報酬が振り込まれたのだが、うん、楽に年収は一億を越えるだろう。
「謙遜よ、早苗。初めまして雷夢君、私、風間谷綾香、アヤって呼んでね。明美は私の妹なの」
「私は水鏡早苗、香の姉よ。あの子達雷夢君を独り占めしようと思ってなかなか白状しなくてねー。生意気なの」
何か厳しい攻防が有ったようだが、聞かないことにしよう。
「妹さん達にはお世話になってます」
「ふっ、ふっ、ふっ、あの子達はお世話しなくていいからね」
「この間雷夢君あの子達と朝帰りしたでしょ」
「あっ、申し訳ありません」
「ううん、いいのよ、別に。でもね、姉として妹の行動が気になったからあの子達を問い詰めたんだけど、嬉しそうな顔をして白状しないの」
「雷夢君に奢って貰ったことと、雷夢君が雷羅先生のお仕事を手伝ってるということと、その報酬が高額だって所までは白状させたんだけどねー。でっ、実際幾ら貰ったの」
「”ごにょごにょ”です」
「えー、年間じゃ無くて一回で?」
「ええ、一回で」
「ねえ、雷夢君。年上でも大丈夫だよね」
中締めの後、色々な部屋を連れ回された。
生徒会長?巫女さん連中に潰されて真っ先に寝息を立てていた。
何ヶ所か目で、同じように飲み歩いている風吹雪先生と遭遇した。
「お前等、雷夢を潰して良からぬ事を考えても無理だぞ。此奴は毎日飲んでる大酒飲みだ」
なんか無理やり飲ませている張本人から大酒飲みと言われる物凄く複雑な気分だった。
飲み潰れた女生徒達を後にして、深夜の風呂に向かう、何人か先輩達が入っていた。
「ご苦労さま、雷夢君」
十五人くらい男子が混じってる筈なのだが、なぜか存在感がない。
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